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始まり

2022年3月22日(火曜日)(天気:晴)


いつも通りの日常が壊れた日。

僕は今日、この日を一生忘れないだろう。

毎日の習慣である日記に今日からの生活を書き記しておこうと思う。

もしこの日記を読んでいる生き残った人がいたら、この日記を読んで、少しでもあなたの力になれたらと思う。

この日記を僕以外の人が読んでいるということは、きっと、僕はこの世にはもういないのかもしれない。

万が一、この日記を僕が落としたという可能性もなくはないが、きっとあり得ない。

何故なら、僕が心配症だからだ。

僕はものを無くしたことがない、だがもしもの場合があるから、ここに僕の携帯番号とメールアドレスを記しておく。

090₋××○₋△×△、Ituki〇〇〇〇tomoya@icloud.com

連絡手段があったら連絡してみてほしい、もしかしたら、繋がれるかもしれない。

僕と、あなたがこの世界で生き残っていけることを願っている。


自己紹介

名前:樹智也

年齢:18歳

誕生日:2月18日

性別:男

家族構成

父?:樹茂、母?:樹幸恵、長男〇:樹智也、次男〇:樹直哉



3月22日

今日、世界で何が起こったか僕にも分からなかった。

午前7時10分頃

僕は大学が決まり、1人暮らしの準備をしていた。

「ふ~、大体のものを段ボールに詰めることが出来たな。持ち物リストを利用して、完璧に詰めたつもりだけど、本当にちゃんと入れたかな。もう一度確認しておこう」

持っていくものを確認していた時。

スマートフォンが鳴る。

「もしもし、樹?」

「どうしたの、大ちゃん?」

「いや、ちょっと気になったことがあってさ」

「気になったこと?」

「ああ、樹と俺同じ大学に行くだろ」

「そうだね」

「それでさ、持っていくものを確認したいんだけど、何が必要か分からなくてよ。こういう時は樹を頼れって俺の昔からの教訓があるからさ」

「OK、必要なものを書いたリストをラインで送るから、それを準備すれば間違いはないよ」

「サンキュ~、やっぱ樹は頼りになるな」

「僕なんかを頼りにしちゃだめだよ!」

「まあ、それもそうだな、じゃあ、また大学で会おうぜ」

「うん、楽しみにしてる」

僕はスマートフォンを切る。

「は~、大ちゃんはほんとに能天気だな」

大ちゃんとは、吉村大地。小学校からの腐れ縁で大学まで同じの親友。

いや、僕が勝手に親友って思ってるだけかもしれないけど。

「それでも、同じ大学に知り合いがいるだけで結構心強いな」


午前7時30分

家のチャイムが鳴る。

これもいつものことだ、弟の友達が弟を迎えに来た合図。

「お~い、直哉、友達が来たぞ!」

「ほ~い、分かってますよ」

こいつは、弟の直哉、生意気な高校2年生。

「お前さ、毎日毎日、友達を家に迎えに来てもらうのやめろよな。たまにはお前から行こうって気持ちはないのか?」

「ないね~。だって、あっちが来たいって言ってるんだから。俺はそれを尊重してやってるの」

「は~、全く、そんなんじゃ友達無くすぞ」

「友達が数人しかいない、兄さんに言われたくないね」

「ぼ、僕は友達を無くしたんじゃなくて、もともと友達の数がの少ないの!」

「それって、自慢することじゃなくない」

「自慢なんてしてないわ!」

「俺は友達を大切にしてるって思ってるよ。まあ、あっちから勝手によってくるんだけどね」

「生意気なやつ」

直哉が玄関に向かっていく。

「今日は遅くなるかも」

「どうして?」

「女友達と遊ぶ約束してるんだ」

これもいつものこと。

「あっそ、了解了解。じゃあ、気をつけていってくるんだぞ。最近も近所で交通事故があったらしいからな、右左しっかり見て、信号機を守るんだぞ。急な飛び出しも危険だからな」

「はいはい、分かってますよ。心配しなくていいって」

「そういう心が、交通事故を招くんだ」

「何も聞こえな~い」

「おい、直哉!」

「それじゃ、行ってきま~す」

はぁ、もうちょっと気を付ける気持ちを持ってほしいな。


午前8時

「じゃあ、智也。父さんと母さん仕事に行ってくるから」

「了解。夜食は僕が作っておくから」

「ほんと、助かるわ。ずっと家にいてほしいくらい」

「母さん、僕だってもうすぐ大学生なんだから、実家にいるってのもなんか違うと思うし」

「まあ、いいじゃないか、母さん。智也の好きなようにしてやれば」

「それもそうね、じゃあ、洗濯と皿洗い、部屋の掃除、食材の買い出しと夜食の準備、道具の手入れ。よろしくね」

「はいはい、了解了解。心配しないでいってきてよ」

「それじゃ、行ってくる」

「行ってらっしゃい」


「は~、もう少しでこの家ともお別れか、18年間お世話になったからな。良し、今日も張り切って、行こうか」

顔を叩き気合いを入れる。

洗濯、掃除、皿洗い、道具の手入れを早々に済ませ。

スーパーまで食材の買い足しに向かう。

「財布よし、メモよし、エコバックよし、スマホよし、鍵よし」

毎回僕はものをチェックするとき、駅長のように指差し確認を行う。

そうしたほうが、忘れずに済むからとお爺ちゃんに教わった。


午前10時30分

自転車で数分の大型スーパーについた。

「今日は何をつくろうかな。家に残っていた野菜を考えると、そうだな~今日はカレーにしよう」

大型スーパーは僕の行きつけの場所だ。

その理由は

「こんにちは、樹君。今日も食材を買いに来たの?」

「そ、そうです。いや~母さんが作ってくれってうるさくて」

「樹君、料理得意だもんね」

「い、いや~それほどでもないんですけど」

「こんど、食べてみたいな~樹君の料理」

「桜さんにそんなこと言ってもらえて僕もうれしいです」

桜さんは僕のもとクラスメートでこの大型スーパーでアルバイトをしている。

「桜さんも大学受かったんですよね。ここのアルバイト辞めちゃうんですか」

「そうだね、私…東京の大学に行くからさ。結構お金かかるんだ。しかもうちの家庭、母子家庭でさ、それに弟と妹がいて、私だけ大学に行くのもあれだから、高校出たらすぐに就職するって言ったんだけど。お母さんが『桜は頭もいいんだし、大学に行ってきなさい。家の心配はしなくていいから』って言ってくれたから。私も頑張って勉強して、結構いい大学にも受かることができた。しかも特待生にもなることが出来たし。これから少しずつ親孝行したいから、今も少しずつお金貯めてるんだ。ギリギリまでここでアルバイトするつもりではいるよ」

「そうなんだ、頑張ってるんだね」

やっぱり、桜さんはすごいな。

「お~い、桜君、仕事中だよ」

「す、すみません店長!それじゃ樹君、またね」

「ま、またね」

あ~、今日もかわいいな。

桜さん、学校でも人気があって、容姿端麗文武両道才色兼備。

お金がないこと以外は完璧な女性だ。

「あんな彼女がいたらな~て思ってるだろ」

「そりゃあもう、あんな人が僕の彼女だったらどんだけうれしいか…って!大ちゃん、どうしてここに」

「そりゃ、桜さんを見に来たんだよ。樹と同じようにな」

「ぼ、ぼぼ僕は夕食の買い出しをと思って」

「は~ん、ほんとにそれだけが理由か?」

「ま、まあちょっと、ほんのちょっとだけ、そういう気持ちもあったかな」

「やっぱりな。隠し事は良くないぜ、俺たちの中じゃないか。まあ、樹の考えてることなんて俺には手に取るようにわかるがな」

「ちょっと大ちゃんやめてよ」

「はっはっは、ちょっとからかっただけだ、まあ俺は応援してるぜ。それじゃ、俺は後輩の指導にでも行ってきますか」

「ほどほどにね…がんぱれ後輩たち」

大ちゃん、頭は馬鹿だけど運動がものすごくできるんです。

大学だって、剣道の推薦で合格したくらいだし。

「さてと、食材を買っていきますか。肉、カレールゥ、蜂蜜っと。よし、大体はこんな感じかな。ん?あれは…」

「こちら本日限定価格、ドライフルーツ半額になります!お1人様5個までとさせていただきます。無くなり次第終了とさせていただきますのでお早めにお取りください」

「ドライフルーツ半額!これは買わないと」

僕の大好物のドライフルーツが半額なんて今日はなんてついてるんだ。

すぐさま、ドライフルーツを5個カートに入れる。

「は~今日はこれだけでいい日になったな。良し、最終確認だ。肉よし、カレールゥよし、蜂蜜よし、ドライフルーツよし全部で4440円だな。ドライフルーツは自分の財布から出すか」

カートをレジまで持っていく、もちろん、桜さんのレジに。

「お会計すべてで4440円になります」

「はい」

「やっぱり、樹君ドライフルーツ好きだよね」

「ま、まあ、ていうか、めちゃくちゃ好きです」

「私も買ってきてあげようか?」

「い、いや悪いですよ」

「い~の、い~の私も欲しかったし。5個買っても全部食べ切れないだろうしさ」

「そ、それじゃ遠慮なく」

「バイトが終わったあとで持っていくね」

「あ、ありがとうございます」

や、やったあ、なんか分からないけど桜さんと話す機会がもらえた。

今日はなんていい日なんだ。


ウキウキな気分になりながら、自転車をこぐ。

「あ、危ない、さっきのことで気を取られすぎた。ここは交通事故が多発しているところだから気を付けないと」

僕は自転車を降り、歩いて帰ることにした。

自転車に乗るよりも歩いたほうが周りに注意しやすいからね。


午前11時40分

行よりも時間がかかってしまったが、無事家までたどり着いた。

「ふ~、疲れた。そろそろお昼か今日は何食べようかな。昼の前にちょっと眠くなってきたし昼寝でもするかな」


正午

それは突然に起こった。

『ドドドドドドドドドドドド』

「な、な、なんだ!じ、地震か」

揺れはすぐに収まった。

「何だったんだ」

次の瞬間

『ドッカン!』という大きな音と、揺れが襲ってきた。

「う、うわぁ」

大きな揺れにその場に立っていることすら難しく、僕はその場に頭を抱え四つん這いになり体制を低くした。

「だ、大丈夫、地震のときのために家具は全部止めてあるし。皿なんかも、飛び出してこないようにストッパーがついてる」

僕は近くの机の下に潜り込み、座布団で頭を覆った。

どれくらい揺れただろうか、次第に揺れは収まっていった。

体感は3分ぐらいだったが、腕時計を見ると

「40秒しかたっていないんだ結構長い時間揺れたと思ったのに、でも地震があったのに、地震が起こる前にジェーアラートが鳴らなかったな。ちゃんと設定してあったと思ったのに、まさか僕の注意ミスだったのか!もし、僕に何かあったら、自分の不手際で死んでいたかもしれないのに。もっとしっかり調べておけばよかった。一応僕は無傷だからよかったけど、これからはもっと、もっとよく確認しよう」

僕はすぐさま、スマートフォンをチェックした。

「情報情報、こんな時こそ、冷静になって情報収集だ」

そして、僕は目を疑うことになる。

「へ…なんだこれ…」



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