1話 魔法って難しい!
あれから分かったことがある、どうやら本当に赤ん坊になってしまったようだ。
しかもじいちゃんを尋ねてくる人たちの話を聞く限りここは日本ではないみたいだ。
なんで分かったかって? 魔物とか魔法という言葉が会話の中にあったときは流石に驚いたよ……
まあ言語が日本語っていうのはラッキーだったけどね。
ちなみにじいちゃんの名前はウィル=エクスタ、そして俺の名前はリク=エクスタ。
そして今日は特別な日だ。
そう俺はやっと三歳になりました。
いやーうれしいね、何がうれしいかって? 魔法を教えてくれるからだよ。
異世界といえば魔法、これは外せないよなー。
というわけで今は外の森にいる訳だが……
「じいちゃん、これからなにするの?」
言葉が聞きにくいのは勘弁してくれ俺は三歳なんだから、体がついてこないんだよ……
「そうじゃのー最初は魔力の操作でも練習するかの」
そう言ってじいちゃんは自分の手に魔力を纏わした。
「なにそれかっこいい! ぼくもやりたい」
「む? リクにはこれが見えるのかい?」
「え? うん、みえるけど……もしかしてこれみえちゃいけなかったの?」
それを聞いてじいちゃんは何かを考え出した。
え、これってそんなに見えちゃ駄目なの? もしかして俺って魔法の才能ない?
「じいちゃん……ぼくまほうおぼえれる?」
「あ、ああ、大丈夫じゃよ」
なんか妙にうろたえてるんですけど……魔法の才能が無いから気を使ってくれたのか……がんばってじいちゃんに恩返ししないとな。
「とりあえずそれをすればいいんだよね?」
「そうじゃよ?」
「えーっと……こんなかんじ?」
「…………」
じいちゃんがおもちゃを見つけた子供みたいな目をしてる! 魔力ってきっと誰でも使えるんだろうなーじいちゃん尋ねてくる人たちも全員使ってたし……ということはあまりにも魔法に適正のない俺が魔力を使えたからこんなに喜んでるのか……本当にがんばらないと……
「よ、よし次は火を使ってみてくれ」
「う、うん」
なんか興奮してるなー、……もしかして使えるのが普通なのか! そうなのか! これ使えないと生活できないとかそんな感じなのか! 絶対に失敗できないな……えっと魔法って想像力だよな? 尋ねてきた人もじいちゃんに魔法の想像力について相談してたし……えー火は酸素を燃料にしてるんだったな。
空気中の酸素を集める感じで………
ボッ
「うわっ! びっくりしたー」
「…………」
またじいちゃんが嬉しそうに! もっとかもっと必要なのか! ……すごいなこの世界。
「じいちゃん? ほかには?」
「う、うむ…そうじゃな……水、かの」
水かー、えー水はどうするかなー。
空気中の水素集めて液体にする感じか? 我ながらすげー適当だなー、こんなことなら理科もっと勉強しておくんだったなー、数学しかできねーよ俺ー。
ドバー
「うわあ、びしょびしょだ」
「…………」
これも!? 本当にすごいなこの世界!
はあ、情けないな、俺は……
「じいちゃん……つぎは?」
「え? あ、うん、もうできそうなことやってみて」
何だって! もしかしてこの世界の人たちはもっとすごいのか! それで俺に呆れて……? ここはなんとしても一般的なことをしなくては! じいちゃんを失望させない為にも! そうだな、今までのがたいしたことじゃないってことは……暴風を起こしたり、雷を出したりすれば流石に一般的かな?
「よーし、えい!」
ブワー!
ドガーン!!!
これでどうだ!? 風で木はなぎ倒したし、雷で木を黒焦げにしたぞ!
「…………」
嘘だろー!? マジかよ! これでも駄目なのか! もっと色々できるようになんなきゃー!