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黄金の双剣士  作者: ひろよし
十二章:学園~武闘祭・予選~一年生の部~
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第247話:一年生武闘祭・個人の部、ブロック決勝

「うぅ・・・来てしまいました」


武闘祭・予選二日目。

本日はまず各ブロックごとの決勝が行われる。


これまで勝ち進んできた八名。

全員が最上位クラスの生徒というのは、ある意味この学園が実力主義である事を表していると言えるだろう。


「ファラさん。

 申し訳ありませんが手加減は抜きです」

「えぇ!」

「だってファラさんはこれまで勝ち進んだ強者ですから。

 手加減する方が失礼です」

「そ、そんな事言われても・・・」


ルミニアの「強者」という言葉に、当然ながら恐縮し否定するファラスアルム。

だが、ファラスアルムもこうして決勝に勝ち進んだ強者である事に間違いはない。

一回戦目は上位クラスの三番手、二回戦目はシード選手でもある中位クラスの二位と戦い、勝っているのだ。

入学当初のファラスアルムなら間違いなく負けていただろう。

それだけ、ファラスアルムの実力が伸びているという事に他ならない。


半年間共に過ごし、共に汗を流したルミニアだからこそ分かる。


現段階ではルミニアの方が上だろう。

だが、今後はどうなるか分からない。

槍も魔術もどちらも伸ばしたいと思うルミニアと違い、ファラスアルムは苦手な武術は護身程度に留め、魔術の研鑽に費やしている。

わずか半年で無詠唱魔術を習得するに至ったのもそのおかげだろう。


指導者が良かったというのもある。

手本となる学友に恵まれたというのもだ。


だが、そんな学友達に置いて行かれまいと努力したのはファラスアルム自身なのだ。


「ファラさんも立派な最上位クラスの生徒で、私たちの仲間です。

 胸を張ってください」


知らぬは本人ばかりか。

それでも尊敬する友人に仲間と言われて嬉しくないはずがない。


仲間になれる為、ファラスアルムは今日まで頑張ってきたのだから。


「が、頑張ります」


だからこれまで同様、あと少しだけ頑張ってみようと、ファラスアルムは拳を握りしめた。


――――――――――


各ブロックの決勝は同時に行われた。


真っ先に終わったのは緑ブロック。

カルク対レキの試合である。


「行くぜっ!

 うりゃ!!」

「っと!

 ていっ!」

「ぐわっ!」


カルクの上段からの切りつけを左の剣で逸らし、右の剣をレキが振るう。

いつもの模擬戦より数段速い切りつけを、いつもの調子で挑んだカルクはまともに食らってしまい、そのままダウンした。


「それまでっ!

 勝者、レキ」


開始数秒での決着に、見学していた選手達から驚きの声が上がっていた。


青ブロックのフラン対ミーム、黄ブロックのユミ対ガドは、どちらもライバルと言ってよいほど実力が伯仲しており、今回の武闘祭でもとりわけ好試合と呼べる内容だった。


「うにゃにゃ!」

「うりゃりゃ!」


互いに近接戦闘を得意とするフランとミーム。

双短剣と小手による徒手空拳での攻防は、一年生ながら実に見応えある試合となった。


「え~いっ!」

「むぅ!」


ユミの長剣をガドが斧で受ける。

以前の大剣の時のような振った後の隙は無く、すぐさま長剣を切り返すユミに、攻め手を封じられたガドは防戦一方となった。

ユミの体力が尽きるか、あるいはガドの防御が崩れるか。

いわば我慢比べの様相を見せていた。


「それでは赤ブロックの決勝戦を行う。

 最上位クラス所属、ルミニア=イオシス」

「はい!」

「同じく最上位クラス所属、ファラスアルム」

「はは、はいっ!」


そして赤ブロック。


「始めっ!」

「行きますっ!」

「っ!

 きゃあっ!」


開始の合図とともに突進し、突き出すルミニアの槍にファラスアルムがかろうじてかわした。

とにかく距離を取るという魔術士の戦術に習い、ただし後ろへと下がるべきところを横へと逃げたのが功を奏したようだ。


「はあっ!」

「うっ!

 くっ!」


突き出した槍を引き戻さず、強引に横へと振るわれた槍を何とか杖で防ぎつつ、ファラスアルムが更に距離を取る。

攻防の間に魔術を行使できるほどの技量は無く、何とかして距離を稼ぐ為回避に専念する。


「やっ!」

「きゃあ!」


もちろんそれを許すルミニアではない。

レキやフィルニイリスのような、息をするように魔術を行使できる者ならともかく、今のルミニアは無詠唱と言えど魔術を行使するには若干の溜めと集中力が必要となる。

それはファラスアルムも同様、むしろルミニアよりも更に多くの溜めと集中力が必要だった。

詠唱魔術より速く行使できるとはいえ、攻撃をかわしながら魔術を放つのはお互いまだ無理なのだ。


足下めがけて突き出された槍をかろうじてかわしたファラスアルムが体勢を崩した。

そこにルミニアの追撃が迫った・・・が。


「やあっ!」

「えっ!」


崩された体勢のまま杖を突き出し、魔術を放つ様な声を発したファラスアルムにルミニアが虚を突かれ、慌てて距離を取った。


「あっ!」

「・・・やあっ!」


杖はおとり。

気付いたルミニアがあわてて槍を構えたのと、ファラスアルムが今度こそ魔術を放ったのは同時だった。


――――――――――


「それまでっ!

 勝者、ミーム=ギ」

「やった~!」

「うにゃ~・・・」


青ブロックはミームが勝利した。


武術と魔術の総合力ではフランが上だが、武術だけならミームも互角にまで実力を上げていた。

魔術という選択肢を持ちつつ活かせなかったフランと、初めから武術しかないミームとの戦いは、ひたすら攻め続けたミームに軍配が上がったようだ。

双短剣の間合いを活かせず、ミームの間合いで戦ってしまったのも今回の敗因だろう。


何より。


「ふふん、伊達に毎朝レキと手合わせしてないわよ」

「うにゃあ・・・」


レキとの訓練回数。

フランより速く強いレキと毎日鍛錬していれば、フランの速度にも嫌でも対応できるようになるのかも知れない。


フランの鍛錬が足りない訳ではない。

ちょっと朝が弱く、毎朝ルミニアに起こされるまで寝こけてはいるものの、元々早朝鍛錬を行っているのはレキとミーム、後たまにカルクが参加する程度。

他の仲間達もフラン達同様朝はゆっくりと過ごしている。

それでも本大会では皆勝ち進んでいるのだから、最上位クラスが弱いという事は決してない。


ただ、毎朝レキと鍛錬をしているミームの実力の伸びが、フランの現時点での実力をわずかに上回ったというだけの話なのだ。


「うぬぬ・・・。

 次はわらわが勝つのじゃ!」

「ふふん、返り討ちよっ!」


何気に良いライバル関係にある二人である。

一年生の評価にもなる武闘祭は、ミームの勝利となった。


「たあっ!」

「む、むぅ!」

「それまで、勝者ユミ」


同じ頃、黄ブロックでも勝者が決定した。

勝利したのはユミ。

ユミの攻撃をガドが斧で防ぎ続けるという、ある種忍耐勝負となっていた試合は、二年間身の丈に合わない大剣をそれでも振り続けたユミに軍配が上がった。


「や、やった~!」


体力もさることながら、大きく重い大剣を振り続けた事により鍛えられた腕力と、それに伴う剣速はかなりの物。

さすがのガドも防ぎきれなかったようだ。

入学直後の模擬戦では敗北を期したユミが、雪辱を果たした形でもある。


そして赤ブロック・・・。


「それまで、勝者ルミニア=イオシス!」

「・・・危ないところでした」


虚を突かれ、ファラスアルムの魔術をまともにくらいそうになったルミニア。

だが、焦ったのは一瞬。

構えた槍で魔術を逸らし、そのまま距離を詰めて首筋に槍を当てる事で試合は決した。


「やっぱり駄目でした・・・」

「いえ、正直危なかったです。

 まさか一発目が囮だなんて、驚きました」

「当たらなければ意味がありませんから」

「ふふっ、そこは鍛錬の成果です」

「うぅ、やはりルミニアさんには勝てませんでした。

 優勝、おめでとうございます」

「はい、ありがとうございます」


実力もさる事ながら、駆け引きや頭脳戦の要素も強かった赤ブロックの決勝は、最後まで冷静に対処したルミニアが勝利した。


ここに、各ブロックの勝者が決まった。


赤ブロック:ルミニア=イオシス

青ブロック:ミーム=ギ

黄ブロック:ユミ

緑ブロック:レキ


一年生最強の座をかけ、この四名での勝負が行われる。

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