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1.不安な坑道
「ギド?大丈夫?」
エルザの声に、僕は疲れた体を起こした。
「まだ坑道を抜けられてないなんて・・・本当にたどり着けるのかな?」
僕は手元で弱々しい光を放つランタンを見ながら、不安そうに呟く。
「大丈夫。もう、すぐこの先・・・のはずだし。」
「それ、昨日も言ってたよ?」
僕がおかしそうに笑うと、エルザはぷいっと顔を背けて歩きだした。
「あ、待ってって。」
ランタンを持つと、僕は慌ててエルザの後についていった。
地底都市テルス。それは、僕らが向かうべき場所か。
向かわされている場所か。
22年前に地上から侵入した敵国の部隊に制圧され、破壊された都。
魔女の聖地だったとされ、忌み嫌う人々も数多い。
ただ、今は誰一人足を踏み入れない。そういった未知なる存在に惹かれて
僕とエルザはここまでたどり着いた。
この先に眠る未知が僕らの脅威となるのも知らずに--------------------------
「これは・・・・・・・・・」
つづく