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異世界生活はとりあえず2年間!  作者: ミーレさん
第一章 研究所
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7.研究所へ

 侍女が出ていくと、フード男たちが、私の方に歩いて来た。


 深緑フードのおじさんが一歩前に出て、私に話しかける。


「……初めまして、魔道師長のスルトン=ラックマスです。」


 …………初めまして、なのかしら?ずっと同じ部屋にいたわけだけど。……まぁ、話すのは初めてか。


「初めまして。私の名前はレイカ、井上麗華(イノウエレイカ)です。」


 スルトンさんと、フード男たちに頭を下げる。前言後礼。挨拶の基本ですね。




「……レイカさん、申し訳ありません。……我々のミスです。」


 と、スルトンさんが言うけど、もっと説明してもらわなきゃ、わかりませんよ………。

 予想はできるけど、そこは説明しよ?


「何についての謝罪ですか?私はこちらに来たばかりで、どのような状況なのかわかりません。」


 その言葉を聞いて、フード男その1が口を開いた。


「魔道師長、とりあえず座れる場所に移動しませんか。レイカさんには、ゆっくり説明しなければいけません。それに、どうせ転送準備には1日かかりますし。」


 …………ほう。1日かかる、とな?うわー、まじか、お母さん心配するだろーなー。うぅ、でも、しょーがない、1日かかるのなら、1日だけでも異世界生活を楽しみましょ。


「そうだな……。では、研究所の方に行くか。………レイカさん、案内しますから、ついて来てくれますか。」


 はーい、了解なのだ!


「よろしくお願いします。」




「ところで、あれってレイカさんのですよね?………運んだ方がいいですか?」


 と、言って、自転車を指差すフード男その2。


 いや、自転車って荷物にしかならないじゃない。運ぶってどこに運ぶつもりよ。


「ここに置いていてもいいのなら、置かせて下さい。ですが、帰る時には一緒に帰りたいです。」


 相棒だもの、ちゃんと一緒に帰るわよ、もちろん、背負ってるリュックもよ。もし、持って帰れなかったら、お母さんになんて言われることか。




「では、ここに置いておきますね。転送場所もここになりますから。

 では、研究所に案内しますからついて来て下さい。」


 はいはい、わかってます。私がスルトンさんの言葉にうなずくと、スルトンさんは歩き出した。




 私は、黙って、ついて行く。ふふ、王子がいるってことは、ここは王宮でしょ、どんなところなのかしら、ワクワク。



 疲れてるから、研究所が近いといいな、と思う気持ちと、せっかくだからいろいろ見物したいっていう気持ちがあるんだよなぁ、矛盾してるわー。



 あ、疲れたと言えば、今って何時なのかしら。ここ、窓がないから、よくわかんないんだよね。……ちらっと腕時計を見ると、6時52分。ふむ、7時か。てことは、もう外は暗いわね。そして、さっむいだろーなー。




 スルトンさんがドアを開けると、ドアの向こうには階段がちらっと見えた。おぉ、やっぱりここって、地下室だったのねぇ。




 階段を登ると、また、ドアがあった。そのドアを開けると。

 おぉー、すごい。


 基本的に、白で統一されてる壁。赤い絨毯。まさに西洋風のお城って感じね、うん、壮観だわ。


 スルトンさんは、どんどん先に行っちゃうから、私もそんなに観察することはできないけど。あぁ、でもいいですねぇ、………金ピカとかじゃなくて安心したぜ。


 ふむ、でもやっぱり外は、もう暗いわね……。窓をちらっと見ると、……………んんっ?


「……………。」

「……………。」


 なんか、黒い服きた人と、目が合った。


 あれ?何これ、突っ込まない方がいいのかしら、ちょっと想像の範囲内をつき抜けちゃってるんですけど。


 いやね、「月が2つあったりしないかしら、だって異世界だし」とか思いながら窓見ただけなのよ、なのにどーして黒服さんがいるの。しかも、浮いてますよね?魔法?魔法なんですか?


「レイカさん?どうかしましたか?」


 私が止まってるのを不審がって、フード男の1人が声をかけてきた。


「え、いや………、えー?」


 もう一回窓を見たら、黒服はいなくなってた。えー、どこ行ったんだろ……。

 ………見間違い?疲れてるのかしら。


 納得いかない………けど、うーん?


「すみません、なんでもないです。」


 私の経験上、こういう謎発言は信じてもらえない。まぁ、私が………見た目、ちびっこだからね。信用性に欠けると思われるみたい。


 しかも、ここ、王宮だと思うし。あんまり確証ないこと言って、騒ぎを起こす訳にはいかない。


 え?もし、本当にいて、泥棒かなんかだったら、どうするのかって?………そんなの、侵入されちゃった警備の責任じゃない。私には関係ありません。



 別に、根に持ってる訳じゃないけど、私は役に立たない人間らしいしね?いや、本当よ、本当に根に持ったりしてないわ。






 その後は特に何もなく。無事に宮殿を出ましたー、はい。でも、門を出た訳じゃない。同じ敷地に「研究所」があるんだと。


 玄関のドアを開けて、外に出ると、ただただ寒かった。

 ……リュックの中にある手袋を掘ったくらいだもの。




 で。しばらく歩いたら、別の建物があって、スルトンさんは、そこに入っていく。



 ほほう、ここが研究所なのね。宮殿ほど豪華ではないけれど、……普通に綺麗な建物ね。まぁ、同じ敷地内にあるんだから、当たり前か。



 宮殿はたぶん、5階くらいはあったでしょうけど、ここは3階、かな?





 まぁ、何はともあれ!暖かい場所に移動できるなら、素晴らしいことだわ。


 私はウキウキしながら研究所の中に入って行きましたよ、もちろん。





*おまけ* ~井上さん家の節分~


【豆まき】


「んっふっふっふっふ………」

「いや、お姉ちゃん?怖いんですけど……」

「鬼は黙ってなさい、今年は私がじゃんけんに勝ったのよ。

 ………ふふふふふ、幸菜?去年はよくもやってくれたわね?めちゃくちゃ痛かったのよ?」

「えーっと、お姉ちゃん?一回落ち着こう、話せば分かると思………うえぇぇ!?いった!お姉ちゃん、いったい!本気出しすぎ!」

「さぁ行くわよー、そおぉっれぇっ!」

「いやあぁぁ!」

「鬼は外~♪ふっくは内ぃ~♪」

「鬼はお姉ちゃんじゃない、バカ、来ないでぇぇっ!」


「麗華、幸菜、ちゃんと掃除するのよ?」


「はーい」

「……お姉ちゃんが1人で掃除すれば?…………いたっ!」


【恵方巻き】


「……………。」

「……………。」

「……………。」


 モキュモキュモキュ、ごくん。

 モキュモキュモキュ……。


「あれぇ、お姉ちゃん、まだ終わってないの~?」

「……………。」

「(にっこー)お姉ちゃん、ニシローランドゴリラの学名はね、」

「……………。」

「ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ、らしいよww」

「……………っふふ。」

「やーい、笑ってやんのー」

「………ふふふふふ……。」

「いったぁ、ちょっと、どこに豆を隠し持ってたの!?」

「………ふふふふふ……。」

「お姉ちゃん、怖い怖い!………いたっ!もう、止めてよ!」


「こら、静かにしなさい」


『はーい』



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