出会い
「もう、朝か」
俺の名前は田中ひろし、どこにでもいる高校2年生だ。
昨日は買ってきたゲームを深夜までやってアニメを生で見て寝た。
だから、寝不足だ。
「ひろし、もう時間よ」
「わかった。パン咥えて行く」
そういって俺は食パンを咥えて学校に向かった。
「やべー、ギリギリの時間だ」
こんな時、猫型ロボットが出す便利などこにでも通じるドアがあればと思ってしまう。
あと、超能力で瞬間移動できれば女の子のパンツ見放題なのに。
そんなことを思いながら走っていると、
「遅刻っ、遅刻」
「!?」
曲がり角で誰かとぶつかってしまった。
「痛ててっ、大丈夫ですか?」
「ええ、あなたこそ大丈夫」
そこには、黒髪ロングのパッチリ二重だがどこか話かけ易そうで、お人形さんみたいな触ったら壊れてしまいそうな美しい女性がいた。
「だ大丈夫です」
「そう、じゃあ急いでいるからじゃあね」
そう言って去ってしまった。
「何だこの気持ち」
胸がドキドキして痛い。
「これはもしかして恋!?」
今までこんな気持ちになったことはない。
こんなにドキドキしたのは母ちゃんにエロ本の隠し場所を探されそうになって以来だ。
「あの子とまた会えないかな」
俺は切にそう思った。
「やべ、学校に遅刻する」
そして、俺は学校に向かった。
キンコーンカンコーン。
「えー、ホームルームを始める前に話したいことがある」
えっ、もしかして。
「転校生がこのクラスに来た」
やったー、絶対あの子だ。
「入ってくれ」
「ええー」
そこには小柄なメガネの男がいた。
「五条たかしです。趣味は昆虫採集です」
はい、ハズレ引いた。
「よし、田中のとなり空いてるな。仲良くしてやってくれ」
ダブルショック、こんなのと仲良くしなきゃならないのかよ。
「よろしく、田中君」
「よろしくー」
そうしてホームルームは終わった。
「あー、あの子はいずこに」
そんなことを考えながら放課後になった。
俺は1年の頃は卓球部に所属していたが、1年の終わりに勉強に集中したいと言って部活を辞めた。
もちろん、勉強はしていない。
「田中君一緒に帰ろう」
五条が話しかけてきた。
「えー、しょうがないな」
しょうがなく一緒に帰ることにした。
帰り道。
「田中君は兄弟いるの」
「一人っ子だよ。五条は?」
「僕も一人っ子だよ」
くそー、なんでこんな具のない味噌汁みたいな会話してるんだ。
あの子とこういう会話したかったよ。
「ビービー」
「くっ、こんな時に」
五条は携帯のようなものを出した。
「ごめん、田中君。先に帰って、じゃあ」
五条は来た道を戻った。
「なんか面白そうだな」
俺は自分の中にあるヤジ馬魂をごまかせなかった。
だって、気になるもん。
俺は五条を追いかけた。
路地裏。
「くっ、こんな奴に手間取るなんて」
「君もこちら側に来るといい。そうすれば喜んで歓迎する」
「!?」
俺がそこにたどり着くと朝見た女の子と会社員の男が戦っていた。
「いったい何が起こってるんだ」
一足先に着いた五条が女の子と話している。
「五条君」
「リルちゃん。今封印を解くからね」
あの子リルちゃんっていうんだ。
かわいい名前だな。
「んっ、封印ってなんだ!?」
リルちゃんが白い光をまとった。