アナザーストーリー third
【雨宮】side
「お前って喧嘩したことあるのか?」
「ん?あるにはあるが……若気の至りってやつだ。」
「若気の至りってお前いくつだよ。」
「人生経験は豊富なんだ。昔から。」
「大変な人生おくってきたもんな。」
「あぁ。」
「話が戻るけどさ、この状況ってなに?」
うーん……改めて聞かれると答え難いな。よくわかってないし。ただ不死身の敵に襲われているのは明らかだ。俺のレーザーを受けても痛がりも苦しみもしない。
「知らないって言ったら困るよな?」
「あぁ。打開策が見つからない以上さらなる情報が欲しかったのだが、仕方ないかぁ。……特攻だ。」
「えっと、特攻でいいのか?とりあえず逃げた方がいいと思ったが。」
「ーー特攻+逃げるっ!」
「了解ッ!」
俺は光で守り、良介は跳弾する電撃弾で道を作る。敵は不死身である以上逃げることが最適だ。
案の定逃げ切ることに成功。そして良介を巻き込んだことに酷く後悔する。本人は気にしてないが。
「巻き込んで悪かったな。」
「仕方ないし逃げ切れたから大丈夫だろ。」
「あいつらはまたなにか仕掛けてくるぜ?いいのかよ、巻き込んで。」
「ーーお前が気使って遠ざけていたんだ。これからもそれでいい。」
「詮索しないんだな。」
「しても意味がない。」
流石俺の友達。考え方が似通っている。
「とりあえず家まで送るよ。」
「あぁ、ありがとな。」
良介を家まで送った後、流石の俺も今日は疲れたので布団へ直行。
中で今までの事を整理する。
まず、あいつが別世界へ行った。俺が捨ててあった歯車ちゃんを治しその別世界へ送った。あいつの手掛かりなどを探すように指示をインプットしている。まだ反応はないがエネルギーが徐々に減ってきている筈だ。いずれ補給しに行かないと。
あいつの研究によると別世界へは俺でも簡単に行けそうだ。捜索がひと段落ついたら俺も別世界に行こう。学校とかはなんとでもなる。
俺は純白を連れていかなけりゃならない。あいつは今は生命維持用のカプセルに入ってる。あとは魂さえ取り戻せば……
そうと決まれば即行動だ。カプセルごとあいつが作ったと思われる転送装置に乗っかった俺は直ぐに別世界への旅に出た。
【12Laters ago】
可愛い息子とその友達が私の書斎に侵入してた。机のレポートが2mm動いていたし、どちらかが読んだのでしょう。息子は私に嘘が付けないから、読んだのは友達の方ね。
今私は危険と隣り合わせとなっている。こういう仕事上、覚悟はしていたけどやはり家族に危険が迫るのは居心地が悪い。
あのクソザルを放置していたら可愛い息子にも愛しい夫にも危害が加わってしまう。そうなるくらいなら私は、あの研究を使ってでも家族の安全を守る。私が居なくてもあのラーメン屋があればやっていけるわ。別れを惜しまれないように鉄仮面を被らないとね。
家族に手を出したら、絶対に許さない。