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黄金の双剣士  作者: ひろよし
二十五章:学園~二度目の武闘祭・予選 前編~
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第494話:一蹴!

毎日更新:12/18

青ブロックの二回戦、第一試合に満を持して登場したのは昨年の武闘祭、大武闘祭の優勝者レキ。


昨年同様優先シード枠で出場したレキは、言うまでも無く今年の優勝候補である。

昨年は一年生ながらにして武闘祭本戦、更には六学園合同大武闘祭でも優勝を果たしたレキ。

一年生が優勝したのは前代未聞の出来事であり、他国にもその名が知れ渡る結果となったのは言うまでもない。


普段の中庭での鍛錬で強い事は分かっていたが、まさかそこまでの実力を持っているとは思っていなかった生徒もいただろう。

先日の野外演習で見せつけた実力もあり、誰もがレキの優勝を疑っていない。


それは同時に、レキと対戦する生徒は負けが決まったようなもの・・・。


「うっせぇ、俺は勝つっ!」


それでも諦めない一握りの者こそが、更なる高みへとたどり着けるのかも知れない。


「いいか、手加減なんかすんじゃねぇぞ!」


あるいは負けると分かっていても挑む者か。

王宮の騎士団の中には、勝ち負け問わず強者と戦う事こそが騎士の誉れなどと考える者もいるが、少なくともレキと対峙する少年は勝つつもりでいるらしい。


上位クラス三番手、獣人の少年ライ=ジ。

彼こそは、何度負けても諦めず立ち向かう不屈の精神を持つ少年だった。


「野外演習でのカリを返してやるぜ!」

「ん?」


因みに、ライの言う「カリ」とは、勝手な行動を取った挙句ピンチになり、レキに助けてもらった事である。

普通に考えれば「恩」になるのだが、ライにとってはそれも「かり」になるらしい。

何を貸し借りしたかは謎だ。


「ガージュと同じだね」

「ん?

 何の話だ?」


「レキさん、私の分まで頑張ってください」

「てめぇライラ。

 応援すんならこっちだろ!」


同じクラスのライラは、一回戦でライに負けた事もありレキを応援する事にしたようだ。

あるいは昨年の模擬戦以降ガージュにも突っかかるようになったライより、ガージュの友達であるレキの方が好感度が高いのかも知れない。

もちろんレキとガージュならガージュを応援するが。


ライが突っかかる様子を、同じクラスメイトのガージュの様だと言うユーリと、そんなユーリの言葉に首をかしげるカルクも、友人であるレキを当然ながら応援している。


「レキ様~」

「頑張ってください~」

「そんな奴ぼっこぼこにしちゃってください~」

「うっせぇっ!」


他にもレキを応援する者は大勢いる。


レキはフロイオニア王国の英雄、その実力は国王も認めるところ。

何より、二年生達はレキの実力を幾度も目の当たりにしてきた。


中庭で稽古をつけてもらった者、無詠唱魔術のコツを教わった者。

先の野外演習で救われた者もいる。


レキは既に二年生達の代表であり英雄だった。

そんなレキに人気が出るのは当然である。


「まあ、卒業後の事を考えている女子も多いだろうけどね」

「ん?

 何の話だ?」


あるいはフランもルミニアもいない状況で、少しでも距離を詰めておこうと言う作戦なのだろうか。

異性を応援する女子には、少なからず色恋が含まれるのは仕方ない。

目ざとく気づいたユーリに、今度も首をかしげるカルクである。


決勝でも無ければ結果も分かり切った試合。

それでもレキの試合と言う理由で注目を浴びる一戦は・・・。


「それまで!

 勝者、レキ」


一瞬で勝利した。


――――――――――


「はっ!

 な、何が起きやがった!?」

「うん、開始早々レキ殿の一撃で君は場外までぶっ飛ばされた。

 ただそれだけだよ」

「なっ・・・マジか?」

「うん。

 でもほら、ライだってレキ殿に手加減するなって言ってたじゃないか」

「そ、そりゃそうだが・・・」


控室で、レキの一撃で意識を失っていたライが目を覚ました。


一瞬で終わった、という事もあるのだろう。

加えて場外に飛ばされた際頭でも打ってしまい、試合中の記憶が抜け落ちていたようだ。

仮にあったとしても、何が起きたか分からなかった可能性もあるが。


「くっ、このカリはいずれ返す」

「うん、その姿勢だけは尊敬するよ、ライ」

「うっせぇ」


負けてなお挑み続けるその気概。

流石は獣人なのか、あるいはただの負けず嫌いなのか。


明日からもきっと、彼はレキに挑み続けるだろう。

それはミーム同様獣人の性なのかも知れない。

あるいはレキと言う強者への敬意が、レキを越えさせようとするのかも知れない。

脳筋と言うのは実に大変なのだ。


「んでてめぇはどうした」

「うん、さっき負けたよ」

「・・・そうかよ」


そんなライの姿勢は、同じ上位クラスのヤック=ソージュに少しだけ眩しく見えた。


――――――――――


黄ブロックの二回戦。

最初の試合は優先シード枠の下位クラス一番手と最上位クラス九番手のガージュの試合。


「私に勝ったのです。

 負ける事は許しませんよ、ガージュ=デイルガ」


一回戦でガージュに敗れたウェディ。

正々堂々真正面からぶつかり敗北した彼女は、ガージュの実力を認めることにした。


戦術を駆使した戦いではなく、ウェディに合わせ剣で戦ったのが功を奏したのだろう。

距離を取り、隙を作り、魔術などを駆使して戦えばもっと楽に勝てただろうが、それではより面倒くさい事になる。

昨年の武闘祭でファラスアルムの無詠唱魔術に敗れたライが良い例だろう。

遺恨を無くす為、最上位クラスの一員である自分の実力を叩きつけた結果、ウェディは自身の敗北とガージュの実力を認めたのだ。


なお、ガージュの実力こそ認めたものの、指揮官が弱くてはならないと言う自身の考えを改めるには至っていない。


最上位クラスの面々を指揮するガージュの実力がこの程度ではならない。

自分に勝利した以上簡単に負けるなど許さない。

そんな風にすら考えるようになってしまっている。


指揮官だからと言って日々の鍛錬を怠ってはならない。

指揮官に相応の実力がなえれば、下の者になめられてしまう。

それでは指揮が上手く執れないかも知れない。


そう言うウェディの考えは分からなくもない。

ガージュには確かに相応の実力があり、最上位クラスの指揮を執るには十分だった。

それを理解したからこそ、ウェディはガージュを認め、自身を打ち破った者として相応の成績を残してもらいたかった。


素直に応援できれば良かったのだろうが、あいにくウェディは不器用なのだ。


「なんなんだあいつは・・・」

「ガージュさんにもファンが出来たようですね」

「あ、あれは違うだろう」


もちろんルミニアは分かって言っている。


自分に勝った相手が簡単に負けてしまえば、その相手に負けた自分は更に弱いという事になってしまうと言う事。

ありふれた考えではあるが、それはあくまで相対的な評価でしかない。


誰が誰より強いか。


学生の内は、いや大人になっても気にする者は多いのだ。


とは言えこの試合に関して言えばガージュの敗退はありえない。

ガージュの相手は下位クラスであり、例え一番手とは言えその実力は相応に低く、いつも授業でレキやカルク達と手合わせしているガージュの敵ではない。


相手もそれが分かっているのだろう。

試合は終始ガージュが責め、相手が必死に避け防ぐという展開になった。


「勝者、ガージュ=デイルガ」

「・・・よし」


昨年は二回戦でレキと当たり敗北したガージュ。

今年はその記録を上回る事が出来たようだ。


――――――――――


緑ブロックは中位クラス一番手と上位クラス八番手マーチャとの試合だった。

結果はガージュの試合同様、上位の生徒が難なく勝利を収めた。


フロイオニア学園の実力主義をこれでもかと現した、そんな二試合だったのかも知れない。

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