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2.あいにくの雨
あいにくの雨だから ああ仕方ない
君と体をあたためあって よごれてしまうのも
気にしない 気にならない
だけど その気になったら言っておくれ
誰にも迷惑はかけませんから
音もなく花も降る
踏み躙る地面の様相も悪くない
体中が濡れてしまって
どこからどこまでだとかいう区別もわからない
引き返す点も線も今からでは見つからない
ああ きっかけなんてそんなものだ
君を求める 心も体も
世界の全てが乾ききったときには
悪い夢でも見た気になれば
もうこれ以上
自分を責め苛む愚を続けなくて済むから
よき歌をうたえやうたえ
なき声だけが心地よく耳膜をくすぐって
感情は常にたゆとう 決して定まらず
次から次へと新たに降り注げば
元の姿もわからずに
波紋が二人を覆いつくしてしまう




