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06 それからもキル
それからも、お兄様の敵にまわる者を何人も葬り続けた。
明確に敵として立ちふさがった者だけではなく、疑わしい素振りを見せた者まで。
後悔はしていない。
兄のためだもの。
彼等を葬りさることで、お兄様の命が一分一秒長くなるというのなら、躊躇いや良心などというものは喜んで手放さそう。
次にキル・ノートに書き込む人間の事を考えていると、そのお兄様から話しかけられた。
「ノエル、大丈夫かい?」
「私は大丈夫ですわ。お兄様こそ」
「平気だよ、ただ」
お兄様は私の事を心配そうな表情で見つめる。
「最近、何か思い詰めているような気がしてね。困った事があったら、相談しなさい」
「気のせいですわよ。毎日が充実していますもの」
「それならいいんだけどね」
兄が労わる様に私の頭を撫でてくれる。
ああ、優しいお兄様。
そんな兄がきちんと安心して過ごせるように、これからも頑張らなくては。
もしかしたら、いつか報いを受ける時がくるかもしれない。
けれど、それでもこの優しいお兄様を守れるなら、その報いすら喜んで受け入れよう。