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どこかの高校の話

偽りのメール *未完

作者: さとう


先生の目を欺きながら携帯を操作する。机の影に隠しながらメールの内容を確認し、送信ボタンを押す。

数秒経って、斜め前の彼が携帯を取り出すのがみえた。勿論先生にバレないようにこっそりと。少し悩む仕草をして、ゆっくりと携帯に触れる。そんな動作さえも絵になる彼に見惚れた。

再び彼が授業に参加し始めたとき私の携帯が震える。メールが届いた。

今は授業、と簡潔に書かれた文。それは先程私が送った、今何をしてる?というくだらない質問の答え。そっちは?と書かれた文字を読んで、口許が緩んだ。メールの相手も同じ空間で授業を受けているとは欠片も思っていないのが見て取れる。

気付くはずもない。斜め前にいるメールの相手を見て、安堵と寂しさが混ざった息を吐いた。


私が斜め前の彼、白石くんのメルアドを知ったのは一ヵ月前。彼の友達である永田くんの誘惑に負けたのが原因だった。


――白石のこと好きなんでしょ


同じ委員会になり、仕事のペアを組んだのがきっかけで永田くんと私は仲良くなった。なかなかにいい性格をしている彼に、どうしてか私が白石くんを好きなことがばれてしまい、にやにやと笑いながら「アイツのメアド教えようか?」の一言。私は思わず頷いた。そして流されるまま永田くんの他校の女友だちとして白石くんに紹介され、メル友になった。

彼とメールを交わすのはドキドキの連続だった。

他校生である私は、白石くんの顔も声も何もかも知らない。たった一通のメールを返すにもよく考えて、何も知らない振りをしなければならない。

本当の私は彼の声を聴いては胸を踊らせているというのに。


白石くんを騙してメールをしていることがバレてしまったら、嫌われてしまうかもしれない。そう考えたことは何度もあった。

けど、これしか私が彼と関わりを持つチャンスはないことはたしか。

彼にとっての私はいるかいないかもはっきりしないただのクラスメイト。したことのある会話といえば、事務連絡だけ。

メ―ルしていればでいれば、文書とはいえ白石くんと多くの言葉を交わす友達になれる。その魅力は何にも代えれないもの。


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