閑話 やがて変わりゆく心情
黄昏に染まりゆく街。眩しく煌々としている風景をなんとなく眺めつつ帰路につく。これが私の日課。
私の世界を染め上げる色彩のパレットの中で最も惚れ惚れとし、魅入ってしまう時間だ。ちょっと切なくて、明日もまた、こんな一日だったらいいのになぁと思わせてくれる。
ざわめく木々と共に揺蕩う私の長い髪。あてもなく静けさが広がっているが、真の静寂というには甚だ雑音に溢れている。私はこんな時が、こんな世界が好きだったりする。ゆっくりと移り変わっていくこの世界が。
そして何よりも大好きなのはいつも一緒にいる三人。みんなといる時間はとても早く過ぎ去って行く。
今日も楽しかった。
そんな不謹慎なことを思っている間に自宅の前まで歩いてきていた。
すぐさま玄関のドアを開け、中に入るなり、
「やった!」
私は小さくガッツポーズをしてしまった。
「褒めてくれた……」
今日の理人の言葉を思い返すだけで顔がにやけてしまう。
玄関の姿見に映る表情は、我ながら気の抜けたものだ。こんな顔人前には晒せない。
いやいやいやいや! これはアレだから! 純粋に嬉しいだけだから! 他意はないから! 別にほんとに全くもって他意はないから! 別に理人に言われたから嬉しいとかじゃないから! 要でもきっとこんな感じだよ? ほんとだよ?
褒められたら誰だって嬉しいでしょ?
普通こうなるよ、仕方ないじゃん……。だって私、「似合ってる」とか「可愛い」とか言われたことないもん。そんなこと言ってもらえるような交友関係など持ち合わせていないんだもん……。しかも初めて言ってもらえたのが男の子からだなんて……。
ちょっとくらい浮かれてもいいと思う。私だってちゃんと女の子なわけだし……。少女漫画大好き女子だし……。誠に恥ずかしながらお姫様願望とかあるし……。
少し早くなる鼓動を感じる。どきどきしているが不思議と心地よくもある。うきうきするというのはこういうことを言うのだろう。
明日もヘアピンつけて行こ……。
本当に私はどうかしている。
たった数分のやり取りでこんなにも嬉々としてしまう。そばにいると嬉しくて、楽しくて、またすぐに会いたくなってしまう。
彼を大切に思えば思う程、彼を特別視すればする程「さよなら」が言いにくい。
たぶん、この気持ちには名前が付くのだろう。ちゃんとした名前が。
そう、これはきっと――
明日も更新しますヽ(´▽`)/




