本気にならなければ
ガキーン
鈍い金属音と同時に、 俺は必死に一塁ベースに向かって走った。
「クソッ!」
口にはしたものの、俺はあまり悔しくはない。
結果、俺の中学校は6対0の大敗だが、まぁ、相手は格上だったから仕方ない。そう思っていた。
「たかちゃんは悔しく無いの?」
そう聞いてきたのは、俺の親友の一朗だ。
「(悔しいに決まってるだろ!)」
と咄嗟に言おうとしたが俺は何も答えず、下を向いた。
その日の夜、俺は一朗に言われたことを考えていた。なぜ一朗は俺にあのようなことを言ったのか。一朗は悔しかったのか? いくら考えてもわからい。
ただ俺の脳裏には、あの時の一朗の悲しそうな目がずっと焼きついていた。
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