【麻生家に嫁入り】 自公連立解消 【不透明強まる】
筆者:
自公連立解消? え? こんなアッサリ? というのが記事を見た時の第一印象でした。
何せ僕の人生、意識があったときは自公政権だったので、ちょっと驚きのあまり実感が湧きませんね。
ということで2日前のエッセイ https://ncode.syosetu.com/n5505le/ の補足みたいな形で自公連立解消について個人的な意見を述べていこうと思います。
質問者:
2日前のエッセイの時点で筆者さんは「なんだかんだで自公政権は続くよ」みたいな感じでしたからね。
筆者:
大変情けないことに8割ぐらいの確率では自公政権で継続するものだと思っていました。
連立解消に伴い、首相指名をしないだけでなく、これまでの選挙で公明党が行っていた自民党候補への推薦も行わないことは大きな意味を持ちます。
10月10日時点で、自民党総裁に高市氏が就任してまだ6日ですからね。展開が目まぐるしいですね。
公明党は裏金問題によって議席数が減ったということで重く受け止めているのでしょう。
質問者:
逆に高市さんにとって安倍派はそれだけ大事だということなんでしょうか……。
筆者:
総裁になった功労者たちを切ることはできないんでしょう。既に内閣の重要ポストにも内定しているに違いありません。
口約束だけして首相指名させて、後は反故にする「政治家の常套手段」を使わなかったんだ……という感じでしたね。
高市人事は石破氏の時以上に論功行賞人事は色濃いので、ちょっと公明党としては受け入れ難いんでしょう。
※ただし、斎藤代表には相続金の不記載の問題などがあり、政治と金の問題に対して、完全無欠というわけではありません。
質問者:
でも、石破さんの時も「公認料2000万円問題」などがあったり、裏金事件について傷口を広げるようなことをしていたような気がしたんですけど……。
筆者:
石破政権のナンバー2だった菅副総裁(当時)と森山幹事長(当時)が公明党・創価学会との橋渡しをうまくやっていたのが大きかったようです。
それに対して高市氏が総裁に就任してからは公明党というより国民民主と率先して交流をしているのを見て「ないがしろにされた」と思ったのではないでしょうか?
また、今回総裁選に大きく貢献した麻生氏の影響は大きかったと思います。
麻生太郎副総裁が22年12月閣議決定した安全保障関連3文書改定を巡り、公明党幹部らを「一番動かなかった癌だった」と発言しています。
このことは公明党がよく思っていたはずはなく、お互いに見えない溝が深かったのでしょう。
麻生氏の意向を高市氏が汲みまくっていることからSNSでは「麻生家へ嫁入り」とまで表現されていますね。
質問者:
SNSはうまい具合に表現される方がいますよね……。
筆者:
この高市氏の決断は非常にリスクがある決断だと思います。
日経新聞の10月10日の報道によりますと公明党の組織票が自民党に投票しない(棄権する)ことで前回の衆議院選挙で見ると自民党候補の2割落選し、立憲民主党に総議席数逆転されるとまであります。
公明党と連立しているから投票しないという人が自民党支持に戻るプラス要因と、参政党や保守党などの新興保守系政党に行ってしまってマイナス要因の双方が加味されていませんが、
やはり、「組織票」の影響は大きいように思います。
ただ、単独政権で単独過半数となれば一気に党内で求心力が上がるので(それが日本国民にとって良いこととは限らないですが)、
ハイリスクハイリターンの賭けであると言えますね。
大敗すれば自民党のメンバーが大きく入れ替わる可能性もあり、当初思われていたことと違った形の「解党的出直し」になりそうでもあります。
質問者:
そういう意味でも高市さんが斎藤さんの要求を突っぱねたのは驚きましたね……。
筆者:
自民党としてのプライドを見せたのかもしれませんね。
ただ、本来落選する候補者が他党の票田を借りて当選するというのはあまり好ましい状況ではないと思います。
自民党もある種の「政党としての健全化」に一歩近づくといえます。
しかし、幽霊党員問題など「党員の定義」の不透明性については改善はないので党のガバナンスが改善したわけではありません。
また、企業献金の規制も撥ねつけているために、たとえ単独政権で過半数を超えて政党としては健全化しても、国民のための政治ができるかは疑問が残りますね。
質問者:
逆に公明党さん側にはリスクってないんですか?
筆者:
公明党には政権与党として国土交通大臣のポストが13年間与えられ続けていました。
建設業界で幅を利かせることによって恐らくは自らの組織に関係する企業に有利に働くことをしていたに違いありません。
それを失う期間が長ければ長いほど組織の求心力は低下していくことになるでしょう。
また、選挙で自民党議員が思ったよりも落選しないという事態になれば存在意義が危うくなり、二度と政権復帰ができない可能性があります。
ただ、高市氏が自民党総裁でなくなれば次の総裁が泣きついてくるだろうという期待から今回の決断に至ったものと思われます。
◇「造反」で野党総理の誕生もあり得る
質問者:
こうなると総理大臣が野党から出て政権交代という可能性もいよいよ出てきたということですか……。
筆者:
高市氏としては考えが近そうな国民民主か維新を説得できるかでしょうね。
ただ、臨時国会開幕の際には国民民主は連立をしないと現時点では明確に表明していますからね。
一方で野党3党での連立についても『基本政策の一致は不可欠で、(立民とは)まだまだ大きな隔たりがある。なかなか現実的な話にはならない』とこちらも慎重な姿勢を見せています。
質問者:
玉木さんは自民党と立憲民主党に吸収されないように慎重に意思決定をしているように見えますね……。
筆者:
前回も挙げた衆議院の議席数
自民196 公明24 立憲148 維新35 国民27 (過半数233)
ですが、
立憲・野田代表が公明党に対して「連携の仕方考えたい」 「政策的な親和性ある」と秋波を送っています。
数字的には立憲、国民、公明を合わせると199で自民党を上回りますからね。立憲を中核とした内閣でも共産党なども含めたら色々な組み合わせが一気に出てきた気がします。
ただ自公ですらこうして終わってしまったのに、3党以上での連立、しかも1党たりとも欠けてはいけない状況だと、例え一時的な内閣が成立したとしても、一瞬で瓦解してしまうでしょうね。
質問者:
政治は単純に足し算で決まるものではないですからね……。政策の一致がないと……。
筆者:
連立は政党の結婚みたいなものですから。日ごろからの信頼関係が大事だと思います。
その点自民党は元の数が比較第一党ですから有利な地位にいると言えます。
ですが、必ずしもこの政党通り投票しない可能性というのもある気がしてきました。
特に自民党は高市氏の論功行賞人事に対して不満を持っている方もいるでしょうから、
「まとめて造反」といった形で「思わぬ総理大臣」が誕生する「大波乱」の可能性もあり得る気がします。
質問者:
人事って本当に大事なんですね……。
筆者:
自民党内から造反者が出たら人事が原因なので高市氏の「身から出た錆」としか言いようがないですけどね。
こうなると、どこかの政党が単独過半数を取らない限りは不透明な状況だと思いますよ。
ただ、政治的に安定していることは日本国民にとっていいこととは限りません。何回もこれは申し上げていますけど、単独過半数だと他の政党の意見は聞き流すだけになってしまい、暴走をストップさせることはできませんからね。
◇自民単独政権が強まると……?
質問者:
仮に自民党単独政権が過半数を超えた場合はどうなるんでしょうか?
筆者:
公明党は12年国土交通大臣のポストにありながらインフラ整備を怠り、ついに埼玉県八潮市の道路に大きな穴が開いた事態になりました。
支持母体のS学会は様々な疑惑があり、僕の母方の祖母は兄弟姉妹の中で唯一S学会ではなかったのですが、他の家族から「執拗なイジメ」みたいなものを受けたようで、僕は「遺伝子レベルでS学会嫌い」であります。
しかし、そんな公明党にもたった一つだけ良かったと言えることがあります。
質問者:
何がどう良かったんですか?
筆者:
それは自公連立の間は憲法改正がされなかったことです。
僕は80年もの間憲法が改正されないことは異常だとは思いますが、それ以上に憲法裁判所や国会で覆せない自民党案の緊急事態条項に非常に危機感を抱いています。
そして、高市氏や玉木氏はその緊急事態条項の必要性を訴え随分と前のめりの印象を受けます。
23年4月20日の憲法に関する会議では公明党の北側一雄副代表が自民党の4項目の憲法改正条文案(たたき台)のうち、自衛隊を明記する9条改正案に「賛成できない」とありました。
安倍政権下では自公維などのいわゆる「改憲勢力」で3分の2を超える瞬間がありましたが、理由は僕とは異なるとはいえ、公明党が改正に反対だった防波堤になって発議すら出来ずにいたんですね。
質問者:
なるほど……公明党さんはある種の抑止力になっていたわけですか……。
筆者:
全くイメージに無いですけど公明党は「平和の党」や「福祉の党」らしいですからね。
今後の選挙で自国維などで3分の2を超えるようなことがあれば憲法改正、特に危険な緊急事態条項入りの改正がなされる可能性が上がっていくんじゃないかなと思います。
ただ不安になることばかりを考えても仕方ないので、今後長期的に見ていい方向に向かうことを祈っています。
ということで、また大きく局面が動いたときに周辺情報を整理しつつ個人的な解説をしていこうと思いますのでよろしければご覧ください。