第8話:森の中の戦い
「じゃあ行こう!」
「はい」
「えっと、あ・・・」
「はい?」
「名前、聞いて無かった」
「ああ、申し訳ありませんでした。
フロイオニア王国王女フラン=イオニア様付きの侍女、リーニャと申します」
こういった場合、身分を偽る事もあるのだが、リーニャはレキにだけは誠実であろうと思った。
命を救われたばかりか、己の浅はかな考えでレキを傷つけ、さらにはフランをも傷つけようとしたのだ。
恩人たるレキに何一つ偽る事なく接するのも、リーニャのレキに対する誠意なのだ。
「お・・・俺はレキ・・・と、もうします?です?」
「ふふっ、いつも通りでいいですよ」
「で、でも偉い人にはちゃんとしないとダメって、村長さんが」
「それを言えばレキ様は私の恩人ですから、むしろ敬意を払うのは私の方です」
「けいい?」
「尊敬し、その思いを言葉や態度で表す事ですね」
「??」
「恩人なのですからいつも通りでいて下さい、レキ様」
「さ、様はなんか・・・変な感じする」
「う~ん、それじゃあレキ君でいいですか?」
「うん」
恩を着せようとしないレキに、リーニャは改めて好意を抱いた。
同時に、レキはどこにでもいる少年なのだと理解した。
ただ不幸な過去があり、それを乗り切れる力があるだけの、ただの少年だった。
「それで、申し訳ないのですが・・・」
「なに?」
「今すぐあの子達を追いかけたいのですが、その・・・」
「?」
別れてからそれなりに時間が経っていた。
野盗の追っ手はいないにせよ、ここは魔の森。
辺りには凶暴な魔物がうようよいるのだ。
いくら護衛であるミリスとフィルニイリスが凄腕だとしても、魔の森で逃げ続けるのは困難なはず。
出来るだけ早く合流し、逃げ出すのが最善だろう。
それにはこの場所から早々に移動し、ミリス達に追いつかねばならないのだが・・・。
「正直な話、私の足ではミリス様やフィルニイリス様には追いつけません。
ですのでその・・・」
ミリスは王国騎士団の小隊長を務める精鋭の騎士。
フィルニイリスに至っては宮廷魔術士の長である。
身体能力に秀でるミリスと、魔力を用いた身体強化でそれを補うフィルニイリス。
野盗という追っ手と魔物の襲撃から逃れる為、今頃二人は全力で移動しているのだろう。
ただでさえ相応の時間が経過している今、リーニャでは追いつけるはずもない。
かと言ってどうすれば良いか・・・。
自分を置いてレキだけで追ってもらう、というのがフランの身を第一に考えた場合の最善。
だがその考えはもはや捨てている。
フランの元にたどり着くのは、レキとリーニャの二人でなければならない。
そうでなければ、レキだけでなくフランの心にも深い傷を負わせる事になるのだ。
「あ、そっか。
じゃあウォルフに乗っていけばいいよ」
「うぉるん、ですか?」
「うん、ウォルフ!」
そんなリーニャの考えはレキにちゃんと伝わったらしい。
笑顔で応じるレキが、背後に向かって何やら叫んだ。
「ウォフッ!」
「きゃあっ!」
レキの声に呼応するように現れたのは、一頭の銀色の狼の魔物だった。
侍女になる前、通っていた学園で教わったウルフ系魔物の亜種シルバーウルフだ。
森に生息するフォレストウルフの、上位個体とも変異種とも言われる魔物である。
その強さは元となったフォレストウルフを大きく凌駕し、どころか上位の魔物であるオーガにすら匹敵するらしい。
通常のフォレストウルフが束になってもオーガには敵わないのだから、もはや別種と言っても良いくらいだ。
「あははっ、くすぐったいよウォルフ」
「ウォフっ」
そんなシルバーウルフは、レキに懐いていた。
正直信じられない光景ではあるのだが、レキの力を知ったリーニャからすれば驚くには値しない。
ただ、突然現れた事には驚かされたが。
「ウォルフ、森の中に俺以外の人が入ってったけど分かる?」
「ウォン!」
「じゃあその人達のところまで案内して。
あとこの人を背中に乗っけてあげて」
「ウォン!」
レキの言葉に、ウォルフと呼ばれたシルバーウルフがリーニャの方に向き、伏せの姿勢を取った。
リーニャに「乗れ」と言っているのだろう。
正直身が竦む思いのリーニャではあるが、ミリス達に追いつく為には確かにこれしかない。
今は考える時間すら惜しい状況なのだ。
「・・・はい、お願いします」
いろいろと覚悟を決め、リーニャがウォルンの背に乗る。
「よし、じゃあ行こう、ウォルフ!」
「ウォフっ!」
「きゃあ~~~~っ!」
レキの言葉にウォルフが勢いよく立ち上がり、そして元気に駆け出した。
「ちょっ、はやっ、速いですレキ君!」
「大丈夫っ!」
「な、何がですかぁ~~~」
森の中、一人の少年と一頭のシルバーウルフが駆けていく。
背に乗せた女性の、甲高い悲鳴と共に・・・。
――――――――――
一方、リーニャと別れ森の中へと進んでいったフラン達。
野盗の追っ手はリーニャの献身により引き剥がす事が出来たが、森にはそれ以上の困難が待ち受けていた。
「くそっ、数が多い!」
「数だけじゃない。
一体一体も強い」
「こいつら本当にフォレストウルフなのかっ!?」
「フォレストウルフであることは間違いない。
でも”魔の森の”という言葉がつく」
「くっ、魔の森の魔物がこれほどとは」
時は再びさかのぼり、リーニャと別れて森の奥へと進んだ頃。
置き去りにしてしまったリーニャを想い、ただ涙を流すフラン。
そのフランを抱え、魔力による身体強化を施しながらミリスとフィルニイリスは森の中を駆けていた。
「リーニャ、リーニャぁ・・・」
「姫、申し訳ございません。
ですがこれしか・・・」
「わかっておる、わかってはおるのじゃ・・・。
それでも、うぅ・・・」
「そうするしかなかった。
リーニャも理解してる」
「言われずとも分かっておる!
それがリーニャの願いだという事もじゃ!
それでも!
・・・それでもわらわは」
「姫・・・」
「つらいのは分かる。
私だってつらい。
でも、今は生き残る事だけを考える」
「わかっておる・・・わかっておるのじゃ」
「姫・・・」
「リーニャぁ・・・」
リーニャの願いを受け、森を駆けるミリスとフィルニイリス。
彼女に託された姫を守るべく、今は心を鬼にしてひたすら森の奥を目指して走っていた。
森の外では野盗の別部隊が待ちうけている可能性が高い。
それに、リーニャが引き付けている男達とて、いつ追いついてくるか分からなかった。
完全に振り切る為、今は少しでも森の奥へ、野盗が手を出せない場所へと向かわなければならなかった。
そうしてしばらく走り続けたミリスとフィルニイリスは、頃合いを見計らい今度は森の出口へと脚を向けた。
魔の森は広く、森の外で待ち伏せているであろう野盗とて森全てを包囲する事は出来ないだろう。
おそらくは自分達が入っていった場所と、その周囲で待ち伏せるのがせいぜいのはず。
対して、こちらは身体強化を施した状態で全力で駆けていた。
それこそ、通常なら半日ほどかかる距離を半刻足らずでだ。
野盗は撒いたはず。
あとは森を抜け、王都へ帰還するだけ。
自分達はリーニャに生かされたようなものだ。
ならば、リーニャの願いを叶える為、生きてフランを王都へ連れ帰らねばならない。
その決意を胸に、ミリスとフィルニイリスは全力で森を駆け抜ける。
・・・ミリス達がいるのはこの世界でもっとも危険な場所と言われる魔の森。
野盗が森の中まで追ってこない理由、それを彼女達は思い知る事となる。
最初に現れたのはゴブリンだった。
数は八体。
久しぶりに現れたご馳走に、嬉々として襲い掛かってきた。
「ちっ、ゴブリンか」
「相手をしている余裕は無い」
「ああ、そうだな」
この時、ミリスはフィルニイリスの言葉の意味を取り違えていた。
単純に、わずかな時間も惜しいから逃げるのだと思っていた。
自分達は魔物を討伐する為この森に入ったのではない。
一刻も早く森を抜け、姫を城へ連れ帰る為なのだから、と。
フィルニイリスが「相手をしている時間は」と言わず「余裕は無い」と言ったのは、本当の意味でこちらには余裕がないからだった。
「ふ、ふり切れんっ!」
「前からも来た」
「っ!
増援か!?」
「・・・囲まれた?」
「やるぞ、フィル」
「・・・分かった」
ゴブリンの集団に囲まれ、二人は応戦を決めた。
「姫、申し訳ありませんが少し離れていてください」
「・・・分かった。
ミリス、フィル、頼むぞ」
「はい」
「うん」
抱えていたフランを下ろし、ミリスが剣を構える。
この時、ミリスは相手がゴブリンだからと完全に油断していた。
ここがどういう場所か、本当の意味で理解していなかったのだ。
「私が前に出る。
フィルは援護を」
「分かった。
でもミリス、油断は禁物」
「ああ、分かっているっ!」
気合一閃、ミリスの剣はゴブリンの一匹を両断した・・・が、その隙を突くように他のゴブリンが一斉に襲い掛かってきた。
「ギギッ!」
「ギャッギャッ!」
「な、速いっ!?」
その速度は、ミリスの想定を大きく上回っていた。
騎士として、ミリスはこれまで幾度も魔物の討伐をしてきた。
ゴブリンであれば、それこそ数えきれないほど倒してきた。
迫りくるゴブリン共は、そんなミリスが今まで遭遇したどのゴブリンより遥かに速かった。
ただのゴブリンだと思い剣を振るったミリスは、想定外の速度に困惑し隙を作った。
「"緑にして探求と調和を司る大いなる風よ、我が手に集いて立ちはだかりしモノを討ち砕け"
"リム・ブロウ"」
「グギャ!」
それでもミリスは騎士団の小隊長にしてフラン=イオニア王女の護衛である。
想定以上の速度で迫るゴブリンが相手とは言え、簡単にやられるような者では無い。
何より、ミリスは一人で戦っているわけでは無いのだ。
後方で控えていたフィルニイリスより、魔術が放たれた。
「リム・ブロウ」
緑系統の初級魔術の一つ。
風の塊を敵にぶつけるだけの単純な魔術。
単純がゆえに威力は低いが、その分発動が早い。
ある程度魔力を込めれば数体の魔物を纏めて吹き飛ばす事もできるが、フィルニイリスは速度を重視した。
ミリスが体制を整える時間を稼ぐ為に、最速で発動できる魔術を選んだのだ。
その選択は正しく、ミリスに迫るゴブリンの内、最も接近していた一匹を吹き飛ばした。
「助かった」
「ミリス。
油断禁物と言ったはず」
「うっ・・・すまん」
「話は終わってから」
「あぁ、今度こそ!」
その後の戦闘は、終始二人のペースで進んだ。
王国騎士団の小隊長にしてフランの護衛騎士でもあるミリスと、宮廷魔術士の頂点に立つフィルニイリスである。
魔の森とは言え、ゴブリンごときに負けるはずは無い。
だが・・・。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・」
「・・・やっぱり、一筋縄ではいかなかった」
「・・・これが、魔の森」
それでもゴブリンの強さは二人の想定を上回っていた。
魔の森の脅威。
それを二人は直に味わった。
だが、魔の森の脅威はこの程度では済まなかった。
ゴブリンですらこれほどの脅威へと変貌するのだ。
更に上位の魔物だったら・・・。
「・・・ミリス」
「囲まれている・・・のか?」
その疑問が、現実となり彼女達を襲った。
――――――――――
魔物には、冒険者ギルドが定めたランクという物が存在する。
人に対しどれほどの脅威かを数値で表したものだ。
一番弱い魔物をランク「1」とし、人に対する脅威が高くなるほどその数値も大きくなる。
先ほどミリス達が倒したゴブリンはランク「2」
一匹一匹の強さは大した事無いが、常に群れで行動する為注意が必要となり、規模によっては村が滅びる可能性すらある。
武器を持った大人なら数匹程度なら仕留められるだろうが、何分数が多いため殲滅するには騎士団や冒険者ギルドに頼らざるを得ないと言うのが実情である。
ミリスはその騎士団の小隊長、それも王族であるフランの護衛を任されるほどの強者である。
フィルニイリスに至っては宮廷魔術士の長であり、つまりこの二人であればゴブリンの群れを殲滅するのは容易い、はずだった。
にもかかわらず、二人が予想以上の苦戦を強いられた理由。
それは、ここが魔の森であり、先ほど遭遇したゴブリンがその魔の森に生息する個体だったからだろう。
そして、この森にはゴブリンよりランクの高い魔物も数多く生息している。
「種類は?」
「多分、フォレストウルフ」
今、ミリス達に迫っているのはゴブリンより高ランクの魔物。
森に生息するフォレストウルフという魔物だ。
冒険者ギルドが定めるランクは「3」
ゴブリン同様群れで行動し、森に入った者は人だろうが魔物だろうが襲い掛かる獰猛な魔物である。
ゴブリンよりランクが高い理由は、単純にゴブリンより強いから。
森の傍を通る隊商や貴族の一団がフォレストウルフの群れに襲われ、骨すら残さず貪り食われた、などという話もある。
森というフィールドであれば、それこそ王国の騎士団ですら油断できないほどの魔物。
ランクで言えばゴブリンより一つ上。
だがその一つが天と地ほどの違いとなる事もある。
何せ、フォレストウルフはゴブリンをも餌とする魔物なのだ。
それほどの魔物が、魔の森の魔素によって強化されたなら・・・。
「回避は?」
「おそらく無理」
「仕方ない・・・か。
姫、またもや申し訳ありません」
「う、うむ。
死ぬではないぞ、ミリス、フィル」
「はっ!」
「うん」
囲われている以上逃げる事も出来ず、何よりフランを守る為、二人は再び剣と杖を取る。
そうしてまた、戦いが始まった。
「グルル!」
「グァア!」
「ガウゥ!」
「くそっ、数が多いっ!
はぁっ!」
「"緑にして探求と調和を司る大いなる風よ、我が意思のもと立ちはだかりしモノを切り裂け"
"リム・スラッシュ"」
「たぁっ!
くっ、本当にフォレストウルフなのかっ!?」
「"魔の森の"が付く。
"黄にして希望と恵みを司る大いなる土よ、我が意思のもと立ちはだかりしモノを穿け"
"エル・ニードル"」
「これほどかっ!」
ゴブリンとの戦闘で、ここが魔の森と呼ばれる所以を真に理解したつもりだった。
だが、それはまだ足りなかったらしい。
この森に住む魔物は、どんな個体だろうとその力を大きくする。
それが森に特化した魔物であれば、当然その力はゴブリンの比ではない。
「グァフッ!」
「このっ!」
「グルル!」
「"緑にして探求と調和を司る大いなる風よ、我が意思のもと集いあらゆるモノから守り給え"
"リム・ウォール"」
「ギャン!」
「そっちは大丈夫かっ!?」
「"緑にして探求と調和を司る大いなる風よ、我が手に集いて立ちはだかりしモノを討ち砕け"
"リム・ブロウ"
そろそろ、厳しい」
「何か手は?」
「・・・中級魔術を使う。
援護を」
「分かった」
フォレストウルフの群れに囲まれ、苦戦するミリスとフィルニイリス。
森という、相手にとって最も有利なフィールド。
森の魔素でその力を増した個体であればその脅威はなおさら。
それでも諦めるわけにはいかなかった。
彼女達の後ろには守るべき存在がいるのだから。
「グルルル!」
「こいっ!
ここから先は一歩も通さんっ!」
「ガァウ!」
強力な魔術を使用する為、後方でフィルニイリスが集中し呪文の詠唱を始めた。
そんなフィルニイリスを守るため、一人フォレストウルフの群れに立ち向かうミリス。
森の中を走り続け、通常より強力な魔物との戦いで体はもはや限界に近い。
それでもなおフランを守る為、ミリスは剣を振り続ける。
「"大いなる風、大いなる調和、何者にも縛られぬ自由なる元素・・・」
「ガゥゥ!」
「くっ!
・・・まだまだあっ!」
多勢に無勢、フランとフィルニイリスの前に立ちはだかるミリスに、容赦なく襲い掛かるフォレストウルフの群れ。
剣を振るい、盾でいなし、全身に傷を増やしながらミリスが奮戦する。
そしてようやく、フィルニイリスの詠唱が終わった。
「"我が眼前に集いて、立ちはだかりしあらゆるモノ、その全てを吹き飛ばせ"
ミリスっ!」
「ああっ!」
「"リム・トルネード"!」
『グギャァ!』
放たれた魔術は緑系統中級魔術、"リム・トルネード"
魔力を用い、周辺の空気を集め、渦を巻き相手を切り刻む大規模な魔術である。
その威力は、通常のフォレストウルフであれば群れごと一掃できるほど。
いかに魔の森の個体が強力でも、まともに食らえば無事では済まないだろう。
放たれた魔力が眼前のフォレストウルフをまとめて吹き飛ばす。
中心にいたフォレストウルフが全身を切り刻まれながら空高く吹き飛んでいく。
地面はえぐれ、周囲の木々をも激しく揺らした。
風が止み、残されたのは大木の陰に隠れていたフランと、そのフランの前で魔術を行使したフィルニイリス。
そして、フィルニイリスの合図で彼女達の元へ下がり、油断なく盾を構えていたミリスだけのはずだった。
本来なら。
「グルゥ・・・」
「・・・しとめ、切れなかった」
「いや、敵も無傷ではない。
だから・・・っ!」
「ウォーーーン!」
「・・・くそっ」
「・・・増、援」
フィルニイリスの放った魔術は、確かに眼前の群れに壊滅的な打撃を与えていた。
生き残ったフォレストウルフも少なからずダメージを負い、後は止めを刺していくだけだと思われた直後。
森の奥から、新たなるフォレストウルフの群れがその姿を現した。
「・・・フィル、どうする」
「一か八か・・・特攻、する?」
「それは・・・
いや、それで行こう」
「うん、じゃあミリスが姫を抱えて先行、私が後・・・」
「・・・いや。
次はフィルが先だ。
私が後方につく」
「・・・ミリス」
「私では森の外までたどり着けない。
・・・姫を頼んだ」
「ミリス・・・分かった」
新手のフォレストウルフに囲まれ、二人は最後の賭けに出る。
もはや勝ち負けではない。
この森からフランを脱出させる為、二人は残された力を振り絞る。
「姫、こちらへ」
「う、うむ?」
「今からこの囲いを突破します。
フィルが先行し、わたしは後衛に回ります。
姫はフィルと共に先へ」
「それではお主が・・・ミリスっ!」
「大丈夫です。
何があっても、姫だけは・・・」
「ガァーーーー!」
そこに・・・新たなる絶望がやってきた。