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これでも勇者ですが、何か?  作者: 『螺旋 螺子』
彼が勇者ですか? 「本人曰く、そうらしい」(クレア談)
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戦闘ソング

 先程の会話から数時間が経ち、現在。


 俺はアリジリーナ近辺の草原にしゃがみこんでいた。

 クレアのパンツを覗こうとした訳ではない。そもそも視線はずっと下を向けている。

 かといってその視線の先に川があり、その反射でパンツが見える訳ではない。そもそも俺が見ているのはクローバーだ。

 かといってそのクローバーに鏡のような仕掛けがあるはずがなく、そこに妖精の女の子が座っているのは皆無として……そもそも、なぜ俺はこんなにパンツを見ている事を否定せねばならないんだ?


 単純に薬草等の草摘みだ。

 そうか、思い出した。単純過ぎるから、捻りを入れてパンツの話をし出したんだっけ。


「コナタ殿」

「ひゃいっ!」


 突然のクレアの呼び掛けに、声が裏返る。やましい事を考えていると、突然のことに動揺するんだな。ん? 別にやましくもなんともないか。


「どうかしたんですか?」

「い、いえ。別に」


 無茶苦茶怪しい視線を送ってきているんですが!


「周囲の敵を狩ってきたぞ」


 ドサドサと目の前に死体の山が詰まれる。なかなかエグい光景だな。


「これを解体するんですよね?」

「あぁ。肉があれば食事に使ってもいいしな」


 俺はポケットから携帯ナイフを取り出すと、イエローモンキーを手に取り、早速捌きにかかる。


「手馴れてるな」

「まぁね」

「血は平気なのか?」

「同じ血でも色々あるんですよ、個人的に」

「そうか」


 ナイフに視線がいっている。したいのかな?


「コナタ殿は男ながら、ナイフの使い方がお上手だな」

「いえ。少しばかりかじった程度ですよ」

「それでも凄い」


 やはり視線はナイフに釘付けだ。


「しますか?」


 と、ナイフを差し出すが、


「いや。結構だ」


 といって、クレアは体を起こす。


「何事も経験だからな。もう一通り狩ってくる」

「あ、ちょっと待って!」


 別のポケットから薬草を一房掴み、クレアに手渡す。


「さっきの収穫の一部です」

「あ、助かる」


 それをポケットに仕舞うと、再び草原へ行ってしまった。


「さて。どうしようか」


 クレアは素材がどうとか言ってたな。

 イエローモンキーの皮を綺麗に剥ぎ取る。少しグロテスクな絵になるが、特に問題は無い。

 次に剥いだ皮の毛の除去作業にかかる。どうやら綺麗な肌のようで、手触りが良くなった。



 それから数分後、イエローモンキーの解体が終わる。

 入手はご覧の通り。


 イエローモンキーの皮

 イエローモンキーの毛

 イエローモンキーの骨

 イエローモンキーの鉤爪

 イエローモンキーの内臓


「何か、戦闘ソングとか欲しいな。『イエローモンキーの皮を手に入れた!』とか」


 一人で言って、むなしくなった。

 仕方が無い。次のブルーモンキーを解体するか。







「あ」


 良い事を思いついた!

 自分で言えば良いんだ! うん。モチベーションも上がって、寂しさも紛れて一石二鳥じゃないか。


「レッドリザードが現れた。テレテテー。此方の攻撃! 鮮やかに皮を剥いだ! レッドリザードの皮を手に入れた! テテテテテー。此方の攻撃! ん。筋肉が硬くて、骨が取り出しにくいな……」


 それから少し経って、全ての解体が終了した。

 作業能率も格段に上がっている……気がする。


「よし、次のウィークラビットに取り掛かるか!」






「パパパパッパー。フーリッシュロックの解体が終わった! 此方は次のロージリザードを手に――」

「何しているんだ?」

「とるるるるるるる!?」

「頭、大丈夫か?」


 お前に言われたくは無い。

 周りを見ると、日が傾きかけていた。

 恐るべき集中力。今度からは、これを多用することにしよう。


「何独り言を言っていたんだ?」


 一人で少しだけ寂しかったから、勝手に戦闘ソングを付けて実況していたなんていえない。

 今度、一人の時に楽しむことにしよう。


「ウィークラビットから見ていたが……」

「序盤じゃねぇか!?」


 ダメだ。

 今後、この業は封印することにしよう。



2013/9/8 題名を変更

2013/9/18 誤変換を修正

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