状況
僕は、すぐさま自宅のパソコンを開く。
「今の日本の状況と」
入力文字「い」の字だけですぐに関連状況が出てきた。
「何何?今、日本中でゾンビのような人の形をした化け物が暴れまわっている。そのゾンビにかまれたものは数分で同じような状態になってしまう。なるほど、大体ゾンビ映画と同じような状況にあるのか」
僕は映画が好きでいろんな映画を見てきたが、ゾンビ映画は特に好きでよく見ていた。
しかし、現実とフィクションではきっと違う結果が待っていることも分かっていた。
「国はどうしているんだ、早く鎮圧しないとすぐに日本中に蔓延してしまう。他国の状況はどうなっているんだ。万が一、他国が日本のゾンビを恐れ鎮圧するために、核爆弾なんかを使用したら、それこそ日本の国自体がなくなってしまう、でも世界にとっては良かったのか、日本は海に囲まれているおかげで他国に広がる可能性が低いと思う。でも実際はどうなのか分からないのが現状だ」
「キャー!」
「うわぁ、」
「だ、誰か、た、助けて下さイ…」
僕の家の周りでもこのような声が聞こえるということは、もう、相当な数の人がゾンビになってしまったのだろう。
もしあのまま避難所に向っていたらどうなっていたか。
考えただけでぞっとする。
今のところ安全な僕は何とか他の情報と知り合いの安否を知りたかった。
「あのゾンビたちはいったい何に反応しているんだ、血か、臭いか、音の可能性もある。いったい何があのゾンビを動かしているんだ」
いくら調べても、映画の説明しか出てこない。
こんな状況になってまだ数十分しかたっていないのだから仕方がないのかもしれないが...。
「こんな時、情報網がなくなったら大変だぞ」
そう思い、僕のもっている全てのモバイルバッテリーを取り出してきた。
「これ全部に充電しておこう、少しでも情報を集められるスマホの充電が切れたら相当やばいからな」
こんな状況じゃ水道も、ガスも電気も止められるだろう、もしかすると止められない可能性もあるが、できるだけの準備をしておきたかった。
僕は地震のために開けておいた窓を閉じ、できるだけ家に入ってこれないようバリケードを作った。
僕自身だけがギリギリ出られるような出口を天井裏に残しておく。
「ゾンビたちは人間だ、空を飛べるわけじゃない、屋根の方からくることはないだろう」
できるだけ静かに行動した。
これも、ゾンビたちが音に反応する性質だった場合の対策だ。
「よし、今やれるだけのことをやったぞ。次は安否確認だ。直哉は生きていることを確認ずみ。後は父さんと母さん、大ちゃん、桜さん、きっと無事だ、大丈夫」
今の状況で無事であることの方が難しいと思うがそう思わずにはいられなかった。
僕はスマートフォンを手に取りラインを送った。
この状況で電話をするのは避けた方が良い、自分の方が安全だったとしても、相手の方が安全だとは限らない。
「あっちから、電話がかかってくる可能性もあるから、スマートフォンはマナーモードにしておこう」
あのゾンビたちは夜も動くのだろうか、できれば動かないほうのゾンビであってほしいものだ。
そのころ学校では。
「クソ!どうなってるんだ。」
「だ、大地先輩…な、何ですかあれ」
「分からん、分からんがやばい事だけは分かる」
俺は、日ごろの日課である学校の部活に来ていた。
数十分前
「よし!全員今日の練習はここまで。これから残るもよし、早々に帰って休憩するもよし、そこは好きなようにしてくれ。俺はこの後、素振りを1000回する予定だが…」
「ぼ、僕たちも1000回素振りします!」
「よし!その意気だ、俺に続け!」
「はい!」×部員
素振りをしている途中だった。
「うわぁ、何だ、地震か」
「全員姿勢を低くしろ!」
「ぐぅ…」
次第に地震の揺れが収まっていく。
「と、止まったか…」
「大きかったですね」
その時、学校放送がかかった。
「全校生徒の皆さん、全員校庭まで避難してください。繰り返します、全校生徒の皆さん、全員校庭まで避難してください」
「大地先輩行きましょう」
「ああ、全員そのままの格好で校庭に集合!」
「はい!」×部員