好きな子が家にやってきた
「えっと、どうしようかな」
本当に困惑した。
「じゃあ、私荷物持ってくるから」
そういうとリルちゃんは大きなキャリーバッグを持ってきた。
「リルちゃんお金持ってる?」
「持ってません」
「昨日はどうしたの」
「五条さんちの広い屋敷で暮らしてました」
だったら今日もそこでいいじゃねぇーか、そう俺はツッコミたかった。
「じゃあ、田中さんでしたっけ、田中さんちに連れってって」
そう可愛い顔でこっちを見てくる。
「しょうがないな、ついてきて」
「はーい」
そして、俺の家に向かった。
俺の家。
「これが俺の家だ普通の一軒家だ」
「うわー、大きい」
「いや、お世辞はいいから」
「大きな犬小屋ですね」
「話聞いてた、ここが俺の家だよ」
「私が田舎者だからって騙そうとしてますね、そうはいきません」
そう言って俺の家のドアを開けた。
「ノノムラさあおいで」
「なんだそのどこかで謝罪会見やってそうな犬の名前は」
ネーミングセンスが悪いとかそういう問題じゃない。
「なんだい、うるさいわね」
「げっ、母ちゃん」
そういえば、母ちゃんにあった時になんて言えばいいか考えてなかった。
「初めましてお母様田中君の同級生の伊藤リルです。今日はお勉強しに家にあがらして頂きました」
「まぁ、ご丁寧にどうも」
「ところでノノムラはいますか?」
「ノノムラ? なんかテレビで聞いたことのある名前ね」
「母ちゃんっ、そういうわけで伊藤さん今日うちに泊まっていくからよろしく」
「あ、はいわかったよ」
ふー、なんとかしのげたよ。
「あれ、ノノムラはいないんですね」
「くどいわ」
そう言って俺の部屋に向かった。
俺の部屋。
「本当に人の住む家なんですね」
「そうだよ。狭くて悪かったな」
「私シャワー浴びてもいいですか」
「話が急に飛ぶないいよ」
そう言うとリルはここで脱ぎ始めた。
「バカ、ここで脱ぐな、洗面所で脱げ」
「きゃあ、エッチ何見てるんですか」
「お前が脱ぎ始めたんだろ」
「この家のルールがよくわからないのと戦闘で疲れていて」
「そうか、それは悪かったな」
リルを洗面所に向かわせた。
「ふう、疲れた」
やっと一人になれた。
今日はいろいろありすぎて疲れた。
朝、学校に行く途中人とぶつかってその女の子を好きになり。
五条が転校してきたり。
帰りに好きな子が会社員と戦っていて、その後ゾンビになったり。
俺の家に好きな子が泊まったり。
「色々あったな」
そういうと洗面所で叫び声が聞こえた。
「まったく今度は何だ」
洗面所に向かった。
洗面所。
「どうした」
「ノノムラが出ました」
そこにはタオルを巻いたリルちゃんがいた。
ヤバい鼻血でそう。
「何を言ってるんだノノムラが出るわけないだろ」
そう言って風呂のドアを開けると、スーツを着た犬人間がいた。