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26話
夜、自室にて。いつものようにパソコンで写真の確認をしながら、シャノンは録音された曲を聴く。もうすでに十回は聴いている。でも。飽きない。コーヒー。美味い。
「……花。ピアノ。職業ってさ。難しいね。思ってる以上に。でも。面白い。思ってる三倍以上」
立ち上がると、そのままベッドにダイブ。まだ耳に、脳にモーツァルトがいる。調律師。結論。
「『音の始まり、安らぎを届ける者』。いや、ちょっと言い過ぎか?」
ひとりごちながら、窓の外に視線を向ける。パリの夜景。空。思わず笑む。
「ま、いいか。今だけは。モーツァルトのおかげってことで」
借金。さすがにそっちでは……作ってないよね? 天才さん。




