4.異世界言語、理解薬
リュック背負わせたまま、忘れてました……
リュック背負ったまま、フード男たちと礼をしているという、おかしな状況だったんですねww
『ーー、ーーーー?』
ポンポン、と優しく、肩を叩かれる。
むぅ、仕方ないわね。ひょい、と顔を上げると、まー、綺麗な顔ね。男の人だから、かっこいい、と言うべきかもしれないけど。ごめん、女装似合いそう、とか思っちゃった。
そして、その人は、スッとある場所を指差す。そこには、敷き布と、その上に座布団っぽいのが並んでた。あらまぁ、いつの間に。
改めて、入ってきた人たちを見ると、男3人に、女2人。女性は、侍従だろうか、2人とも同じ服を着ている。この女性2人が、敷き布を敷いたり、座布団を並べてくれたのね、うん、仕事がはやい。
………でも、敷き布が、魔法陣にちょっと、かかってるんですけど。……いいんでしょうかね?まぁ、この部屋自体が狭いから、仕方ないけど。
で。座布団の数は、出口側に3つと、魔法陣側に2つ。ちなみに、出口側の方が、金の刺繍が少し入ってて、あくしゅ……、いや、えっと、豪華ですね。
……これは、明らかに座ってくださいってことよね。
笑顔で、出口側の1つに座ったらどーなるか。ちょっと気になるけど、まぁ、普通に魔法陣側に座りますか。
「睦月さん、私たちは、座った方がいいみたいですよ。」
1人だけ先に座るのはイヤです、神楽ちゃん、あなたも道連れです。
「……あ、うん。そうだね、座ろっか。」
神楽ちゃんは、顔をあげて、座布団を見て、返事をした。
私が座布団に向かって歩くと、神楽ちゃんも後ろからついてきた。……新しく妹ができたみたいだわ。
………これ、靴脱ぐべきかしら。脱ぐべきよね、日本人としては。
私はスニーカーを脱いで、きちんと揃えて置いた。敷き布を歩くと、少しごつごつしていた。
座布団の前まで来ると、女性2人がいる方にお辞儀をしてから座る。……もちろん、正座。
私が、リュックを下ろしていると、神楽ちゃんも座布団に座るところだった。神楽ちゃんが同じようにして座ったのを確認して、男3人が座布団に座りに来た。
……左から、あぐら、立て膝、立て膝。ひどくない?こっちは正座してんのに。
しかも、靴、脱いでないよね。汚れちゃう、とか思わないのかしら、それとも、汚すものなのかしら。てか、それ、服も汚れるんじゃ……。
全員が座ると、侍女の1人が、綺麗なお皿に入った、緑色のダンゴみたいなのを持ってきた。……待って、それ、どこから出した?さっきまでそんなの持ってた?………これがプロ技ってやつかしら。
そして、もう1人の侍女が、水(だと思う)を置いていく。……息ぴったりね、えぇ、もう突っ込まないわ。プロ技よね?
ふむ。ダンゴと水は、私と神楽ちゃんの分だけ。男3人にはない。私は、ちらっと男3人を観察する。
あぐらをかいてる、左の若い男。短い茶髪、ごっつい体。……筋肉ね、きっと鍛え上げてるに違いないわ。私の予想としては、騎士団長とかかしら。でも、鎧は着てないわね……、謎だわ。
次。立て膝の、右にいるおじさま。切れ長の目、長くて蒼っぽい髪。服装は、ゆったりしたものを着てるわね。
で、真ん中の男。この人も、若いわね。私の肩を叩いたのはこの人だね。綺麗な顔してらっしゃる。髪は金に近い茶髪ってカンジかしら。真ん中にいるし、1番身分が高いのかな?
その、真ん中にいる男と目が合う。
ニコッ……て、微笑まれた……。何その笑顔、怖……。いや、普通の笑顔だよ、笑顔なんだけど……。なぜか、こう……、背筋がゾクッってなったのよ……。
この男は、敵にまわすべきじゃない。絶対に、そういうタイプの人間だわ……。
『ーーーーーーー』
ニコニコしながら、緑のダンゴを指差す、笑顔の男。
……………ふむ。まぁ、毒は入ってないだろうけど、万が一のこともあるしね。私だけなら食べただろうけど、神楽ちゃんがいるからなぁ……。
とりあえず、そうね……。
「いいんですか?……ここ、盗聴されてますけど?」
笑顔男の、目を見て言い放つ。
キョトン、としてる笑顔男。……そして、またダンゴを指差した。ふむ、………なるほど、あなたたちは、本当に日本語がわからないみたいね。よかった。
じゃあ。
「睦月さん、少しお話があります。」
「え、うん、なぁに?」
えーっと。
「とりあえず、私が先にこれを食べます。もし、私が倒れたり、苦しそうだったら、逃げてください。体育には自信がありますか?」
「!……それは。
………私は、麗華ちゃんを置いて逃げたりしないよ。」
じっと、私の目を見つめる神楽ちゃん。………ん?……麗華、……ちゃ、ん?
「………ちゃん付けは、止めて欲しいんですけど……」
神楽ちゃんは、ちょっとムッとして言い返す。
「そこじゃないよ、今話してるのは。」
いやぁ、私としては結構、重要な問題なんですけど。
「麗華ちゃん、いい?自分をもっと大切にして。小学校でも、そうやって習ってるでしょ、麗華ちゃんは、この世界で1人しかいないんだよ?」
………。ふふふふふ。泣いても、いいかしら。小学生って言いましたよ、この娘。さらっと何、断言してるのよ……。あぁ、目が、じんと熱くなる。うぅ、ひどいわ、ひどいわ、ひどいわ………。
私に構わず、どんどん話す神楽ちゃん。
「もし、その役をするとしたら、私がするべきよ。………私の方が、年上だし、ね。」
速業だった。神楽ちゃんは、ひょいっと、緑色のダンゴを取って、自分の口の中に入れた。
「ちょおぉぉいっ、何してるの、何してんのよおぉっ!」
可能性が低いとはいえ、怪しいものは食べちゃダメでしょう、しびれ薬とか入ってたら、どうするのよ!?
最悪の可能性が、頭をよぎる。
私たちは、救世主として召喚されたのではなく、ただの娯楽として喚ばれた?この笑顔男の娯楽に付き合わされる?この笑顔男は、人の死を観るのが好きで、実はダンゴは毒薬?
「うわああぁっ、出して、出しなさい、ぺっぺしなさい!」
『ーー、ーーーー、ーーーーー』
神楽ちゃんが、謎言語を発しました。
あ、そう、そういう……。
つまり、あれね、異世界語が話せるようになるのね、了解、私も食べるわ。
一応、毎日投稿できればいいな、と思ってます。
これからは、朝の7時か、夜の22時、どちらかで投稿することになります。(ちなみに、明日の分はまだ書けてないので、22時投稿になります。)
これからも頑張って書いていきますので、よろしくお願いします!