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僕と甥の仕事

ニートの僕にも、我が家では一つ仕事がある。

3歳の甥と7歳の姪の御守である。


甥っ子が産まれると同時に、

それまでOLをしていた姉は会社を辞め

今では専業主婦をしている。


会社もそれなりに慰留してくれていたらしいのだが、

夫である義兄の仕事が、毎晩残業で遅いことを考えると

やむなき判断であった。


「専業主婦っていつかやってみたかったのよね。」


御煎餅を食べながら笑って話す彼女の本心は誰にもわからない。


朝食を片づけ1、

総勢6人分の洗濯を干し終わり、

部屋の掃除が済むのがようやく昼前。

お昼になれば、再び母と共に昼食の準備が始まる。


そんな姉に代わり、

午前いっぱいと昼食後暫く甥っ子の面倒をみるのが僕の仕事だ。

甥っ子が機嫌よく夕方を迎えられるかは、僕の双肩に掛かっていると言っても過言ではない。


朝から小雨日よりなその日。


姪が学校から帰ってくるまでは、リビングの無駄に大きなTVでポケモンのDVDを流しつづける。

これで、甥も満足だろう。

そして、その隙にもう一眠り・・・


などとは問屋が卸さないのが世の常。


「ねぇねぇ!」


うつら、うつら、しだすと同時に、最高のタイミングで話しかけてくる甥。


「このね・・・きいろ! きいろいこ。みみがとがっててちゅおいの。びびびーってだすの」


ひっきりなしの実況解説が僕を掴んで逃がさない。

ちなみに「きいろいこ」とは、ピカチューのことだ。


「ほんでね。このこ。みずいろのこもちゅおい。かめ・・・」


ここで言う「みずいろのこ」で「かめ」は、ゼニガメのことである。


「このながくて・・・みどりの、みどりのこもちゅおいの。くちからばばばっていとだすの」


キャタピーのことであろう。


それにしても、この3カ月の甥の成長には目を見張るものがある。

ほんの最近まで、DVDが流れている間中の実況解説は、


「このこ、ちょおいの」


だけであった。


「じゃぁ、あの子は?」


などと茶化しても


「あのこもちゅおいの」


であった。

それが、今では、

色や形、

得意技まで、

刻一刻と状況をリアルタイムで解説出来るようになっている。


まさに、


「男子三日あわざれば克目すべし」


ついでに、

僕もこの歳にして随分ポケモンに詳しくなった。

151匹まであとわずかである。


是非ともそんな僕のことも克目してほしい。

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