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詩語り――軌跡――
始まりの語り手はタナトス
彼が語る詩、それは
無自覚なる罪人が落ちる
深き獄についての詩
次いで語るのもタナトス
それは、警告という詩
善良の愚と言葉の刃
そして、心砕された者が望むものとはなんなのか
ただ一度の警告は苦しみを伴い語られる
彼の冷酷な微笑みと共に
三番目に語るは傍観者ヘカテー
世界を傍観するだけの
彼女が語る詩、それは
死が生命を奪いし
愚かなる人間について
そして、始まりの人間たちの罪
次いで語るのもヘカテー
彼女が語る詩、それは
咎を負いし想造主が
造り出した二人の魔王
そして、想造主の配慮という詩語り
五番目には語られるのは、とある作家の罪深き過去
それは物語の原点
六番目に語るのは咎人
荒涼を彷徨う者が詩うは
自身の罪について
最終に語るのも咎人
彼が得られたものはなんなのか――
愚かで賢しき智者が紡ぐ詩
それは、二つに分けられし物語の片割れ
罪が滅びる物語
罪が誕生した物語
これは、誕生せし罪を巡る詩語り
その始まりに過ぎない――
タナトスが詩うは始まりの詩