お昼ご犯
「あ、弁当忘れた」
「それは大変ですなぁ」
「おいしそうだね」
「おいしいですなぁ」
「どんな感じ?」
「ふわっとしているんですなぁ」
「風味は?」
「仄かな甘さが口の中いっぱいに広がるんですなぁ」
「わけて――」
「――あげないんですなぁ」
「ぐ……そっちは?」
「おいしいですなぁ」
「どんな感じ?」
「サクッとした歯ごたえが素晴らしいですなぁ」
「風味は?」
「仄かなハーブの香りが肉汁の甘さと相まってハーモニーを奏でていますなぁ」
「わけ――」
「られないですなぁ」
「ぐぅ……! ……こっちは?」
「おいしいですなぁ」
「どんな感じ?」
「とってもクリーミーですなぁ」
「風味は?」
「チーズと絶妙な塩気が味にアクセントを出していて甘さを引き立てているんですなぁ」
「わ――」
「けないですなぁ」
「泣きたい……」
「泣く暇があれば購買に走ると良いですなぁ」
「冷たいよ!?」
「早く行かないと『店長の気まぐれご飯』しか残らないですなぁ」
「ぐっ……期待した――」
「――ゴウがバカなんですなぁ」
「せめて自分で言わせてよ!」
「ゴウだから仕方がないのですなぁ」
「オレの扱いって……。まぁいいや。財布財布っと……」
「諦めてる時点で未来は変えられないですなぁ」
「わかって……あ……」
「ご臨終ですなぁ」
「……。お願いします! 保様!」
「何をですなぁ?」
「明日には絶対お返し致しますのでどうかわわたくしめに御慈悲を!」
「これならあるんですなぁ」
「ははぁっ! 有り難き幸せ!」
「頑張れですなぁ」
「ほんとありがとう! ご飯が食べられないとオ……レ……」
「食べると良いのですなぁ」
「うん。これ何?」
「ご飯なんですなぁ」
「本当に?」
「店長の気まぐれなんですなぁ」
「恐怖しか見えないよ?」
「今のゴウにこの『店長の気まぐれご飯』以外に選択肢はないと思われるのですなぁ」
「ぐっ……たしかにそうだけど……」
「頑張るんですなぁ」
「何をどう調理したらこんな金属光沢ができるの!?」
作者の私でも見るに堪えない作品だと思います。
そんな作品でも良ければ気まぐれな私にお付き合いくださいませ。
意見・感想等、ないとは思いますが……もしあればよろしくお願いいたします。
この学校に入学したい方、募集します。……いないと思いますが。
お弁当用の料理を自分でしっかり作るのは難しいです。