グループ
「お、お兄さんは、なんて?」
「皆、聞いてくれ。今から5人のグループに分ける」
俺は兄さんに言われたようにまず水の確保から始めることにした。
水の確保を行うために必要なことは1人で行動するのではなく、グループで行動した方が良いと考えた。
「5,5人のグループに分けるってどういうこと?」
1人の女子生徒が不安そうに聞いてきた。
「そうだ、5人のグループになってそれぞれのグループで行動していく。1人でいるには危険すぎる。でも30人以上が一緒に行動するのも難しい。だから、ちょうどいい5人で行動する」
俺はみんなに説明した。
いち早く動いてくれたのは、副会長の水島だった。
「皆、それじゃあ、番号順でグループを決めよう!いない人の所は前に詰めるんだ」
そうして、迅速に5人グループを作成した。
「よし、ちょうどみんなグループに入ることが出来たな。次に水を入れられるものを用意してくれ。なんでもいい、バケツでも水筒でもお弁箱でも構わない、とりあえず、水を入れられるものを集めてほしい。」
「わ、分かった!」
クラスの皆は教室で水を入れられそうなものをかき集めた。
「結構、集まったな。良し、それじゃあ、武器を持ってもらう。」
武器といっても、心もとない物しかないけど、何もないよりはましだ。
ある生徒は裁縫道具から、裁ちバサミを取り出し、ある生徒は部活で使うはずだったバットを手に取る。
ほうきやカッターナイフなどを持つ者もいた。
「よし、それじゃあ、女子はこの教室に残って、バリケードを張る準備をしておいてほしい。俺たちは、水を汲みに行く」
男子で水を汲みに行く、手洗い場は今いる3階に2か所、2階にも2か所、1階に3か所、トイレを含めればもっと多い。
しかし、1階は危険すぎる、何とかして3階ですべて汲み終わりたい、少しでも危険を減らすために、3回に分けて水を汲みに行くことにした。
今いるグループは6グループ、つまり、2グループずつ水を汲みに行く。
「よし、まず2グループ水を汲みに行こう!グループが返ってきたら、次のグループが水を汲みに行く。もし15分経っても帰ってこなかったら、安全を確認して次のグループが行くんだ。もし、俺に何かあったら、次は水島が指揮を執ってくれ」
「ああ、分かった。気を付けろよ」
「簡単にやられはしないさ」
俺はもちろん怖かった、でも俺がやらないといけないような気がしたんだ。
「よし、じゃあ行こう、安藤、井口」
「分かってるよ、死ななきゃいいんだろ」
「あまり行きたくないけど、仕方ないよね」
「俺たちは右側の手洗い場に行く、そっちのグループは左の手洗い場に行ってくれ」
「分かった」
俺は片手にバケツ、片手に裁ちバサミを持ち、扉に耳を付け外の音を確認する。
足音のようなものは聞こえなかった。
「よし、行こう」
少しずつ扉を開け、人が一人出られるくらい開けた。
通路には誰もいない、静かすぎて逆に怖かった。
「よし、今のうちだ、足音を立てず、できるだけ静かに移動しよう」
「了解」×2
手洗い場には難なくたどり着くことが出来た。
しかし、これほど何もいないのはおかしいのではないかと疑問に思う。
「ここの手洗い場はすぐ近くに階段がある、急がないとあいつらが上ってくるかもしれない」
安藤はリュックに水を入れた水筒を入れ
井口は危険がないかを確認する。
俺はバケツに水を入れていく。
数分で水を汲むことが出来た。
「よし、これで教室に戻るだけだ」
しかし、井口が何かに気づく。
「おい!あれ…」
井口が指さす方向には数体のゾンビの姿があった。
「あっち側から来るなんて、これじゃあ、教室に戻れない。左側に行ったやつらはどうなったんだ。ちゃんと非難したのか」
「落ち着いて、すぐそこの教室に身を隠そう」
手洗い場の近くの教室を確認する。
「中には誰もいないな…よし、入るんだ!」
安藤と井口を教室に入れる。
ゾンビが教室の前を通っていく、幸いばれることはなかった。
「よし、それじゃあ、教室に戻ろう」
「ガタン」
そう思った時、掃除用具入れから音がした。
「!」
「な、なななんだ…」
「2人とも気を付けて…」
できるなら見逃したいところだけど、もしかしたら人が中にいるかもしれない。
俺は用具入れを小さく叩くと、中から同じように音が返ってきた。
「人ですか?」
用具入れの中から
「ひ、人です…」
用具入れを開けると、中には見たことのある人がいた。