表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Photo d'existence 【フォトデギジスタンス】  作者: じゅん
レダ・ゲンスブール
22/30

22話

 当然シャノンもそこに引っかかる。


「どういうこと?」


 避ける? なにを?


 その疑問にレダはより詳しく解説を挟む。


「たとえば『音の絵』という曲集は、グレゴリオ聖歌の『怒りの日』というものと密接に結びついていてね。世の終末、を意味するこの曲が曲集に何度も登場するんだ。当時のロシアというものは、本心を直接的に伝えることが非常に危険な時代で。ラフマニノフは国外にいたんだが、それでも曲の中に彼の想いが乗っかってるってわけ」


 ラフマニノフを理解するには、こういった知識も必要になってくる。ただ『悲しい』『辛い』という表面だけの読み込みでは生まれない深さ。指先に想いが。乗るように。


 なにやら難しそうな話。わかるところだけシャノンは掻い摘む。


「一般的なのを避けるってのは?」


「平均律っていう揃え方が現代のピアノでは主流だし、今回もそうしたんだけど、ラフマニノフは中全音律という揃え方のほうが美しい、と僕は思っている。この頃のロシアの作曲家は、意図的にそのように曲を生み出している気がしてね」


 特にレダが注目したのは『ウルフの五度』と呼ばれるズレた和音。ラフマニノフは平均律ではなく中全音律で整えた場合でもしっかりとそれを避けた曲が多く、最初から意識していたと考えるには充分な証拠になる。


 すでに平均律が一般的だった中ではあるが、ロシアはクラシックの伝播が比較的遅い地域。古い調律のピアノに合わせた部分があるのかもしれない。


 当然、中全音律には平均律にないメリットもある。オルガンやチェンバロ時代の調律であるがゆえに、その当時の曲調とマッチしやすいこと。弾ける調が限られるぶん、特化しているとも言える。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ