口を手程に使う
「あら、涼平君。学校はおわったの?」
「はい。今終わって帰って来た所ですね」
「新しい学校の初日はどうだったの?」
「あー……えーっと……ハハハ……」
「かわいそうな涼平君。きっと友達ができなかったのねぇ……」
「えっ!? あ、いえ……そんなことはないですよ」
「大丈夫よ涼平君。おばちゃんは涼平君の味方だから」
「いや、だからそうじゃないですってば」
「悲しい事の次にはきっと良い事があるはずよ? だから今は泣いてもいいのよ。おばちゃんは誰にも言わないから」
「友達できましたからね!?」
「強がりで嘘をついてしまっているのね……。安心して正直に話してもいいのよ?」
「嘘はついてないですから……」
「ふふっ、今はそう言うことにしておいてあげるわね。泣きたくなったらいつでもいらっしゃいな」
「……あー、もうそれでいいです……はい。」
===================
「たっだいまー。お姉様のお帰りよー」
「おかえり」
「はい、ただいま」
「今日の夕飯どうするの?」
「ちゃんと今から準備するわよ」
「そっか、手伝うよ」
「あら、殊勝な心掛けね」
「そうでもないさ」
「元気ないわね?」
「んー。ちょっと疲れはしたかな」
「友達がいない学校で長時間勉強したらそりゃ疲れるわね」
「そうそ……は?」
「ん? どうかしたの?」
「……今何て言ったの?」
「そりゃ疲れるわね」
「もっと前」
「学校で長時間勉強」
「もっと前だってば」
「元気ないわね?」
「戻り過ぎ! コントか!?」
「何よ。ちょっとからかっただけじゃない」
「ぐ……で、何……その友達がいないって」
「知り合いのいない学校に行くんだから友達なんて最初はいないに決まってるでしょ?」
「そっちかよ!」
「そっちってどっちよ」
「いや、うん。何でもない」
「あら、もしかして本当に井手口さんの奥さんが言ってた通りなのかしら?」
「んなわけ……って、誰にも話さないんじゃなかったのかよ!!」
作者の私でも手のつけられない作品だと思います。
そんな作品でも良ければ気まぐれな私にお付き合いくださいませ。
意見・感想等、ないとは思いますが……もしあればよろしくお願いいたします。
この学校に入学したい方、募集します。……いないと思いますが。
おばちゃんは信用してはいけません。