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黄金の双剣士  作者: ひろよし
七章:再会と試験と新しい友達
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第155話:結果発表

誤字報告感謝です。

服屋を堪能した四人と、珍しく疲れた様子を見せるレキ。

その後も雑貨屋などを巡り、一通りの買い物が済んだのは日が随分と高くなった頃だった。

試験の結果発表は昼頃。

時間的にはそろそろだろう。


「どうする?」

「そうですね。

 荷物もある事ですし、一度宿へ戻りましょうか」


ルミニアの提案により、レキ達は宿へと引き返す事にした。

皆、両手に荷物を抱えている。

レキなど両手では足りず背中にも大量の荷物を背負っているほどだ。

ただし、その大半はフラン達の荷物であり、レキが買った物など片手の包み一つ分しかないのだが。


「女の子に荷物を持たせるものではない」というのが仲良くなった騎士の言葉だった。

レキもその言葉には同意できるので、買い物の時はいつも荷物持ちを務めているのである。


宿に戻った頃には日は中天に差し掛かっており、もう間もなく試験の結果が張り出される頃だろう。

「吉報をお待ちしております」というリーニャ達に見送られ、レキ達は学園へと向かった。


「う~、ドキドキしてきた」


それなりに自信はあっても、やはりこういう時は緊張するらしい。

特に、座学の試験は半分くらい、武術の試験でも結局試験官の防御を崩せなかったユミは、残る魔術の試験で無詠唱魔術を使ってみせたものの、このレキやルミニア達と比べれば微妙だった。

「無詠唱魔術を行使できるなら合格間違いなしですよ」とリーニャには言われているが、その魔術の試験官が試験官なだけあって不安も残ってしまうのだ。


「・・・」

「ファラさん、大丈夫ですか?」

「・・・はぃ」


ユミ以上に不安なのは言うまでもない。

買い物に出かけるまで、自分は落ちたものだと思っていたファラスアルム。

リーニャ達の説明でなんとか考え直したが、直前になって生来の気の弱さが顔を出してしまったようだ。


「ふふん、一位はわらわじゃ」

「え~。

 フランは無理じゃない?」

「にゃ!?」


一方、自信満々な様子で先頭を歩くのはフランである。

座学の試験はユミと同等、武術ではそれなりに善戦したものの勝ちには至らず、辛うじて魔術は良かった、と言ったところ。

多分一位は無理なんじゃないかな、というのがレキの予想だった。


レキ自身はと言えば、武術と魔術は完璧でも座学はどうにもならず、やはり一位は無理だと思っている。

おそらくはルミニアが自分達の中では一番じゃないかな、というのがレキの予想だ。

リーニャに「試験で最も重視されるのは座学です」と聞かされ、軽く落ち込んだのはここだけの話である。


フランを先頭に、なんだかんだと賑やかに学園へとやってきたレキ達。

試験の結果はまだ発表されていないらしいく、それでも学園の前は大勢の子供とその保護者達で賑わっていた。


「うわ~。

 これ全部試験受けた子かな?」

「多分そうでしょうね。

 あ、ほら。

 あちらにサマク様が」


ルミニアが指差した方向、そこには昨日一緒に試験を受けたサマクとその取り巻き達がいた。

その隣にはサマクによく似た顔立ちの貴族らしい男がいて、間違いなくサマクの親であろう事が分かる。


前方に目を向けてみれば、そこには昨日までは無かった大きな掲示板と、それを隠すように被されている白い大きな布地が見えた。

おそらくはあの掲示板に試験の結果が書かれているのだろう。


出来れば掲示板の真下付近にまで近づきたいレキ達だったが、あまりの混雑ぶりに断念した。

レキ一人ならどうにでもなりそうだが、ただでさえ緊張と不安で倒れそうなファラスアルムをあのような人混みの中に突っ込ませたらどうなるか分からない。


幸いにして掲示板はとても大きく、またそれなりに高い位置に取り付けられており、後ろからでも十分確認できそうだ。

というかレキの視力なら学園の屋根に付いていても見えるだろう。


「ふぃ~、間に合った~」


今またこの場にやってきたらしい子の声を聴きながら、レキ達はおとなしく試験の結果発表を待つ事にした。


――――――――――


「まだかの~」


フランが焦れ出した頃、学園の中から教師と思われる者がやってきて、被せられた布地に手をかけた。


「あっ!」


布地が勢い良くめくられ、掲示板が顕になった。


掲示板にはいくつかの番号が書かれていた。

合格者の番号なのだろう。

レキ達の場所からでも良く分かった。


「どこじゃ!

 わらわの番号は!」

「オレ何番だっけ?」

「にゃ!?

 そう言えば何番じゃ?」

「フラン様は186番、レキ様は190番です」

「おぉ、そうじゃった!」

「ありがと、ルミ」

「ふふっ、どういたしまして」


昨日渡された受験番号が書かれた札。

忘れないよう持ってきていたが、確認するより先にルミニアが教えてくれた。

しっかりと番号を覚え、レキ達はもう一度前方の掲示板を見る。


番号はどうやら評価の高い順に書かれているようで、番号が七列に並んでいる。

一番左の列には十個の数字が。

後の六列には十五個ずつ数字が並んでいる。

各列の上には最上位、上位、中位、下位と書かれており、合格者と同時にクラス分けも発表されているようだ。


「あった!」

「わらわもじゃ!」


レキとフランはほぼ同時に自分の番号を見つけた。

一番左の列、つまりは最上位の列だ。


「うそ・・・」


ユミの番号、187番も同じく一番左の列にあった。

ユミも最上位クラス、上位十名に入れたようだ。


「おめでとユミ」

「おめでとうなのじゃ!」

「うん・・・うんっ!」


レキとフランの二人と再び会う為、そして一緒に学園生活を送るために今日まで頑張ってきたユミ。

その願いは今日、確かに叶った。


レキとフラン、二人からの祝福にユミが目を潤ませる。

そして・・・。


「・・・」

「やったっ!

 ルミが一番だっ!」

「流石はルミじゃ!」


最上位クラスの列、その一番上に書かれていた番号は「189」

すなわちルミニアの番号である。


今回試験を受けた子供達約200名。

その頂点に立ったのは、ルミニア=イオシスであった。


「ルミっ!ルミっ!

 凄いのじゃ!」

「ルミおめでとっ!」

「お、おめでとうルミニアさん」

「・・・」


皆から称賛を受けるルミニアだが、本人は自分の順位に驚き固まっていた。


座学の試験は手応えがあった。

武術の試験でも、試験官からは攻撃しないというルールを活かしてなんとか勝利を収める事が出来た。

だが、ここだけの話、魔術の試験に関しては正直自信が無かったのだ。


無詠唱魔術が使える時点で、魔術の試験ではトップクラスなのだろう。

無詠唱で魔術を使える子供など、おそらくはルミニア達しかいないからだ。


だが、ルミニアの魔術はレキやフランより劣っている。


ユミは無詠唱で魔術を行使できるものの、初級魔術が一系統のみだった。

フランはルミニア同様二系統で、等級も同じ。

魔術を放つまでの時間はフランのほうが短く、つまり魔術の試験はフランの方が上のはずだった。


なにより、武術と魔術の両方でレキは自分の遥か上を行っている。


今回の試験、最上位に入れる自信こそあったものの、フランはともかくレキに勝てるなど思っていなかったのだ。


それが・・・。


「あ、私が、一位?」

「そうじゃ!

 凄いのじゃ!」

「うん、凄い。

 流石ルミっ!」

「うん、凄いですルミニアさん」

「あの、いえ、あ、ありがとう、ございます」

「うむ!」

「うん!」

「はい!」


あまりの衝撃に、一瞬、我を忘れていたルミニア。

フラン達の声にようやく立ち直り、同時に自分が一位を取ったという事実も受け止める事ができた。


「そ、それで皆様は」

「わらわは二番じゃ」

「オレ三番っ!」

「私四番っ!」


我に返ったルミニアがフラン達の順位を聞けば、なんと皆最上位の更に上位だった。

ルミニアを筆頭に、一位から四位までをレキ達で独占した形である。

自分の一位も嬉しかったが、それ以上に皆が合格していた事が何よりも嬉しかった。

それはレキ達も同じで、皆自分より皆の合格を喜んでいる。


だが、一緒に試験を受けたのは四人ではない。

もう一人、レキ達と一緒に試験を受けた女の子がここにはいる。


「・・・ファラさん?」


ファラスアルムである。


ルミニアの呼びかけに、ファラスアルムは何の反応を示さなかった。

先ほどのルミニアの様だが、一位がルミニアである以上同じなはずは無い。


「もしかして・・・」


最悪の予想が頭をよぎり、ルミニアは慌てて試験結果を見た。


最上位クラス。

先頭は189番のルミニアで、次が186番のフラン。

続いて190番のレキと187番のユミが並ぶ。

その下、五番目には二桁の番号が書かれており、明らかにファラスアルムのものではなかった。


だが、更にその下、六番目に書かれていた番号・・・。


「あ・・・ありました」


ファラスアルムの受験番号、188番。

最上位クラスの六番目には、ファラスアルムの番号がしっかりと書かれていた。

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