4話
もっともっとこういった話をしていたいシャノンではあるけども。時間は有限。お互いに。
「そうだね、じゃあ。テーマは『職業』。職というものを花で、アレンジメントで表現してもらおうかな。うん、それにしよう」
手っ取り早く。こんな注文した人間、今までにいないだろうけど。そういった興味を含めて。ちょっとイジワルかなと悩んだが。
それを聞き、深く、深くベルは呼吸。落ち着かせる、というより体に空気を浸透させるように。
「……わかりました。でも……いいのかなぁ……」
一応は〈ソノラ〉を代表する、ということ。オーナーや店主ではなく、一番下の自分が。悩ましい、でも私は悪くないし。勝手に話が進んでただけだし。
「いいんじゃない? 知らないけど」
シャノンも適当に返す。なにやら複雑な事情がありそうだが、それはそれ。こっちは写真を撮って印刷するだけ。
ゆっくりとベルは立ち上がると、店内を歩き回る。数多のアレンジメントを見ていると、なにか降りてきそうという考えのもと。
「職業、仕事か……」
世界は色んな人が働くから成り立つのであって。フローリストもフォトグラファーも。必要とされる職業で。どこかで誰かに影響を与えていて。
並んでシャノンも観察。少女も。店の雰囲気も。
「ほんと色々なアレンジメントがあるね。花屋さんてさ。仕入れたものをバケツに入れて、それで注文されたブーケ作ったりするとこばっかりじゃん?」
少なくともそれが一般的。パリだから、とかじゃなくて世界的にそうだと思う。まわった国はそうだった。
笑みを浮かべてベルは頷く。
「ここはお話を聞いて、その方の求めるアレンジメントを販売することだけですからね。珍しいと思います」
自身も最初は戸惑ったことを思い出す。なんの店なのかもわからなかった。でも、すごく素敵で。力になりたいと、力にしたいと決意した日。心が温かくなる。




