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これでも勇者ですが、何か?  作者: 『螺旋 螺子』
彼が勇者ですか? 「本人曰く、そうらしい」(クレア談)
15/66

魔導書参照

「ただいま」


 宿屋の一室の扉を開けながら言う。


「……」

「……」「……」「……」


ドサッ


「「「「ビクッ!?」」」」


 扉を開け放った先に広がる光景に、思わず買い足し物を入れている袋を取り落とす。

 クレアは3人を眺めて、3人は地面を見つめている。

 袋を落とした時に鳴った音で、全員の視線が俺に集まった。

 どうしよう。凄く逃げたい。


 クレアは安堵の表情を浮かべて、3人は笑顔になる。


「え、どうゆう?」


 シンプルに質問してみた。


「私は子供が苦手なんだ」


 シンプルに返ってきた。


「ま、まぁ。3人共。大丈夫?」

「まぁ」

「だ、大丈夫」

「……うん」


 そもそも何が大丈夫なのだろうか。


「買い物してきたから、食べましょうか」






 宿屋から宿泊費を支払い、ホラム街から出る。

 近くの草原(ただしモンスターが近寄らない距離)に、石を集めてかまどを作り、火をたく。そして、持っていた鉄の板を上に敷いて、肉やら野菜(主に雑草)をのせる。

 頃合いを計って肉をあげる。


「取り敢えず、何でも食べてよ」

「あ、はい」「あぁ!」「……うん」


 因みにクレアは、既に食べ始めていた。


「「美味しい」な!」です」


 3人共、満足のようだ。


「それで、僕達にお願いしたいことって何?」


 隣ではふはふしていたユーちゃんに本題を聞いてみる。


「ふぁぁぁ、あむ。…………。実は、近くの洞窟に魔物が住み着いてしまって。ソイツを倒して、私たちの村を救ってほしいんです」


 村、ね。


「お金ならあります!」


 ポケットから出されたお金は、12銀貨と銅貨が数十枚。

 おおよそ、魔物を討伐するにあたって見合う金額ではない。


「あ、あの。こ、これは手付け金です! 討伐してくれれば、村で用意出来る限りの報酬は約束します!……から…………」


 半べそかいて服の裾を持つユーちゃんを見てると、何だか背中がゾクゾクす……雑念を払え、俺!


「あぁ、えーっと。村の名前は『リベリルド』でしょ?」

「えっ。どうしてそれを!?」


 ユーちゃんだけじゃなく、男子組も目を丸くしている。


「もともと僕たちはアリジリーナから遣わされたんです。それに手付け金も優しい国王様から頂いてますから、結構ですよ」


 ぼったくったがな。


「そ、そうなのか!?」

「き、来てくれるんですか!?」

「……」コクコク


 チラリと横目でクレアを見ると、クレアも頷いてくれた。


「勿論ですよ♪」


 俺の笑顔に、子供sは更に笑顔になった。










「「「「「「ウッキィ!」」」」」


 リベリルドへと急ぐ中、グレープモンキー―紫色の木の棒を持った猿―の群れに遭遇した。


「君たちって、戦える?」

「俺は戦えるぞ!」


 ムーくん――もといムラウがアピールしてくる。


「私は魔法が少々」

「……」コクコク


 ユーちゃん――もといユリアは魔法が使えるのか。ルーくん――もといルータは、ユリアと同じと受け取って良いのだろうか。


「前線はムラウとクレア。他の二人は、後方から魔法支援です」


「ルーくん、行くよ!」

「……うん」


 服の中から本を取り出して、中を開く。


『『青の魔導書を参照。我が身に力を!』』

「「ブルーボールⅤ」」


 『魔導書参照』か。懐かしいな。

 魔法の中で一番初歩的な詠唱方法だな。この上に、ホラム街でおっさんズが詠唱していた、『四精霊召還』がある。

 二人が出した水の玉がムラウに襲いかかっていたグレープモンキーに命中する。

当たったグレープモンキーは、空を舞い二匹ほど巻き込んで空を舞い、地に落ちた。


 その間にもクレアは数十匹を斬り伏せる。


 その後、攻防を繰り返す。








「キィェェェェェ!?」

「コイツでラストだな」


 最後のグレープモンキーをクレアが切り捨てる。


「なかなか強いな。ムラウ」

「だろ! でも、クレアさんはもっと強い!」

「ユリアちゃんもルータくんも凄いね」

「ありがとうございます、コナタさん!」

「……あ、ありがとう」





 うん、このメンバーだとリベリルドへの道のりが楽に成りそうだ。

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