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これでも勇者ですが、何か?  作者: 『螺旋 螺子』
彼が勇者ですか? 「はい。あの人と同じオーラがします(エキドナ談)」
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都合の良い勇者

長らくお待たせしました。

これからは春休みに入るのを待つばかりですので、毎日は無理かもしれませんが、そこそこのペースを維持して連載しようと思います。

 盛大なつっこみを(心の中で)入れてから、かなりの時間が経っている。

 どうやら、このメデューサは余りにも酷い村人の対応に疑心暗鬼に陥ってしまっているようだ。今、老婆が祠の前に座り込んで話しかけている。

 疑心暗鬼のメデューサには、初対面の俺達は恐怖以外の何者でもないだろう。

 祠の正面に、多少土が慣らされていたので、そこに寝転がっている。

 クレアはというと、近くで剣を振っている。

 ……真面目な奴だな。


 体を起こして、祠がある方を見る。


 祠の封印は、祠にあった石が粉々になったことによって完全に解かれていた。しかし、それとは別にメデューサが自ら張った結界がある。それは、この世界を拒絶するような強力な結界が。


「あの村人達を見ればどんな仕打ちを受けたのかは、容易ですが」


 いくつか脳内で汚い嫌がらせを連想する。

 あるいは、俺が思いもしないような事をしたのかもしれない。


「全く……」


 あー、また頭痛がしてきた。

 右のこめかみを人差し指で押さえながら目を瞑る。

 閉じた暗闇に写し出されるのは、ついさっき連想した惨い仕打ちだった。

 ……あぁ、変な物を連想するんじゃなかった。

 頭痛は激しさを増すばかりだ。

 頭がクラクラしてきた。


 脳内が、意識を手放そうとして――


「コナタ殿?」


 その声にハッとした。


「ク、レア……ですか」

「どうしたんだ? 恐ろしい顔をして」


 整った綺麗な顔を歪めて俺の顔を覗き込んでくる。


「あ、あぁ。大丈夫ですよ」


 そう答えたが、まだ痛みは引かない。


「本当か?」


 クレアは俺の隣に膝つき、心配げな表情を浮かべる。


「コナタ殿」

「なんです?」

「何か悩み事でもあるのか? 一人で抱え込むと辛いぞ。私で良ければ聞くから、話してくれ」


 いつにもなく真剣な顔で見つめられて、思わず目を逸らす。


「あ、目を逸らした! 何かあるんだな? ホラ、聞くぞ。早く言え。直ぐに! 今、直ぐに!」


 なんか、無茶苦茶っすねぇ! 労わる気あんの、それ!?

 真面目な顔をしてるクレアの鼻を左手で軽く摘む。


「んむ。ふぁにおしゅりゅ!」


 なんか可愛いな、オイ。

 それからしばらくドタドタ二人で鼻や頬を摘みあったりして時間を過ごした。

 それから暫くした時、老婆がトボトボと肩を落として歩み寄ってくる。


「どうでした?」

「だ、ダメですじゃ。話しは聞いてくれるが、メデューサを説得出来んかった」

「まぁ、安全を確かめれた事ですし、ひとまずは良しとしましょう。こちらが焦れば、メデューサにもそれが伝わってしまいます。そうなると、更に困難になるしょうね」


 こういうと、少し納得したような顔をしてくれた。


「そうじゃな。急ぎたいが、肝心な所は慎重にせねばなぁ」

「ひとまず、村人には適当に端折って事実を伝えるか。そのまま言うと、変な事を言い出しそうだからな」

「そうですね。それが最善策でしょう」





 帰り道、ミクラエド付近で老婆と別れた。

 なんでも老婆と共にいると村八分の対象にされるとか。


 いくらなんでも旅の者を――と思えるはずが無かった。

 ……平気でやりそうだもんな。


「おぉ、勇者様がお帰りになられたぞ!」


 ミクラエドに戻ると、来たときに俺達に祠の確認を依頼した代表格だと思われる若者の男が俺達の姿を見つけると大声で叫んだ。

 瞬く間に周囲の若者が集まり始めて、俺達を取り囲む。

 ……なんでだろう。普通は嬉しいだろうに、こいつらに取り囲まれるとこのままリンチに合わされそうな気がする。

 右手がドラゴンキラーに触れる。


「コナタ殿」


 ボソッと、耳元でクレアが囁く。

 ……分かってるから。


「で、どうでしたか? あの化け物はどうなってました?」

「祠は破壊されていました。恐らく昨晩に来た盗賊共が破壊したのだと思われますね」


 その言葉にいくつか驚きの声が上がるが、ほとんどは気にしていないようだった。


「それで――」

「勿論、処分して下さったんですよね?」


 言葉を続けようとしたとき、代表格の男が口を挟んだ。


「いや。それは出来ていません」


 その返答に、取り囲む若者達が口々に文句を言い出した。

 まるでリンチの前段階だ。この後ぐらいに、蹴りが入るんじゃないのか?

 ダメだ。頭が痛くなってきた。


「封印が二重に張って合りました。それも、僕が破壊できない程強力なものが。ですから、あの檻からメデューサが逃げ出す事は不可能でしょう」


 そういうと、漸く不満を帯びた言葉は減った。が、殺して欲しいと願っていた一部の者が、未だに愚痴を零している。


「……まぁ、ありがとうございました」


 代表格の男が曖昧な礼を言う。

 ……なんなんだよ、この村の人間共は。


「ですが、今回の結果は不本意でした。ですので、しばらくここに留まり経過を見ようと思います」


 パァァァと代表格の男の表情が明るくなる。


「ですよね! それでは、宿へご案内します」


 最後の最後まで失礼な男だった。

長く書けて無かったから、書き方が変わってないか心配^^;

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