8話
初めて聞いたブランド。こんなのもあるんだねぇ、とシャノンは置いてまじまじと凝視。
「この、蓮みたいなのは?」
次いで花のほうに注目。見たことある、のはかろうじてカスミソウ。あと、どこかで見たことあるような葉。でもやはり主役であろうものは特に気になる。
それをひとつ手に取り、ベルは指でくるっと一回転。
「クルクマという花です。ソフィアホワイトという品種になります」
白くてカモメみたい、と無理やり結びつけてみたり。葉はスパティフィラム・センセーション。ここにはなく、あまり咲かないがこちらも白い花のような苞をつける、基本的には葉を楽しむ観葉植物。そして華やかさをプラスしてくれるカスミソウ。以上、三種で作るアレンジメント。
「綺麗。で、この花にした理由は?」
完成より先に答えを聞いてしまうタイプのシャノン。おそらく、全体的に緑と白の清らかさのある感じになるのだろう、と予想できた。
花を優しく、包み込むようにベルは抱く。
「クルクマは暑さに非常に強い花なんです。花言葉に『忍耐』というものもあるくらいですから。仕事は辛い。でも、耐えると綺麗な花が咲く。そういう意味も込めて。人間は。弱いけど、強いですから」
矛盾してるのはわかってる。でもそれが生きているってことで。きっとベアトリスが聞いていたら「意味わからん」と一蹴されそうだけど。でも、そう感じてしまったのだから仕方ない。
一瞬の間のあと、シャノンはこの少女の『今』をカメラで切り取る。
「いい笑顔だね。花も。素敵だ」
撮影した一枚。帰って確認するのが楽しみ。コーヒーでも飲みながら。窓から夜景でも見ながら。「若いねぇ」なんて呟きながら。
若干の恥ずかしさを感じながら、ベルははにかむ。
「……ありがとう、ございます」
個展に、ってことは自分が飾られるかもしれないわけで。不安のようなものが。一抹だけ。しかし切り替えてアレンジに向き合う。ポケットからガラスの球体を取り出す。




