10話
花留めに関して、ベルは反応する。
「あ、もし売ってるとこ見つかったら教えてください。私も個人的に欲しい、かも」
情報は多ければ多いほど助かる。パリにはない種類だと嬉しいし。ベアトリスさんに自慢したいし。の前に、使用したぶんは補充しておかないと。
一期一会ではなく、今後も長い付き合い。それはシャノンにも願ったりなことで。
「いいよ、色んな国とかまわってるからさ。もし旅先でベースとか花留めとか。に、なりそうなものあったらお土産に買ってくるよ。楽しませてね」
将来、世界的に有名なピアニストになったら写真は任せてもらおう。という魂胆もあり。
「ありがとうございます。ぜひ」
なんだかすごく頼もしい仲間ができた、と内心でベルは歓喜する。今日、ここにいることができてよかった。感謝……は躊躇われるけど一応店主にしておく。
脱線したがシャノンは興味の矛先を花へ。
「で、話は戻るけど、これを思いつきで挿しちゃっていいわけ? 私にもできる?」
あまり器用なほうではないけれど。この子を見てたら体を動かしたく、新しいことに挑戦してみたくなる。私はカモメ。色んなところを渡り歩く鳥だから。
なんとなく、こうしようかという完成形はベルの頭にあった。だが、それよりも優先すべきは、お客さんの心に委ねること。
「一応、形としての基本みたいなものはあるんですけど、でもやっぱりそういうの含めて自由だと思うので、よろしければどうぞ。葉も、何種類かありますので」
せっかくなので、花に触れてもらう。そうすることで、なにかいい方向に変化があるかもしれない。自分のように。もしそうなったら。嬉しいから。
出番をもらい、意気揚々とシャノンは行動に移す。
「ありがとー。んじゃ、やってみようかな。でもさぁ、やっぱ初心者がやっちゃうと楽しいけど上手くできるか心配だよねぇ」
写真と共通する部分はあるとは思うけども。構図みたいなものとか。でも、それはそれ。能動的に作り出す難しさは別物だから。




