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岸田家の異世界冒険  作者: 冬の黒猫亭
一日目 【真実子の長い一日】
21/119

Act 20. 外出時は、家の人に声をかけましょう


 静かだとは思ったが、あんさん、車酔いしてたんだ。

 車が止まり、姉の救急箱から酔い止めを与えてから、若干の一悶着が起きることとなる。


 

「――俺は、降りる!!」



 神妙な顔で、騎士(目つき悪)が、乗車を拒否。

 まだ、一時間もしていないのに、狭い道のど真ん中で、立ち往生することとなった。


 一応、寝てればいいと兄が言ったのだが。



「王子の前で寝顔を晒すなど!騎士にあるまじき行為だ!」



 え~…めんどくさーい。この人。

 王族としてちやほやされて育ったであろう、呪われた熊王子と天然王子よりもめんどくさーい。


 つーか、王子の前での嘔吐はどうよ?


 王子はいいっていってるのに、騎士の自尊心って、それ美味しいのって話だ。


 我侭しろー。我慢してまた乗れー。

 もしくは、説得を諦めて、騎士たち放り出せー。


 どっちでもいいから、早く~…と言いつつ、私は座りっぱなしで、硬くなった体を解すように、背伸び。

 退屈はしないけど、楽しいわけでもないので、欠伸がでてくる。



「ほら、こんな子供ですら、我慢して乗ってるんだぞ。お前ができないはずないじゃないか」


 

 さっきから、どれだけ、私の純情なハートを嬲れば気が済むんだ。


 騎士(毒抜き)、私見るな……さっき、貰った魔石投げつけたろか。


 誰が子供だ。おまえんとこの弟王子より年上だ。というか、熊王子と同い年だ。

 騎士(チャラい)お前の身長五センチくれ。


 魔石あげるから。超切実。



「あー待て待て、俺がとっておきのおまじないを――」

「「だめだめだめっ!」」



 私と姉で、手刀をぶんぶん振り回して車外へと飛び出した兄を、2人で止める。

 


「一発だぞ」

「気絶方面でね」

「場所が悪いと、マジ地獄」

「え~…?」



 自分で食らったことないから、わかんないんでしょ。

 

 漫画とかでよくやる、首の後ろに手刀を入れて、気絶させるってやつがあるけど、兄の場合は、普通に鞭打ちになりそうなほどので、気を失ったというよりは失神したというほうが正しい。


 幼い頃に、我侭をいうたびに、気絶させられたよ、私も。


 姉は学習能力が高いから、我侭を言うときは、兄を背後に立たせたりはしないから一度しか食らったことがないらしい。


 しかも、あんた、さっき戦士レベル上がって、筋力すごいことになってるでしょ。


 今だって、私たち二人引きずって、地味に騎士(目つき悪)に近づくのやめようよ。


 

 なんだか、兄は、微妙に焦っている……ような気もする。

 なんでだろう??


 異世界にきたかもって、確信したときだって、へらへらしてたくせに。



「しゃねー、話つけるかー」



 ようやく諦めて、説得の輪に加わったらしい。


 

「ったく、軽く事故った感覚だっての、わからないのかしら」



 まったくである。

 私は何度事故ったことか。


 姉は、騎士と兄を眺めて、車内へと戻った。



「ん?」



 私は、ふと――視界に入った橙色の物体に目が釘付けだった。


 さすが、目がよくなっただけある。

 数メートル先の木に生っているオレンジである。



「だから、後で行きます!!」

「それでは、お前は一人で何時帰ってくるというのか?せっかく『くるま』に乗せていただいているのだから、そちらのほうが早いだろう?」

「しかし!もうこんなものには乗れません!」



 まだ喧々してるから、かかるだろう。

 薬貰ったんだから、そのうち効いてくるって――馬乗れるのに、なんで車駄目なんだろうね。


 私はさくさくと、森の中に入った。

 

 オレンジがなってるのは、かなりの大木だ。

 樹齢百年とかそんな感じの。


 見たところ二つほどオレンジ――近くでみると、小ぶりだったので、蜜柑だろうか――がひとつの木に生っている。


 

「よっ――のわっ」

 


 届きそうな範囲のやつを、ジャンプして手にする。


 辛うじてゲットすることはできたが、いつもよりも、高くジャンプすることができて、逆に驚いてしまった。

 盗賊としてのレベルが上がった成果なのだろうか、体が軽い気がする。


 皮は薄そうで、手のひらにすっぽりと収まるような、本当に小さなものだった。

 枇杷くらいの大きさだろうか。ハウス蜜柑とか。


 上から見ると、オレンジ色の皮に、まるで☆マークのような模様が白く浮かんでいる。

 ファンタジー世界特有の面白果実なのだろうか?


 遅れてステータスが表示される。


 そういえば、矢印ついてなかったなぁ。

 



   【イシュタルの祝福のオレンジ】 


   イシュタルから溢れた慈愛が注がれた、シュルルの木になる柑橘。

   滋養強壮。栄養満点。薬としても重宝されている。    

   販売価格:54000 (ビル)




 ん~…【イシュタルの祝福のオレンジ】かぁ。

 なんで画面が、キラキラ光っているように見えるんですけど??


 ひぃいっ!!

 

 ってか!オレンジで54000Bって!!


 もしかしてレア食材??

 でも、母好きだからなー柑橘系…よし、親孝行として、全部とっていくか。

 ふははは、根こそぎもらっちゃうぜ!


 54万円のオレンジだから、美味しいに違いない。


 私はパーカーの帽子部分に、オレンジをつっこむ。



「よいしょっと」



 絶対成長している跳躍力で、枝に手をかけ、近くの幹に手をかけて、木に登る。

 割と、がっしりとしていて、私が乗っても折れなさそうだ。


 インドア派の私だが、兄に付き合って、この時期には死ぬほど山遊びはさせらた――ついでに、迷子になって二日ほど彷徨った――記憶もある。


 木登りは、割と得意なほうだ。


 先ほど見えた一つをもぎり、パーカーの帽子に入れながら、さっと見渡すが、あと二つしか生っていなかった。


 がっかりだ。


 その二つも回収して、地面に飛び降りると、にっこにこの姉の顔が目の前にあった。

 目、目が笑ってないんですけど…?


 たら~と、本能的に冷や汗。



「みぃい~~こぉ~~…」



 ひぃ!猫なで声の姉ほど恐ろしいものが、この世にあろうか?――いやない!

 多分、悪魔と対じしても、これほどの恐怖を感じないだろう。


 伸びてきた手が私の額を鷲掴みにする――アイアンクローである。 



   === 由唯が現れた。

   === バックアタック。相手の先制攻撃

   === アイアンクロー、ダメージ7 



 ってか、なんで戦闘ログが発生してるんですか!

 

 しかも、バックアタックって!!

 せめて、ゴブリンと対峙した時のように発生しろ、我が技能!


  

   === 真実子のステータス異常【恐怖(強)】

   === 真実子の全ステータス10%ダウン

  

 


 え?むしろ【恐怖】状態で全能力低下って!!


 いやいや、いやいや、なに、このゴブリンと対峙した時よりも、めちゃ危険度が高くありませんか、ねぇ、おい、このステータス表示しているやつ、っつーか、責任者出て来い!


 どどどど、どうする?

 

 右か、左か、いや、ジャンプして、逃げ、無理、姉、死ぬ、私死ぬから!



   === 真実子のステータス異常【混乱】

   === 真実子の精神が、5%ダウン

   === 由唯の必殺技発動



「ぎゃっ!」



 一瞬の隙を突いて、背後に回る姉の足と手が絡んで、体を折るような体制へと持っていかれる。

 もう、気がついたときにはコブラツイストの体制であった。

 


「ぐはぁっ!!」

「お出かけするときは、なにするんだったっけ~?」

「うっ!」



 痛みのあまり、声が出なかった。


 っつーか、あんた角度のよっては絶対パンツ見えてるよ!!大丈夫か、乙女――むしろ漢女おとめ


 誰か助けて―――ってか、兄、なぜ拝む!!

 両親、なぜ微笑ましそう!?

 遠巻きにするのやめて、騎士たちよ!ヘルプミー!!



「ミコっ!」

「家族にっ、声っ、かけますっ!」



 って、私は小学生か!

 そういってやりたいけど、実際、しないから怒られているわけで―――あたたたたっ!!


 前科ものは何をやっても疑われるのです。


 でも、私がうろついたのは、近くじゃん?すぐそこら辺でしょ!



「お家に、人がいなかったら?」

「書置き、しますっ!」



 ギブ、ギブっ、わかりましたから!


 ひぃいいっ!!ごめんなさい、もうしませーんっ!!

 お代官様お許しをっ!!


 死ぬぅっ!!

 

 背骨折れるっ!!



 

  ・

  ・

  ・

  ・

  ・

  ・

  



 どれくらい、そうして攻め続けられていたのか、気がついた時には私は車に乗っていた。

 多分兄が運んだのだろう。


 くぅううっ!これも、騎士(目つき悪)が我侭言うからだぞ!(責任転換)


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