表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Photo d'existence 【フォトデギジスタンス】  作者: じゅん
レダ・ゲンスブール
17/30

17話

「ま、でも上を目指そうとする人がいる限り、なくならない仕事だと思うよ。やはり電子とそうじゃない生の音は、はっきりと違うから。慌てない慌てない」


 安心したり悲しんだり。コロコロと気分が浮き沈むレダは確信している。電子ピアノは、生のピアノの音を録音して再現しているに過ぎない。言ってしまえばコピー。そのコピー元のピアノが、弾く側の好みの調律をされている保証などない、というのもある。


 ふむふむ、とシャノンは前屈みになる。聞く姿勢を強調。


「そこんとこ詳しく」


 花の時も思ったが、全く知らない世界。そういうものの話をしている時は、正直ちんぷんかんぷんで興味が湧くか心配だったが、心配などなんのその。引き込まれる。音の世界。結構好きかも。


 普通の人は判別つかないと思うけど。そう、定義した上でレダは語る。


「電子の変わらない音、というのは良くも悪くもあってね。大きなホールとかで演奏するなら、そこの反響に合わせた調律をしなければならない。ピアニストや作曲家の癖も考慮に入れてね。電子はそれができない。そもそもが調律できないからね」


 中音から高音にかけてのピアノの鍵盤は、ひとつにつき基本的に三本の弦が張ってあり、それを叩くことで音が出る。しかし時が経つにつれ、木の縮小などでズレが生じてきてしまうのだが、それを整えるのが調律。一本なら狂わないのでは? と聞かれることもあるが、それだと音量が足りないし、音が貧相でつまらない。ゆえに三。低音は一本ないし二本の巻線の部分もある。


 電子は叩くものではないのでそのズレは生まれないのだが、タッチの感覚の違いやピアニストに合わせた調律はできない。お互いにメリット・デメリットが存在する。


「それに、一回弾いただけで調律は狂うこともある。あのフランツ・リストは、一度のリサイタルでピアノを壊してしまうほどの激しさだったらしいし。僕でも無理かもね」


 お手上げ、という風にレダは諦めの境地で肩をすくめた。木で作られている時点で限界。だがピアノの音色には木が必要。どっちも、は不可能。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ