表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これでも勇者ですが、何か?  作者: 『螺旋 螺子』
彼が勇者ですか? 「本人曰く、そうらしい」(クレア談)
16/66

『行くな』は、行って下さい

 ユリア、ムラウ、ルータ、クレアと俺を含めたパーティーは、三人の案内に従ってリベリルドへの道を急いでいた。

 不本意であるが、ホラム街での男の忠告が気になるため、周囲には気を配っているが。


「この看板は何だ?」


 進行方向に分岐路が現れた。片方は何もないが、もう片方は道を塞ぐように「危険」と書かれた看板が立てられている。


「本当はかんばんがあるのがリベリルドの道だったんですけど、その先にオーク鬼が……ええと、私が八歳の時だったから……二年前に出てきて通れなくなったんです」

「そうだぜ! だから左の道へ行ってローラムの町へ行ってからリベリルトに行くんだ!」

「……」コクコク

「成る程。分かった」


 俺は進行方向を決める。


「行くよ」


 と言ったのに誰も付いてこない。


「なんで固まっているんです?」

「いやいや、お前、話を聞いていたか!?」

「そっちは危険なんですよ」

「……」コクコク


 三人が必死に止めに入る。

 俺は呆れ顔で諭す。


「考えてみて下さい。ここらのオーク鬼が倒せない程度で洞窟の魔物が倒せるとは思えないでしょう?」


 回り道も面倒だしな。


「む。確かに」


 クレアが納得したからか、3人は困って顔を見合わせている。


「それでは私とコナタ殿はこちらから行くとしよう。三人は向こうの道から行くのはどうだ?」


 向こうの道、とはつまり、ローラムの事だ。

 三人だけであのホラム街へ行けたのだから、決して不可能ではないだろう。それにそこそこの実力を持っていたし、ここらの敵ならなんなく倒せる事だろう。


「……いえ、付いてきます! 本当につよいのか、みてみたいです!」


 悩んだ末、ユリアがこちらに歩いてくる。その後ろを無言でルータが付いてきた。


「あぁ、もう! ユーちゃんをきけんなめに合わせられねぇ!」


 渋々といった感じで結局全員が来てくれた。

 オーク鬼がどんな姿なのか、日本にいた時のRPGゲームを参考にしていいのか分からないが、おおかた間違ってはいないだろう。




 「危険」の看板を通り過ぎて暫く。


「地面に人間以外の足跡がありますね」

「ほんとだ。お前、良く気がついた、いてっ」

「前々から思ってたんだけど、コナタさんに向かってお前呼ばわりなんて、ムーくんは何様ですか!」

「ご、ごめんなさい」


 ユリアがムラウを叱っている。しっかりしてるなぁ。


「少し前から気付いていたんだけれど、少しずつ足跡の数が増えているんだ。このまま道の真ん中を堂々と歩けば、奇襲は確実だね」

「オーク鬼は鼻が良くて俊敏で、なおかつ堅い皮膚を持つ事で有名だったな。厄介な敵だ。司令塔ブレインモンスターが賢明であればあるほど、群れは大きいらしい」

「弱点とかはありますか?」

「村できいた話です。ここらの森はオーク鬼がいっぱいいるそうなので、なんかいか近くの人をあつめて、ぼうけんしゃの人とたたかいに行ったそうです。そのときにきいた話なんですが、なんでもそのオーク鬼の群れで一番えらい人がをたおせば、オーク鬼は逃げるそうです」


 つまり、ブレインモンスターを撃破すれば後は戦う必要が無いんだな。


「ストップ」


 俺の小さなかけ声に全員が足を止める。


「これ以上は進まないで下さい」


 この食物連鎖の中で生きて行くには、自分の直感を信じることが大事だ。これは俺がこの世界に来て一番に学んだ事である。


「いるのか?」

「多分」


 少し目線をきつくしたクレアは、腰の剣に手をかける。


「だ、だいじょうぶなんですか?」

「ゆゆゆユーちゃんは、おおお俺が守るからな!」

「……」コクコク


 みんな、緊張してるなぁ。


「よし、オーク鬼討伐のミッションスタートです」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ