予備名
「ちーさま」
「その呼び方はやめて欲しいのよね……」
「えー、似合うとると思うんやけどなぁ？」
「第一私をその名前で呼ぶのあなただけじゃない」
「せやね。ちーさまだけやないけども」
「そう言われてしまえばその通りね……。失念してたわ」
「ちーさまはおっちょこちょいやね！」
「紅葉にだけは言われたくなかったわね」
「せやかてウチの方が成績えぇもん」
「成績の問題ではないと思うわよ？」
「負け惜しみ？」
「厳然たる事実よ」
「事実や言うても証拠なんてあらへんよ？」
「……紅葉？」
「なに？」
「あなた……それ本気で言ってるの？」
「ウチは常に大真面目やで！」
「ほう。では、靴下の編み込みが左右で違うのは私の気のせいだとでも？」
「へ……しもた！？」
「やっぱりあなたの方がおっちょこちょいじゃないの」
「うぐぐ……ヒロやんに言いつけたる！」
「何でお……にきが急に出てくるのよ！？」
「ヒロやんならきっとウチの味方をしてくれるで！」
「だから関係ないでしょ！？」
「使える物は何でも使わな」
「……手段を選ばなすぎよ！」
「ふっふっふー。せや、一つ聞いてもええ？」
「……急に何よ」
「おにきって何や？」
「は……お、おにき？」
「さっきちーさま『何でお……にきが急に出てくるのよ！？』って言うてたやん？」
「あぁ、それね。『何で男の名前が急に出てくるのよ』って言おうとしたんだけど……兄の名前だったから兄貴って言い直そうとしただけよ」
「……びみょーにムリあらへん？」
「事実だから仕方がないじゃない」
「せやったら……やっぱりちーさまはおっちょこちょいやね！」
「あなたの靴下よりはマシよ！」
「うぐぐ……ウチから始めといてなんやけど……不毛な気しかせえへん……」
「最初から行き着く先になんて何もなかったわよ……」
「せやね……ちーさま、すんませんでした！」
「いいわよ……こっちも悪かったから。でも『ちーさま』はやめて……」
「それはムリやね」
「何でよ！？」
作者の私でもお先真っ暗な作品だと思います。
そんな作品でも良ければ気まぐれな私にお付き合いくださいませ。
意見・感想等、ないとは思いますが……もしあればよろしくお願いいたします。
この学校に入学したい方、募集します。……いないと思いますが。
私は渾名とかつけられたことなかったです。
