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これから

「もしかして…日和ちゃん…」

「直哉さんですか…」

緊張感が溶けたのか、いきなり泣き出してしまった。

俺は彼女の口を押え、声を出さない方が良いと教える。

「どうしてこんなところに…」

すると、少し落ち着いた、日和ちゃんはここまでの経緯を教えてくれた。

「私…教室で居残りをしてたんです。それで居残りしてたら寝ちゃってたみたいで、凄い揺れのときに起きたんです。すぐに机の下に隠れました。揺れが収まって放送が鳴ったので私も校庭に行きたかったんですけど…その、いろいろあって。校庭に行けなかったんです。ここで待ってても問題ないと思って…私影が薄いから。でも、誰も帰ってこなくて…恐る恐る窓を見たら、あんな状態になってて、ますますここから出られなくなっちゃったんです。」

「そうだったんだ…でも、無事でよかった。さぁ、僕たちの居室に行こう、ここに居ても何も変わらない」

「ダメです!私いけません…」

「どうして…」

日和ちゃんは顔を赤めながら下を向いている。

日和ちゃんの下を見てみると理由が分かった。

「あ、ごめんね…そうだよね」

そう言って俺は自分の入ている制服のズボンとハンカチを日和ちゃんに渡した。

「僕たちは向こうを向いているから、着替え終わったら教えて」

無言で頷く日和ちゃん。

数分経って。

「すみません、お待たせしました」

「よし、それじゃあ行こう」

「奴らはいないぞ…」

「こっちもだ。今なら教室に戻れる」

安藤と井口はそれぞれの方向を監視していてくれた。

「良し、行こう。日和ちゃんも焦らずについてきて。もし、ゾンビが出てきても、冷静に対処するんだ」

「うん…頑張る」

そして俺たちは教室を出た。

できるだけ音を出さず、静かに行動する。

皆のいる教室に付き、扉を小さく叩く。

教室内が少しどよめくが、リズムよく叩く。

それで安心したのか扉を開けてくれた。

「みんな帰ったよ…」

「丁度15分だったよ。皆、心配してたんだ」

「ごめん、少しトラブルがあって…それより、何か分かったか」

「いや…一応スマホで調べてるんだけど、中々ゾンビに直接つながる情報が出てなくて。国もまだ地震だって言い張ってる。自衛隊は出動してるそうだけど、地震の被害者を助けるためだとか言ってる。まだ発砲許可も出てないらしいんだ。これから僕たちがするべきことを考えたんだけど、このままここで待っているんじゃなくて、自衛隊の基地に向かったほうが安全なんじゃないかと思う。」

「自衛隊の基地?」

「そう、地震によって被害を受けた人たちを受け入れている基地を設置したらしいんだ。そこには武装しているはずの自衛隊の人たちがいると思うから。きっとここよりも安全だよ」

「自衛隊の基地は何処にあるんだ?」

「一応、それぞれの県にあるらしいんだけど、大きな基地が北海道、東京、愛知、大阪、広島、福岡、愛媛にあるらしいんだ。ここから1番近いのは大阪の基地だ、一番近いといっても100㎞は離れているから、車かバイク、自転車、最終手段として歩きがあるんだけど。どうかな?」

「車なんて運転できる人いるのか?それにこの状況で車に乗るのははっきり言ってリスクが高いと思う。それにこんな大勢で乗れる車はバスしかないけど。バスを運転できる生徒はいない。だから、ここで残る組と助けを呼びに行く組に分ける方が良いんじゃないかな。」

「確かに…その方が良いかもね」

「ちょっと、勝手に進めないでよ!私は絶対外にはいかないんだから」

「お、俺も…外にはいきたくない…」

その他多くのクラスメートが外には行きたくないと言い出した。

「もちろん、強制とは言わないよ。でもここに居るだけじゃ、絶対に助からない。だから俺は行くよ」


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