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異世界生活はとりあえず2年間!  作者: ミーレさん
第一章 研究所
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1.沼地面の下

 地面が消えて、落ちてます、落ちてます。


 何?なんなの?なんなのよ、これ。


 なんで私が落ちてるの、長いのよ。もう1時間くらいずっと落ちてるのよ、普通に死ぬわよ。


 自転車、クッションにならないかしら。ほら、自転車の上に、足から落ちれば。……無理ね、逆に恐怖だわ。


 他には、そうね……。すぐそばで躍ってる私のリュックなら、少し位はクッションになるでしょうけど。自転車カゴに奇跡的に引っ掛かって、はためいてるリュックさんには、ちょっと手が届きませんねぇ。


 うーん、やっぱり、置き勉はダメね。リュックが軽すぎるのよ。あのリュック、筆記用具くらいしか入ってないのよね……。





 ………はぁ、いつになったら終わりが来るのかしら?下は、暗すぎて見えないし。上ももう、真っ暗だし。


 そりゃあ、最初は焦ったさ。人生の終わりだと思ったね。


 でも、1時間も落ちてるとね、もう物思いには十分なのですよ。


 お母さんへの感謝とか。

 お父さんに「会いに行きます」とか。

 妹、先に逝くぜ、とか。

 友よ、さらば。とか。


 もう、考えなきゃいけないことは、考え尽くした訳ですよ。


 ……、別に、友達が少ない訳じゃないし。2人くらいはいるし。





 ……………。

 いや、ほんとに、長すぎるよ。ちらりと腕時計を見る。


 5時21分。………。そろそろ、落ちはじめてから1時間半が来るわね…。


 じゃ、ちょっと整理してみよう。

おかしい点。……なんか美味しそうね、言い直すわ、不思議な点。



 まず、第1に。地面が沼っぽくなった。沼地面が動いてた。消えた。


 うん、意味わからん。



 第2。落ちる速度。落ちる速度が、変化してない。普通、どんどん速くなるはず、よね?


 なのに、全然変化してない。ま、だからこそ、こんなにも落ち着いてられるんだけどね。


 普通は、1時間半も落ちてたら、思考できないくらい体に負荷がかかってるだろうしねぇ。



 じゃ、第3。どこに落ちてるのか、何で私なのか、これからどうなるのか。


 うむ!地球でないことは確かだ!だって熱くないし!


 そして!地球ではないと言うことは………!?

 異世界、なんじゃないですか?

 これが噂の、異世界転移なんじゃないですか!?


 ふふ、では、最悪のパターンを考えましょうか。そうすれば、現実を知ったときに無力感、つまりショックを味わわなくて済むもの。




 と、いうことで、最悪のパターン。このまま落ちて死ぬ。


 ……うわぁ、最悪。


 うーん、死なない場合の最悪パターンは、そうね、死んだと思ったら、ギリギリ命だけはある、とか。全身打撲、骨折もあるでしょうね。その状態で……、そうね、異世界だと仮定して、魔物に囲まれてる、とか。


 …………何、この生き地獄。最悪の中の最悪ね。死んだ方がマシだわ。




 …とか考えてたら、なんか、下の方が明るくなってきました。う、ついにゴールか……。




ふわっ


「………え?」

 なんか、下から風が……結構な、勢いで……。


 寒っ!いや、寒いですよ、暖かい風にできませんかね!?


 まぁ、落ちてく勢いは削いでくれてるけど。ふふ、これは最悪のパターンにはならないみたいですね?……安心したわー。



 おぉ、地面が見えますよ?何か色々書いてますね、魔法陣ってやつですか?……その地面は沼地面じゃないよね?私、信じてますからね?




 ……そして、私は、魔法陣に、思いっきり突っ込んだ。


 あぁ、足が痛い。勢いは削いでくれたけど、やっぱり痛い。…別に、私の着地が下手だからじゃないし。


 ……ほら、後ろで、自転車がガッシャーンって着地してるでしょ?




 ……うん。そう考えると、私の着地は自転車並みってことか、ヘコむなぁ…。



 さて。私はキョロキョロと周りを見渡した。私の部屋くらいの……窓が無いし、地下室かしら?ふむ、なんか綺麗ね。地面に大きな魔法陣があるから、もっと怪しい感じのトコかと思ったら、意外にも、普通に綺麗にしてあるわ。掃除が行き届いてるってカンジですね。


 壁は土壁かな。光源は1つ、天井に松明っぽいのがあるだけ。だから、ちょっと暗いかなぁ。あ、でも今まで暗いとこを落ちてきた身としては助かるけどね!


 で。その部屋の、1つだけあるドア付近に、ローブ姿の5人の男がいるわけだ。全員驚愕の表情。まぁでも、そこは置いといて。重要なのは、魔法陣の端の方にちょこん、って不安そうに座ってる、制服姿の女の子なんですよ。


 何がそんなに重要かって言うとね………可愛いのよ。……かーわいいのよ。大事なことは3回言うべきね、きゃわいいのよ。


 制服ってことは、私より年下ね。ほら、私もう成人してるしね。………身長低いから、小さく見られることが多いけど。……別に、悲しくないし。前ならえで、ずーっと一番前だったとか、妹の方が身長高いとか、全然気にしてないし。


 ちっちゃいと、便利なこともあるのよ、お気に入りの服は着続けられるし、自転車も新しいの買う必要ないし。


 あ、相棒(とリュック)回収しなきゃ。でもね、ごめん、とりあえず、今は美少女優先させてもらうわ。たぶん、私と同じで、いきなりここに連れて?こられたんだろうし。なんたって、年下には優しくしなきゃね!



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