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Photo d'existence 【フォトデギジスタンス】  作者: じゅん
ベル・グランヴァル
8/30

8話

 初めて聞いたブランド。こんなのもあるんだねぇ、とシャノンは置いてまじまじと凝視。


「この、蓮みたいなのは?」


 次いで花のほうに注目。見たことある、のはかろうじてカスミソウ。あと、どこかで見たことあるような葉。でもやはり主役であろうものは特に気になる。


 それをひとつ手に取り、ベルは指でくるっと一回転。


「クルクマという花です。ソフィアホワイトという品種になります」


 白くてカモメみたい、と無理やり結びつけてみたり。葉はスパティフィラム・センセーション。ここにはなく、あまり咲かないがこちらも白い花のような苞をつける、基本的には葉を楽しむ観葉植物。そして華やかさをプラスしてくれるカスミソウ。以上、三種で作るアレンジメント。


「綺麗。で、この花にした理由は?」


 完成より先に答えを聞いてしまうタイプのシャノン。おそらく、全体的に緑と白の清らかさのある感じになるのだろう、と予想できた。


 花を優しく、包み込むようにベルは抱く。


「クルクマは暑さに非常に強い花なんです。花言葉に『忍耐』というものもあるくらいですから。仕事は辛い。でも、耐えると綺麗な花が咲く。そういう意味も込めて。人間は。弱いけど、強いですから」


 矛盾してるのはわかってる。でもそれが生きているってことで。きっとベアトリスが聞いていたら「意味わからん」と一蹴されそうだけど。でも、そう感じてしまったのだから仕方ない。


 一瞬の間のあと、シャノンはこの少女の『今』をカメラで切り取る。


「いい笑顔だね。花も。素敵だ」


 撮影した一枚。帰って確認するのが楽しみ。コーヒーでも飲みながら。窓から夜景でも見ながら。「若いねぇ」なんて呟きながら。


 若干の恥ずかしさを感じながら、ベルははにかむ。


「……ありがとう、ございます」


 個展に、ってことは自分が飾られるかもしれないわけで。不安のようなものが。一抹だけ。しかし切り替えてアレンジに向き合う。ポケットからガラスの球体を取り出す。

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