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序章
趣味で書き始めました。なんとも拙文では御座いますが、何卒ご容赦ください。
西暦2015年。
渋谷
いつも通りの雑多な風景は、そこにはない。
広がるのは海。赤い、赤い海。
そして、海の中心に頓挫する「それ」は、いつも通りの穏やかな笑みを浮かべていた。
人々の安らぎの象徴ともいえる「それ」と赤い海のコントラストは、なんとも不釣り合いだった。
人間はすこし、がんばりすぎたのかもしれない。
静かな、静かな時が流れていた。
2045年。
東京 第41区 中等部
5時間目
平凡な少年、鈴木蓮の手元の教科書には、ゴシック体の「歴史」の文字があった。
「2015年4月8日(推定)日本は未確認生命体により、壊滅的な打撃を受けた。これにより中枢都市及び地方中枢都市は機能不全に陥り、事実上国家としての役割を果たさなくなった。」
彼は文を小さな声で一読すると、教科書を机に伏せた。