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③
思い出した。僕は幼き頃に素性の知れないおじさんと友達になっていた。
当時住んでいた場所は集合住宅だったので年齢関係なく友達は多かったし、友達のお父さんやお母さんの顔は覚えていた。そんな中で現れた何者かわからないおじさん。なにがキッカケだったのかは覚えていない。気付けば僕たちは友達になっていたし、おじさんと遊んでる時が一番楽しかった。
でも、ある日おじさんはいなくなってしまった。なぜなのかはわからない。でも、とても寂しかったことを覚えている。
そして、あの時のおじさんこそが今の僕なのだということを理解した。そうだ。たしかにおじさんはツナギを着崩したような服装だったし、毎朝鏡で見てる僕の顔そのものだった。なんで忘れていたのだろう。
ということは。僕もあの時のおじさんのようにどこかへ行ってしまうのだろうか。
一体、どこへ…………。
どうやって…………?