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第1話 オヤジ高校生がいたりする

この小説はPG12要素を含む予定です。

お気をつけてください。

昼下がりの午後庭(学校)の片隅でくつろいでいる高校生がいた。

庭の桜の木の影は太陽光は感じられないが芝の熱気がむんむんと肌にしみこんでくる。汗なかなかひかない。さわさわと木の葉が揺れるのを静かにかに見つめていた。

ミイミイゼミがひとり寂しく鳴く。


ぽとり。

蝉の泣き声が止んだとたん足横に落ちてくる黒いもの。


その物体をしげしげ見つめながら右手の胡瓜にかぶりつく。


蝉の亡きがら。

7月前半にしては早い。だいたいは7月後半から8月にかけて道の片隅に生きたままの美しい姿で転がっている。


蝉の一生はなんて短いのか…でもその分人間より濃い一瞬を過ごしているのではないか。


蝉から目を離しまた胡瓜にかぶりつく。


大切だ。この場所、この時を愛している。

数少ない自然が残り授業ではできない貴重な体験ができるところ。


木の葉を揺らしている風の音に合わせて口笛を吹く。甲高い音に合わせて風邪はぼさぼさの髪と遊ぶ。


彼の服装は学校指定のジャージ。ジャージの袖は(ひじ)まで捲り上げ、右裾は膝まで左裾はすねまで折り曲げている。


頭には古めかしい麦藁帽子が乗っており腰からは手ぬぐいをぶら下げている。


足にはよく足に馴染んでいる下駄。


右手には学校の庭で取れた胡瓜。何もつけなくても十分おいしい。



農作業のオヤジみたいな高校生。そんな奴が何処にいる?



ここにいる。正体不明のオヤジ高生が。


*********



風の中に流れている口笛がとまる。



「ムギさんっどうぞ!」


授業が終わりそれぞれの部活動が活動している放課後。


その時間に決心をし憧れの人へ告白の手紙を庭で渡している女子生徒がいた。


大きな桜の木の下2人に流れる空気は重い沈黙。

蝉が鳴き始める。

隣には息絶えた蝉の亡骸。

…新たな蝉がやってきたのか。


蝉の鳴き声が妙に頭に響く。



告白した彼女は恥ずかしさに耐えかねて走り去って行ってしまった。


手紙を渡されたのは『ムギさん』。麦藁帽子を被りジャージを着て下駄を履いている高校生である。


「・・・・」


ムギさんは渡された手紙をしげしげと見つめる。


実はこの手の手紙をもらうのは今に始まったことではない。


手紙でなく口頭で告白されたこともある。




ムギさんはモテる。


顔までオジさんというわけではない。目深に被った麦藁帽子のため顔はあまりはっきりと見た人はいない。中性的な顔立ちが麦藁帽子の影に隠れながらも窺うことが出来るくらい。


笑うところが王子様の様にきまっていて(あくまで帽子からほんの少し見える程度)その笑顔に女子生徒はどきりとするのだろう。


ムギさんは謎が多い。


ムギさん謎其の1 放課後学校庭にしか現れない。其の2 学校のジャージを着ているがその正体は不明。其の3 どんな告白でも断る。・・・等である。


そんな謎が多いところもムギさんが注目されている要因。




「困ったなあ」


ムギさんはその格好に似合わぬ可愛らしい声で呟く。


ムギさんの正体は不明。


でもこの学校でひそかに生活を送っていることは確かである。

こんにちはLightです。

まだまだ未熟者で執筆の経験も浅いですが自分の出来る限りの文を書いていきたいと思います。

この小説は8/15完結予定です。毎日更新がんばります。

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