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Lyrical Jokes  作者: K―RYO
8/10

8.Message


見知らぬ誰かの死に気づきもしない


取り澄ました顔で根拠のない笑顔を振り撒いて


幸せですか それがあなたの幸せですか


全てはガラス一枚を隔てた向こうの出来事


あなたの手は決して汚れないでしょうけどね




  ここは善人が馬鹿を見る世界


  僕は誰よりも愚かな善人に違いないと


  聖人君子になったつもり真顔で呟いた


  生まれてきてよかったよなんて




綺麗事で生きていくつもりはないけれど


それはそれで悪い事じゃないでしょう


自分にできる限りの行為が誰かを救うなら


褒められるほどの事ではなくとも


貶されるほどの事でもないのでしょう




  僕は痴れ者です


  沢山の嘘を吐いてきた愚者です


  存在価値はあるようでないようで


  ないようでもあるようで


  あるようでもないようで


  どちらにせよ変わりはないですから




たった一縷の明日も生きていくという望み


叶えさせてください


あなたの耳元へと囁きます


あまりにも小っぽけな願いですが


せっかく命を受けた身である以上


少しでもその証しを刻む時間を与えてください




  差し伸ばした手に触れた微かな温もり


  目を離した次の瞬間に消えてしまう現実


  本当はそんな事を知りたくもなかった


  何も知らないままで


  安穏と暮らしていられたら良かったのに




ただ伝えたいのです


一度も笑顔を浮かべる事もないままに


果敢なく散っていく命の物語を


ただ伝えたいのです


ガラスの向こう側のあなたに




  僕は伝えたいのです


  何もできない愚かな善人であっても


  非力な筆を執って


  小さくても声をあげて


  ガラスの向こう側のあなたに


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