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黄金の双剣士  作者: ひろよし
二十六章:学園~二度目の武闘祭・予選 後編~
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第515話:熱戦!

G/W 連続投稿 1/11

支援に徹するルーシャ。

最低限の指示を出した後、仲間に任せる事の多いガージュ。


この二人はユミとファラスアルム二人に任せれば大丈夫。


元々知識ならルミニアの上を行くファラスアルムだ。

臨機応変に対応する力は無くとも、ユミと言う優れた前衛がいるなら落ち着いて戦えるはず。

ユミだって実力なら男子より上、ルーシャの支援があろうとも負けるはずは無い。


戦況を見極め、適時指示を出していけばいい。

レキと言う最強の生徒に、フラン、ユミ、ファラスアルムと言う最強の仲間達がいる。

同じ最上位クラスのガージュ達が相手だろうと、いつも通り戦えば勝てるはず。


ミームの実力は侮れずとも、フランやルミニアなら抑える事が出来る。

支援専門のルーシャがチーム全体の底上げをしようと、こちらにもファラスアルムがいる。


例えレキがいなくとも、今のルミニア達の実力なら十分渡り合えるのだ。


そんなルミニアの指揮とフラン達に対応するのがガージュの仕事である。

昨年優勝しているとは言え、ガージュの指揮はまだまだ拙い。

学生としてなら十分と言えど、ルミニアを超えるほどではない。


レキとガドの両名が抜けた穴も正直大きすぎる。

レキは言うまでも無いが、ガドはガドで男子チームに欠かせない防御の要だった。

山人の頑強な肉体と卓越した斧さばきは、相手が四年生だろうと決して折れる事は無かった。

ガドがいたからこそ、ガージュは安心してカルクやユーリを前線に送り込めたのだ。


今年はレキが敵となり、屈強な盾であったガドもいない。

代わりに入ったミームは完全なる攻めの前衛。

ルーシャの支援は的確であろうと実力的に少々乏しい。

攻撃面でも、防御面でも、昨年より遥かに下回っている以上、ガージュは一から戦術を練らなければならなかった。


元々昨年優勝できたのはレキがいたから。

レキの代わりなど誰にも出来ず、ガドほどの前衛もまた、どこにもいないのだ。


「てやっ!」

「うおっ!!」

「はっ!」

「きゃうっ!!」


カルクの魔術剣をレキが切り上げ、横から迫るミームにリム・ブラストを当てる。

昨年は極力魔術を使わず戦ったレキだが、今年はその枷を外している。


この一年でフラン達も更に強くなった。

他学年や他の学園の生徒の中にも、無詠唱で魔術を扱える生徒がいるだろう。


今年四年になったローザ=ティリルや昨年のフォレサージ学園の代表ミルアシアクル。

彼女達の様に、剣を振るいながら魔術を詠唱する戦い方も、無詠唱魔術を会得すればその練度は遥かに上がる。


学園代表として、昨年はレキと共に大武闘祭を戦ったアラン=イオニア。

彼もまた、完全な無詠唱魔術を会得したと言う。


レキもうかうかしていられない。

いつまでも身体能力と魔力に頼った戦い方ではダメだろう。

全力は出せずとも、せめて剣と魔術を同時に扱い、他者を圧倒しなければならない。

それが、昨年の大武闘祭の優勝者にしてフロイオニア王国の英雄であるレキの役割なのだから。


と、武闘祭前にレイラスに言われたレキである。

武術講師のゴーズや魔術講師にしてフロイオニア王国宮廷魔術士のフィルニイリスからも言われており、今年は昨年より更に実力を見せることにしたのである。


「うぅぅりゃあっ!!」

「こんのぉっ!!」


切り上げられた反動を殺さず、むしろ活かしながら、カルクがその場で一回転する。

上段から下段へと剣を回し、切り上げるようにレキに叩きつける。


小手で防いだものの、レキの魔術で後方へとわずかに下がったミームが、カルクと対峙するレキの死角へと素早く回り込む。

カルクの下段からの切り上げに合わせるように、レキの方を狙い蹴りを放つ。


カルクとミームの同時攻撃。

タイミングもばっちりで、並の相手ならこの攻撃で難なく倒せるだろう。


「たあっ!」

「くっ!!」

「ぐぬぬ・・・」


もちろんレキには通じない。


元々の身体能力に加え、王宮でミリスを始めとした騎士達から剣術を習ってきたレキは技量にも秀でている。

それこそ身体強化を行わずとも武闘祭で優勝できてしまうほどに。


加えて魔の森で群れをなすゴブリンやフォレストウルフを狩り続け、大武闘祭ではプレーター学園の五人同時に相手取ったレキである。

一対多の戦闘にも慣れているのだ。


更には今年、わずかとはいえ身体強化を施し、魔術をも併用して試合に臨んでいる。

いつもの授業や中庭での手合わせとは違う、一段階上の実力を発揮して戦うレキ。

カルクとミーム、二年生でも間違いなく上位に位置する実力者の二人が同時に挑んでも、レキの脅威にはなりえなかった。


――――――――――


「うにゃあっ!」

「くっ!」


レキ達のチームと違い、ガージュ達のチームの要はガージュである。

ガージュを倒してしまえば連携は崩壊する。

実力も、本人が思っている以上に高く、指揮を執りながら時折放たれる魔術は無詠唱を会得した今となっては十分脅威だ。


レキ達の場合、指揮官であるルミニアが倒れてもみんながなんとか何とかしてくれる。

戸惑いこそあれど、フランはルミニアの分まで頑張ろうとするし、ユミはルミニアの分まで思考を巡らせる。

知識面ならファラスアルムの方が上だが、彼女は指揮を執るのには向いていない。

その分、魔術での援護を自分なりに頑張るはず。

何より、ルミニア一人分くらいレキが埋めてくれる。


反面、ガージュが倒れればカルクやミームは暴走するだろう。

それはそれで脅威となりえるが、レキやフラン、ユミなら対処できる。

少なくとも一対一なら抑え込める。

ユーリやルーシャの支援があれど、明確な指示が無ければ戦術や連携は取れないはずだ。


ルミニアの指示で、フランが要であるガージュを倒すべく特攻した。

そんなフランの前に立ちはだかったのは、同じ遊撃要員であるユーリだった。


ユーリもこの一年でかなり成長した。

無詠唱で魔術を放てるようになり、武術の実力も上がっている。

それでもフランやルミニアには敵わず、ユミにも一歩及ばない。

覚えたての無詠唱魔術で対抗できるほど彼女達は弱くないのである。


それでもチームなら。

昨年は彼女達に勝っている。

それもこれもレキがいたから、と言う事は言われるまでも無い。

それでも、昨年の大会を勝ち抜いた矜持がユーリにはあった。


仲間達と力を合わせ、レキ一人に全てを任せる事無く力を合わせて戦った。

あの大武闘祭でも、ユーリはガージュ達と共に何人か倒している。

レキに比べれば倒した人数は少なくとも、それでもユーリ達だって頑張ったのだ。


今年はそのレキが敵チームとなった。

今更レキがいなくとも優勝できるなどとは言わない。

ただ、自分達だってこれだけ出来るのだと、レキに証明しなければならないのだ。


「はあっ!」

「うにゃ!?」


懐に潜り込まれ、こちらの間合いの更に内側で短剣を振るうフラン。

嵐のような攻撃に防戦一方だったユーリが、短剣を受け止めた反動を利用し大きく距離を取りながら魔術を放つ。


速度で圧倒され、技量でもフランに勝てない。

魔術だってフランの方が上。

それでもこのままでは終われないと、必死だった。


放たれたのは緑系統初級魔術のリム・ブロウ。

風の塊を飛ばし、当たると同時に破裂する魔術。

速度に優れ、初級魔術ながらそれなりのダメージを誇る魔術である。


元々不可視の風である緑系統の魔術。

更には無詠唱で放つ事で、放つタイミングも分かりづらい。

それでもフランは、持ち前の反射神経と速度によってユーリの魔術をかわしてみせた。


「そこっ!」

「にゃうっ!!」


それこそがユーリの狙いだった。

フランがかわした先を読み、一瞬で距離を詰め剣を振るった。

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