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Photo d'existence 【フォトデギジスタンス】  作者: じゅん
レダ・ゲンスブール
24/30

24話

 連綿と続く音の世界。良いことも悪いこともひっくるめて。ステイシーの血肉となる。


「だからこそ、私はクラシックが好きなのかもしれません。未完成で、未完結で、未熟で。いつまでも伸びしろがあるような気がして」


 明確な答えがない。むず痒いときもあるけど。でもその議論がより、その曲と作曲家を輝かせる。素敵な関係性。自然と指が走る。


 聴こえてくるのはたぶん、他のラフマニノフの曲なんだろう、とシャノンは予想した。この女性も。ベルとは違って、自分の中の自分を知ろうとしていて。それがたまらなく。美しく見える。


「……もしさ、ステイシーさんが『職業』をテーマにした曲を弾くとしたら、どんなのを選ぶ?」


 弾き終わりに、最後にひとつ、問いを投げてみる。というより、ただの興味。楽しそうじゃん?


 眉根を寄せてステイシーは思考する。


「職業、ですか? 曲名に職業が入っている曲はいくつかありますが……それとはまた違った感じですね」


「いや、あんま深く考えなくていいのよ。ほら、肩の力を抜いて。そういうもんなんでしょ? クラシックって」


 早速受け売りを使ってみるシャノン。もっともっと。ふにゃふにゃとした、輪郭の曖昧なものでいい。らしい。


 レダとしても、言われてみれば気になること。ぱっと閃いた曲が。ある。


「なるほど、候補はいくつもある。だけど僕なら、いや、モーツァルトの話が出たからね。なんかそっちのほうで考えてしまうね」


「そうですね。となると、あの曲かなと」


 モーツァルトと職業。そこから導き出されるステイシーなりの答え。他の人のことは知らない。自分が思うままに。


「うん。たぶん、考えてることは一緒だね」


 なんとなく一致した気がレダにも伝わる。きっと、他にもこの状況なら選ぶピアニストもいるはず。


 両者の顔を見合わせつつ、シャノンの気持ちが逸る。


「なになに。そんな曲がモーツァルトにあるの? よかったらさ、それって弾ける? あと、録音とかもしてみていい?」


 まだ許可は取ってないけどもレコーダーを出す。携帯でもいいけど、やっぱこういうのはちゃんとしたやつ。音割れとかやだし。

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