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Photo d'existence 【フォトデギジスタンス】  作者: じゅん
ベル・グランヴァル
5/30

5話

 その柔らかな表情からシャノンは、先ほどまでの申し訳なさが雲散霧消。取り越し苦労、ってやつぅ?


「なんか余裕ありそう? すごいふんわりしたテーマにしちゃったから、悩むのかと思ったけど。てかさ」


「はい?」


 いつの間にか閉じていた瞼を開くベル。そしてキョトン、と見つめる。


 シャノンが気になったのはその手元。選んでいる際に出ている癖、のようなもの。


「ピアノ、弾いてるみたいだね。なんかさ。優雅っていうか」


 そういう教養はないけども。また店内の空気がちょっとだけ変わった気がした。優しい方向に。


 その感想通り、花を考える際のベルはクラシック音楽をイメージする。そして今まで聴いてきた曲の中から、自然と合うものをピアノで演奏する。これが彼女の中で一番しっくりくるアレンジメントの方法で。


「そうですね。私は音と花は一緒だと思っています。ベアトリスさんから教えてもらったことなんですけど、アメリカの詩人、エドウィン・カランて人の言葉で『花は、地球の唇から音もなく生まれる大地の音楽』というものがあるんだそうです。なるほど、って思いました」


 当然無意識に湧き上がってくる曲なわけで。なんとなくドイツ的なものになるかな、と思ったが聴こえてきたものは全然違って。


 その偉人らしき人も知らなければ、言っていることの意味もシャノンにはよくわからない。なので。


「うん? うん?」


 と噛み砕けずにいる。唇? 大地? なんの話?


 その理解に苦しんでいる姿、なんとなくベルにもわかる。自分も最初はそうだったから。


「まぁ要するに、一緒ってこと、だと思ってます。勝手に」


 だけど、きっと人によって解釈は違ってて。それでよくて。答えがないから広がりがある。


 若い子がなんだか逞しく見える。シャノンは難しそうな顔で頷いた。


「ふむふむ。てかもうできそうなの? ちなみにさっき弾いてたのはなんて曲?」


 言われてもわかんないと思うけど。ベートーヴェンとかならわかる。名前だけ。

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