12話
花と格闘すること数分。簡単にではあるが、ひと通りのやり方を教わりつつ、シャノンは隙間に挿しこんでいく。
「よっし、できた。こんな感じでいいのかな。どう?」
一歩下がり、全体を見つつ、問いかけてみる。自分的には満点。から十点くらい引いて九十点。やっぱりちょっと不格好。プロがやると違うんだろうなー。
クルクマとカスミソウの白、スパティフィラムの緑。控えめであり、強くもあり、優しくもあり、華やかさもあり。人間。そこから生まれ出る音。それがひとつになったアレンジメント。
わぁ……とベルの心臓が跳ねる。
「すごく可愛いと思います。私なら買います」
いや、本当に。たしかに乱れているところはあるけども、それが本心。自分で選んだわけだけども、これはもしや才能あるのでは私。とシャノンさん。
褒められたシャノンも悪い気はしない。でしょ? いいでしょ?
「ありがとー。私もここで空いてる時間に働かせてもらおうかね。人生でさ、絶対なにか役立つよね。花に詳しいと」
「私も無理言って働かせてもらってますから。もしかしたら、があるかもです」
そうしたら私がついに上司になってしまうのか、とベルはしみじみ。楽しそうな場所。お店。そうなったらいいな。
カメラを構え、シャノンはオリジナル……と果たして言っていいのかわからないが、初のアレンジメント。たぶん。過去にあったかなー、を撮影してみる。職業、というテーマ。深い。思ったより。
「こりゃ、想像以上に濃い内容になりそうだこと。片手間じゃどうにもならんね」
手が少しだけ震える。呼吸が浅くなる。でも、これだよこれ。こういうの待ってたんだから。メルシー、神様。




