地震
スマートフォンを見ると、多くのニュースでコラ画像のような写真や映像が投稿されていた。
「どういう事なんだ、何が起こってる」
SNS
[東京が何かやばいことになってるらしい!ww]
[名古屋市と大阪もやばいことになってる。なんだこりゃ?]
[地震が起こったと思ったら、今度はなんだ]
[今、総理大臣が会見を行ってる、見たほうがいいかも!]
「総理大臣が会見…」
僕はすぐさま、テレビのリモコンを取り、テレビをつけた。
チャンネル全てで総理大臣が会見している映像が放送されていた。
「国民の皆様、今日の正午に震度7マグニチュード9地震が発生いたしました。この地震による津波の影響はありません。震度7の地震としてはそれほど被害が出ていない状況であります。発生源は東京湾の海底30メートル付近だと推測されており、福島第一原発第二原発はすでに停止しておりますので放射能の心配はありません。日本全国に避難勧告が発令されていますので、お近くの避難所まで移動していただくようお願いいたします。そして、それと同時に、ネット上で教育に害する映像が多数発見されましたので、規制を掛けさせていただいております。自衛隊または警察官の指示に従い、避難していただきたく存じ上げます」
日本中で地震があったんだ。
それより、あの映像の方が気になるんだけど、やけにリアルだったな。
どうしよう、避難したほうがいいかな、でも、この土地は津波も来ないはずだし、活断層だって通っていないはずだから、比較的安全のはずだ。
今の状況を考えると、この場所から移動する方が危険な気がするな。
僕のこの判断が後に正解だったことに気づく。
「地震があった時はまず、出口の確保。玄関はちょっと怖いから、2階の窓を開けておこう。次に靴を履く、周りに危険なものがないか確認する」
地震が発生した時のマニュアルをこなした後、自分の部屋に戻り押し入れからリュックを取り出す。
「ちゃんと準備しておいてよかった。やっぱり、備えあれば患いなし」
リュックの中には、地震発生時に必要最低限のものが入れてある。
「水2Lよし、軍手、サバイバルナイフ、ヘルメットよし、ライト、ラジオよし、ガムテープよし、ロウソク、マッチ、ライターよし、替えの下着、タオルよし、携帯食料よし、ロープよし、断熱シート、アルミブランケットよし、折り畳みポリタンクよし、携帯トイレよし、絆創膏に消毒液、包帯、胃腸薬、救急セットよし、そして、たまたま、今日買ってきたドライフルーツよし」
リュックの中身を指さし確認する。
「よし、忘れ物はないか、もう一度確認しておこう」
その時、スマートフォンが鳴る、相手は高校に行っている、直哉だった。
「もしもし、どうかしたか?お~い、直哉!地震大丈夫だったか?」
返事がない。
「お~い、お~い、もしもし、直哉!どうかしたか」
何度か呼び掛けてみたが、返事がない。
「いったいどうしたんだ、何かあったのか」
電話をつなげていても仕方がないので電話を切った。
すると、もう一度電話がかかってきた。
電話がかかってきたが登録していない電話番号だったので誰だかわからなかったが一応出ることにした。
「はい、樹です」
「兄さん、助けてくれ!学校にゾンビが!」
「ど、どうした、直哉なのか!」
「ごめん、さっきスマホで電話したんだけど逃げた時に落としちまった。今クラスメートのスマホを借りて電話してる!」
「落ち着け、全く状況が分からない」
「智也も見ただろ、ゾンビ!国がデマ映像だって言ってるのは嘘だ、今日本中がゾンビであふれかえっているんだ!」
「ど、どうしてそんなことが分かる」
「俺の、情報網なめるなよ!日本中の友達が俺と同じ状態の人間を目撃してるんだ。それに俺自身が今さっき見た。俺が智也に嘘ついたことないだろ」
「た、確かにそうだな。それで、本当にゾンビが居たとして。今、追われているのか?」
「いや、俺たちは地震が起った後、校庭に避難していた。そしたら、全身血まみれの人がいきなり襲ってきたんだ。みんな、先生の言うことを聞かず、自転車で家に帰ろうとする人、校内に逃げたやつ、血まみれの男にかみ殺された奴がいた。その中で俺はクラスメートをまとめる天才だから、一声かけた『2年5組、全員教室に避難しろ!』ってそれで今、クラスに立てこもってる。兄さん、この後どうしたらいい、俺、何となく覚えてるけど、思い出せなくて」
『まず落ち着け、それが1番重要だ』
『わ、分かった』
『もしさっき言っていた事が本当なら、相当まずい状況だな、きっと今頃、町中ゾンビだらけだろう。だから直哉の判断は正しかったと思う。街に出ていたら則、ゾンビにかまれてあの世行きになっていただろうな。まず、大切なのは生き残ることだけを考えることだ。その次に水だけは何としてでも確保、バケツ、水筒、何でもいい、水を入れられるものなら全部に水を入れるんだ。それと、使えるものを何でもかき集めろ、食料、武器、なんかを集めることが出来たら生存率は格段に上がる。きっともう、学校内に侵入してきているはずだ、少しでも数を減らせるといいんだけど、無理に刺激すると、全滅する可能性もある。確実に倒せると思った時だけ試みること。ゾンビの世界で重要なのは忍ぶこと、どれだけゾンビと会わないかが重要だ。クラスメートと力を合わせて、その危機を乗り越えるんだ。クラスを5人チームに分けて役割分担させろ、全員で行動すると、行動心理的に仲間内でトラブルが発生する可能性があるからな。スマホのアラームはマナーモードにしておけよ、気づかれる可能性がある。ラインで1時間か2時間おきに生きてるかどうかの生存確認また、情報伝達を行え、情報が有るのと無いのとでは全然違うからな。ゾンビの世界になったら、僕はお前を助けに行ってやることは難しくなるだろう。でも、きっとお前なら生き残れる。信じてるからな、また生きて会おう」
「わ、分かった。できるだけやってみる」
そう言い残し直哉は電話を切った。
「あの動画が本当なのだとしたら、僕が背負っているバックだけではどうすることもできないな。でもまずは情報が欲しい。いったい何に反応しているのか、行動する時間、速度、強さ、何か情報が有るのと無いのとでは生き残れる確率が変わってくる」
ふと気が付いた、どうして僕はこの状況でこんなにも落ち着いていられるのだろうか。
何なら、笑みさえ浮かべているかもしれない。
「僕ってこんなにサイコパスだったかな」