冒険者登録、その前に
かなりめんどくさい文章になってしまいました。
何となくで読んでもらって構いません。
ヘイズルの街は大きな壁に囲われており門を潜ると大通りへと続いている。
周りの建物は殆どがレンガ造りの家になっておりまるでタイムスリップしたような錯覚を起こしてしまう。
だが道ゆく人々はまるでファンタジー世界からそのまま出てきたような、鎧を身につけている人、大きな帽子を被り不思議な装飾が施された杖を持っている人、修道服のようなものを着ている僧侶らしき人などがたくさん大通りを歩いている。
(本当に異世界に来たのか俺は...)
周りの風景に呆気にとられていると、ゲラルドが
「この道をまっすぐ行ったところに大きな建物がある、そこが冒険者ギルドだ。」
「ありがとうございます、初めて会ったのにこんなに優しくしてくれて」
「いいってことよ、気にすんな!」
「.....」
会った時からずっと俺を睨んでくるユゥの視線が痛い。
「それじゃあ、行きますね」
「おう、またな!」
ゲラルドと別れ冒険者ギルドへと向かう。
一人で歩いているとさっきと違い余計に不安になる。
自分の置かれている状況を飲み込めていないがこのまま野垂れ死ぬワケにもいかない。
冒険者ギルドは周りの建物よりも一際大きく、また最近増築したのか入り口周りはかなり劣化しているが補強されたところや新しく造られた所もある。
扉を開けて中に入ると、見た目通りかなり広く多くの冒険者で賑わっている。
俺は奥の受付の人に恐る恐る聞いてみた。
「あの、冒険者登録をしに来たのですが...」
「はい、新規の方ですね?
すでに冒険者の方からの推薦状などはお持ちですか?」
「いえ、持ってないです...」
「それではどちらから来たのかが分かる物はお持ちですか?」
「いえ、えっと、確か、仮冒険者ってのがあるって聞いたのですが」
「あ、そちらでしたか。
どなたからそのことを聞いたのですか?」
「ゲラルドさんに教えてもらいました」
「ゲラルド...」
そう言うと受付嬢は驚いたような顔をした後、深くか考え込んだ。
そして少し周りの人に指示を出した後
「お待たせしました、いま書類を持って来させているので少々お待ちください」
「え、何か必要な物とかないんですか?」
「ええ、何もいりませんよ
ゲラルドさんの推薦ですからね」
(ゲラルドさんってそんなに凄い人だったのか)
改めてゲラルドさんに感謝をしていると奥の方から女性が大きめの羊皮紙を持ってきた
「それではこの紙に名前と出身地、そしてここにご自身の血を少し垂らしてください」
「え!?血ですか?」
「? ええ、そうです」
この世界ではこう言うのが当たり前なのか?
一体どんな世界なんだ、と思いながら名前を書く。
(出身地...日本でいいか)
受付嬢が俺の書いた字を見て不思議がっているが仕方ない、この世界の字を知らないのだから。
(あとは血を垂らすだけか...うう、やだなぁ..)
用意された小さなナイフで少し指を切り
指定された場所に数滴垂らした
しかし特に変化はなく受付の人たちも困惑している。
「えっと、何か病気や呪いなど受けたことありますか?」
「えっ?いやいや、ないですよそんなの!」
「でしたら...うーん、少し着いてきてもらってもいいですか?」
「え?あ、はい」
俺は受付嬢さんに案内されるまま冒険者ギルドを出て少し歩いたところにある建物に入っていった。
外から見ると分からなかったが中に入ると看護師がおり消毒液の匂いがすることからここが病院であることはすぐに分かった。
あまり患者がいないのか忙しい様子ではなかった
看護師と受付嬢が少し話すと
看護師に奥の部屋へと案内された。
「冒険者ギルドから直接とは、どんな問題児かな?」
そこには医者のような風貌をした眼鏡をかけた初老の男性が椅子に座っていた。
「まあ、そこに座りたまえ。
さて、一体どう言う状態かな?」
そう言うと医者は俺の体に手を当ててまるで何か念じているような動きをし始めた。
「ん?いやまさか...だが...」
かなり不安になるような言葉を呟きながらより強く念じ始めた。
「ふむ、なるほど。
こんな事は初めてだ。」
「何か大変なことなんですか?」
「大変どころではないよ、体にマナが通ってないなんて。」
「マナ?」
聞き慣れない単語が出てきた。
どうやらこの世界では「マナ」というものが存在するらしい。
「マナってなんですか?」
「君、何を言っているんだ?頭でも打ったのか?
いや、頭を打ったからこうなっているのか?
ふむ、少し説明しよう
マナというのはこの世の生きるもの全てに通っている生命エネルギーだ、全ての生き物は大地にあるマナを体内に吸収して生きている。
マナがなければまず生きてはいられないだろう、故にマナが通っていない君は本来すでに生き絶えているはずなのだよ。」
「え!?じゃあ俺死ぬって事ですか??」
「まあ、普通ならそうなるね。」
「直す方法はあるんですか?」
「外からマナを取り込むための弁が閉じちゃってるからね、直接人の手によってマナを流し込んで内側からこじ開ける事によって開ける事はできる。
まあ、これ生まれたばかりの赤子にやるようなものだけどね。」
「危険とかあるんですか?」
「そりゃあね、でもそれ以外ないからね」
「お、お願いします」
「じゃあ、上着脱いで、そのベッドに横になって。」
言われるがまま上着を脱いでベッドに横になる。
医者は俺の体に両手を置いた
「それでは始めます。
ふっ!!」
医者の手からマナが流れ込んでくる。
血管が無理やり押し広げられるような痛みが全身を回る
「....っ!」
痛みで声が出ない
「我慢して!もう少しです!」
のたうちまわりそうになるのを必死に堪える。
必死に耐えていると次第に痛みが引いていき。
「終わりましたよ。」
その言葉を聞き体の力を抜く。
「こんな事は初めてでしたが、成功しました。
変な所や痛い所はありますか?」
「ふぅ、いえ、大丈夫です、特にないです。」
体に異常はないが、手術を受ける前よりも体の調子がいい気がする。
この世界に来た時の気だるさも今では感じない。
「また何か異常があればお越しください。
お疲れ様でした。」
「ありがとうございました。」
そう言ってベッドから起きあがろうとすると来た時には気づかなかったが机の上に鏡がある事に気づいた。
「うん?あれ!?」
そこに映っていたのは全く見たこともない男の顔だった。
「あれ?誰だこれ?」
自分の顔を触ると鏡の中の男も同じ動きをする。
右を向くと左を向く、変顔をすると変顔をする。
「こいつ、もしかして俺??」
金髪でおおよそ日本人とは思えない顔立ちをしているこの爽やか系の男が俺?
「一体何をしているのかね?
やっぱり何か異常があるのではないか?」
「い、いえ、大丈夫です!
ありがとうございました!」
そう言って忙しく上着を着て足早に部屋を出る。
読んで頂きありがとうございます。
投稿ペース上げていきます!気持ちだけは一人前です。