6話 勇者!
僕にとっては驚愕の事実が分かったあとじいちゃんはフィツムおじさんに頼みごとをした。
その内容は王都に家を用意してほしいというものだった。
この頼み事にたいしてフィツムおじさんは二つ返事で了承した。
どうやらじいちゃんが王都に住むことが嬉しいようだった。
じいちゃんが王都に一番近い森に住んでいたのもフィツムおじさんが頼み込んだからなんだとか……
そして今僕たちはフィツムおじさんが三秒で(マジで)用意した家に来ている。
「じいちゃん……大きいね…」
「そうじゃな……」
「フィツム…気合い入れすぎ……」
その家は一言で言うならば邸宅。
シエラ姉さんが言うには貴族でもこれ程の物は持っていないそうだ。
それを聞いて一旦はそこに住むのを拒否したのだがどうもこの家はじいちゃんが王都を救った時にフィツムおじさんが王都に住んでもらおうと建てたものらしく結局じいちゃんのほうが根負けし、住むことになった。
「部屋はどうするの?」
「二人でこれだけの大きさはのー」
「……使用人を雇えばいい」
「し、使用人?」
「お手伝いさんのことじゃよ」
「へ、へー」
使用人! 何かすごいお金持ちぽっい!
「部屋はいっぱいあるし掃除が大変…なら雇ったほうがいい」
「そうじゃのー、わしらだけというのも……雇うかの」
「でもそういうのってどうやって雇うの?」
「ウィル師匠が募集を出せばすぐに集まる」
「そうかの?」
「ウィル師匠は自分がしたことのすごさが分かってない」
「そんなにじいちゃんはすごかったの?」
「すごかった……思い出すだけでも鳥肌がたつ」
「へー…具体的には何したの?」
「そ、そこまでじゃ! そこから先はまたの機会でよかろう、今は荷物の整理のほうが先じゃ」
「えー」
気になったのになー、じいちゃんの英雄伝説(笑)
後でこっそり聞いてみようかな……
以外と本屋なんかにあったりして…止めようありそうで怖いな。
英雄の孫とか恥ずかしすぎる。
「ああそうだ、リク?」
「何? シエラ姉さん」
「まだこの町のことをよく知らないと思うから軽く散歩して学校への道を確認してきたほうがいい」
「んー…そうだね、当日に遅刻は恥ずかしいしね」
「む? リクは外に行くのかの?」
「うん、学校への道を確認しに」
「なら少しばかりおつかいを頼まれてくれんか?」
「いいけど、何処に?」
「学校の校長にじゃ」
「知り合いなの?」
「旧友というやつじゃよ」
「へー」
王都に来てからじいちゃんの知らなかった一面がいっぱい見られてるなあ、少しうれしい。
「あ、ならついでに私もお願い」
「ん? 何?」
シエラ姉さんが僕に頼み事なんて珍しいな…
いつも逆に僕のお世話ばかりしてくるのに……
「学校の近くにあるカフェでだしてるケーキを買ってきて欲しい」
ケーキかよ! 僕の感動を返せ!
というかカフェなんかあるんだな……
「カフェって言うのは勇者が伝えたものの一つらしい」
「何で分かったの!」
「? 何が? カフェは初めてで分からないだろうから説明をしようと思ったのだけど」
「え、ああ、説明ね、説明…ん? それより勇者なんているの?」
「いるにはいる、四十四年ごとに魔王が復活するから、その時に召喚する取り決め」
「四年四年!? 短すぎない! それ!」
「今まで魔王に挑んだ勇者たちでさえ完全には倒せなかった、できたのは中途半端な封印だけ」
「ああ、だからそんなに…」
「それに四は不吉な数字として有名、だから魔王がわざわざ四十四年後に復活するようにしてるとも言われてる」
意外と雰囲気を大事にしてる!?
「ま、まあいいや、それにしても勇者は大変だね、召喚されてすぐに魔王と戦えなんてさ」
「確かに……でも前の勇者は何もしてなかった」
「え、なんで?」
「あなたのおじいちゃんがハッスルしたから」
ああ、成る程ね……
あ、じいちゃんが悶えてる……