咎人の詩
五つめの詩
これは、とある作家の罪を綴りし詩
昔々、とあるオンラインゲームに一人の作家がいました
彼はオンラインゲームで知り合った仲間と共に冒険をし、雑談をしながら過ごしていました
ある時、作家は仲間の一人と言い争いました
その時に、作家の中に狂気が生まれたのです
狂気は彼の罪となり、一つの存在を産み落としました
それは死神と名乗り、作家を糾弾した人たちへ、八つ当たりな報復をしました
作中で糾弾した彼らを殺戮したのです
作家は偽名を名乗り
八つ当たりな作品を出しました
こうして、作家の報復は終わりました
あれから時がたち
作家は平穏な時間を過ごしていました
けれども、狂気は作家の中に潜んでいたのです
新しくできた仲間たちと作家は
また言い争いをしてしまいました
狂気は魔王と名乗り、
作家に過去と同じように
仲間たちを作中に出して
殺戮をしようとしました
けれども、そうはなりませんでした
作家は仲間たちと仲直りする機会が出来ました
作家は仲間たちに謝ると
仲直りしました
そして、作家は魔王という狂気に立ち向かいました
作中に自身を出して
仲間たちを救い出し
狂気という魔王と
戦いました
激しい戦いです
それでも作家は諦めません
魔王を倒さねば
また仲間たちと
争うことになりかねないのです
そんなことは誰も望みません
望む者は狂気という魔王以外にいないのです
作家と魔王は
互いに必殺技を出し合い
勝敗を決めました
最初は魔王が出しましたが
作家は魔王の必殺技に耐えきりました
そして、作家は必殺技を出して、魔王を倒しました
こうして、狂気という魔王は敗れ去ったのです
それから、長い時が過ぎました
作家は仲間たちと
雑談をしながら過ごしてましたが
自身の犯した罪に苛まれていました
そして、過去の罪を浄化しようと行動しました
始まりの罪である死神は
魔王が生まれる以前から
作家の中に潜んでいました
鳴りを潜めながらも
しっかりと根深くいたのです
まず作家は死神を完全に浄化するために
死別の話を書きました
そして、死神は無力化させました
あとは魔王だけです
魔王は霧状になりながらも
死神と共に潜んでいました
元々彼らは一つの存在です
だからこそ、共に作家の中にいられました
作家は自害の話を書こうとしました
されど魔王は悪夢を用いて
殺戮を企てました
作家は魔王の悪夢には抗ず
膝を屈してしまいました
悪夢という殺戮が前座となり
終幕が自害という結果になってしまいました
仲間たちの一人は
作家を糾弾しました
糾弾者には正当性がありました
作家は一通の仲間たちへの謝罪の手紙を送ると
人知れず何処かに去りました
作家は闇の中に潜っていました。
その中で、魔王との戦いの話を再編し、新しく外伝と番外編を執筆しました。
長い長い時が過ぎました。
作家がいた時には賑わっていた世界は
閑散としていて
人は少なくなっていました
それでも作家はいました
かつての仲間たちは誰もいません
寂しくなった作家は
オンラインゲームを去ることを決意しました
誰もいない世界で
物語を紡いでも
読んでくれる人はいないのです
作家は最後に一つの詩を書きました
それは、終焉を迎える世界に
別れを告げる詩
その詩を書き上げた作家は
オンラインゲームの世界から
去りました
その後、作家は流浪の果てに
ある世界に流れつきました
その世界は、物語の紡ぎ手たちが集い
各々が紡いだ物語が集まる地
あなたが今、これを読んでいる世界に
作家は流れついたのです
これでこの詩はお終いです
この詩に出てきた作家とは誰か、ここまで読んであなたならお分かりですね?
そう、この詩の作者です
彼は物語を書き続けるのでしょう
それがどんな物語なのかは
現在は分かりません
それは未来において分かることなのです
世界が滅びるその時まで……
六つめは咎人の罪の詩




